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業務スーパーと洋ポルノ

 業務スーパーのようなディスカウントストアと、洋モノのポルノは似ているな、と思った。

  業務スーパーの商品は、インパクトがあって、わかりやすく量が多くて、私たちの目にそれは魅力的に映る。「こうやったら買うんだろ?」という思惑をヒシヒシと感じる。確かにそうだ、トレーにギッチギチにパック詰めされた100グラムあたりいくらかの脂身だらけの豚肉を見ていると、人間の、こう、根底に訴えかけてくるというか…。私たちは本能的な何かで、それを魅力的に感じているのだ。

 洋モノのポルノビデオもそうだ。「エロ」という概念を、単純明快、わかりやすく表現したものがまさに洋ポルノだ。デカい胸、デカい尻、デカい喘ぎ声、ダイナミックな合体シーン。小学生が考える「エロ」の要素をとりあえず詰め込んだような、わかりやすいエロ、丈夫すぎるカラダ。風に舞ったスカートからチラッと覗く、そんなエロティシズムのような繊細さは、そこにはない。あの日読んだ、雨でしわくちゃになった成人雑誌のような、幼少期の思い出の真ん中に突っ立っているような存在。いくら時流れていこうと、私たちの原点はそこにあって揺るがない。

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 丁寧に細かくジャンル分けされ、広い店の小さな棚に整然と並べられた、値段の割に小さい商品を見ていると、日本人の几帳面さというか、底知れぬ探求心が伺い知れる。

 わかりやすいエロから、わかる人にだけわかればいいエロに。日本のエロは、多様性に応えてくれる分少し値段が張るし、満足度が少ないかもしれない。でも、だからこそ、1週間は持つ脂身ばかりのバカデカい肉の切り身よりも、ちょっとばかし高くてもいいから、香りの立つ良い肉を、私たちは買うんだ。

 

 


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