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自転車の両手離しが出来なくなった話

ふと、やってみたのだ。自転車の両手離し運転を。

 小中学生のころ、自転車は私たち子供にとって生活の一部も同然だった。どこに行くにも自転車を使ったでしょう。学校、駄菓子屋、塾、あの子の家まで。

 チョット危険なこともしたくなるようなお年頃、自転車に乗ってる時は無敵になれる。暴走族もバイクに乗る前はハンドルをカマキリのようにした自転車でイキリ散らかしてたんだ、何も恥ずかしい話じゃない。


ついさっき自転車に乗りながらそんなことを思った。そうだ、やってみよう。そうだ京都行こうみたいなノリで挑戦してみた。思えばそんなことをするのは10年ぶりくらいだろうか。

万が一のことを考え、人のいない広めの道に着いてからにすることにした。そういえば昔は、下り坂で両手離ししたり、住宅街をかっ飛ばしながら両手離しをしていたような気がする。危険運転、煽り運転なんてものが問題になる今の時代、こんなことが許されたのはリスクマネジメントの出来ない子供の特権だったんだな。
 
 

 

(できない...!)そう、できないのだ。両手離しができない。テンション的にとか世間体がとかじゃなくて、1.2の3でプライドも捨てたのに。昔できたことが、できなくなっていた。

2秒ほど手を離すと自転車が大きく揺れ、慌ててハンドルを掴む。大きな荷物を積んでいるわけでも背負っているわけでもない。グラッとした自転車を立て直し、またやってみる。やはりできない。むだな美学は売り渡したのに。

運動神経がとか、体幹がとか、そんなんじゃなくて。もっと何か精神的な何かなのかな。できることは年々増えていくはずなのに、できなくなることもあるもんなんだな。たとえば「無茶」とか。

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