芝生と彼女とショートホープ「一面の青」
五月。心地良い揺れに微睡んでいると、無機質な女性の声で目が醒める。
「まもなく、新宿御苑前です」
そうだ、僕はここで降りるんだ。
大学には行かず、また、今日も。
僕はボーリング球を持ち上げるように、項垂れた頭を上げてから立ち上がると列車を降りた。
平日の昼間のプラットホームには、携帯を耳に当てたサラリーマンと余生を謳歌している老人達があった。
僕はそれらを避け、慣れた足取りで階段を登り、改札を通り抜けた。
出口を抜けると、気持ち悪いくらいに強い陽射しが僕に振り返かり、思わず