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国家公務員の働き方②

 以前、国家公務員の働き方として正しいイメージを持ってもらいたいとお伝えしたところであるが、比較的よく話題に上る点についていくつか取り上げて、実態について述べられればと思う。

①若いころの下積み時代が長い
 「係員、係長の期間が長く、実際の意思決定に携われる課長補佐以上になれるのは、8~10年目からであり、それまでの時間がもったいない」という意見だ。

 確かに係員時代には雑用とよばれる仕事もある。資料のコピーだったり、会議の準備(会議室設営、資料配布など)だったりというのが典型的だ。
 ただ、それは業務のほんの一部でしかなくて、小さいかもしれないが自分で担当する案件というのももちろんある。役所も人材を豊富に確保できているわけではないため、係員であっても戦力となることが期待されている。

 係長ともなれば、局長級の幹部とも議論する機会さえある。案件について一番詳しいのは担当する係長である、という認識があるため、自分の発言によって意思決定が左右される場合もある。
 「結局意思決定しているのは自分ではなくて幹部ではないか」という意見があるかもしれない。ただ、どんなに若いうちから意思決定できる、といっても、最高決定権者にならない限り、自分一人で事業を進めることはできない。

 そもそも、組織の幹部というのは、社会人経験年数の桁が違う。いくら頭脳明晰であっても、ビジネスも政策もそれだけでは進めることができないというのは入社前にはなかなか理解しづらいところなのだろう。
 最近はインターンも活発になってきたため、なおさらそうかもしれない。「中身」を考えることができても、それをどう実行・実現していけるかというのは、やはり経験を抜きにしては語れないのだと思う。

 「すべての案件に直接は意思決定に関われないとしても、任される案件の大小の差はあるのではないか」との意見もあるかもしれない。しかし、案件の大小というのは若いうちにはわからないものである。自分では小さなことだと思っていても、上の立場から見れば重要な功績ということもあるのだ。

 もっと言えば、下積みが全くない会社なんてないのではないだろうか。下積みという名で、逆に好きなことをさせてもらえる、失敗が許されるということもあるため、一概に下積みがつまらないなんてことはない。自分の立場をいかに利用して成長していくか、それができなければ困難な境遇を克服して事業を前に進める判断もできないだろう。

(②政治家に振り回される、に続く)

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