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本のレビュー① 3X

noteで初めての投稿は本のレビューです。今までFacebookで行っていたものも順次noteに移行させていこうと思います。

noteでは主に本、考え事、ニュースなどのアウトプットをしようと思っています。それでは早速本のレビュー行ってみよーー。


題目:3X

著者:三菱総合研究所(記念研究作品)

出版日:2021/4/28

本の評価:★★★★★

概要

これまで人類は滞りなく進化を遂げてきた。また、今も人類は現在進行形で進化を遂げている。その進化には必ず「技術」と「コミュニティ」があった。第4次産業革命の真っただ中でこれからの世界はどうなっていくのか。それを本書では3X(デジタル・バイオ・コミュニケーショントランスフォーメーション)と共領域という言葉を用いて読み解いていく。

3点インプット

1人ひとりのウェルビーイングの実現・DXが実現させる持続可能な社会・豊かさを実現させる前提条件

感想

未来予測系の本を読むと何かとSFチックな感じがして自分の中でかみ砕くことがなかなかできないことがあるのだが、この本は現実をしっかりと分析し、未来を淡々と予測していたため好感を持つことができた。次の段落からは私が興味を持った部分の解説、および考察をしていこうと思う。

1人ひとりのウェルビーイングの実現

1人ひとりがウェルビーイング(直訳すると良く在ること。幸せとはニュアンスが少し違う(?)。)を実現する社会であるべきという考え方、これはまさに今世界が向かっている未来であると私は思う。技術革新によって今までの「守りの健康」は「攻めの健康」に変わり、共領域によって内面的な部分も健康になっていく。薬を飲むだけで身体を可視化できるエディブルセンサー、行動変容を促すIoTデバイス、オンライン診療、身体のサイボーグ化、介護ロボット、パーソナライズされた医療制度などなど、世にあるサービスがパーソナライズされていくことによって人はよりウェルビーイングになっていく。また、地域、国、人種の枠は薄くなり人がいつでも参加し、離れることができる「共領域」も人々をウェルビーイングへの道へと導いていく。結果、人々は「金」では得られない「自分らしさ」という幸福を得ていく。しかし、真の意味でのウェルビーイングは世界が持続可能でなくては実現しない。それを克服するのがDXなのである。

DXが実現させる持続可能な社会

2015年に採択されたSDGsや人々が重視するサービスにおける思考の変化(社会思考)、会社の社会的責任など、社会は真剣に持続可能性を検討し始めている。「物質的資源は恐ろしいほどのスピードで枯渇しつつある。私たちはこの惑星に、気候変動という壊滅的な問題を押し付けた。気温の上昇・・・問題は、人々が今起こりつつあることに気づいた時には、すでに手遅れかもしれない。」ストックホルム・レジリエンス・センター所長のヨハン・ロックストロー村は。2009年に初めて「地球の限界」という概念を論文で発表した。このペースでは環境は確実に破壊され、地球では住めない日が確実にくるとされている。私たちは目的はしっかりと果たしつつ、手段にかかるエネルギーを抑える必要がある。その必要性を強調するいい事例がある。それが車である。実際には、私たちは車を使う時間より駐車場に止めて置く時間の方が圧倒的に多い。また、日本では最終エネルギー消費の4分の1を「移動」に使っている。このような車の事例からもわかるように私たちはあまりにも非効率的であり、目的を果たすための手段にエネルギーを使いすぎている。私たは①高効率化②省資源それに加えて③資源代替を早急に推し進めていくべきなのである。最近ではDXによって農業のスマート化や環境負荷が低い培養肉、CO2を取り込んで光合成を行う微細藻類、ニーズを的確に答えロスをなくすことができる3Dプリンター、EVなど持続可能な社会に向けて開発が積極的に進められている。しかし、ここで重要なのは技術の発展だけではない。新しいものやサービスが生まれるとき、人は必ず反発する。それをいかに面白いアイデアで、興味を惹くような、サービスに進化させていくのかも重要な点であると考える。

豊かさを実現させる前提条件

今の世界では分断が激化している。中間層の所得は上がらないが、上位数%の富裕層は世界の所得の大半を占めている。高度経済成長期であった日本は経済的には裕福になったものの幸せとは言えないものであったとも言える。金に追われ、仕事に追われていたからだ。私たちは分断や資本主義的思想が取り除かれた真の豊かさを目指して行かなくてはならない。先程の部分では健康というテーマに沿って話を進めていったが今回は豊かさを中心に話していこうと思う。このまま3Xが進んでいくと私たちが望まない社会、「成り行きの未来」になってしまうと本書では述べられている。技術の発展によって代替される仕事が増え労働市場が縮小、人間の価値が低下、技術利益の独占や技術倫理問題なども頻発すると考えられる。またパーソナライズされすぎてしまい孤独感を感じてしまう恐れもある。これを無くすために本書では5つの目標が建てられていた。上記でも紹介された部分もあるがあらためめて紹介したいと思う。①健康維持・心身の潜在能力発揮 ②多様性の尊重と繋がりの確保 ③新たな価値創出と自己実現 ④安全安心の担保 ⑤地球の存続可能性の確保 である。上記で説明されていた部分が多いため内容は省くが、やはり 私たちは思考のアップデートが必ず必要なのである。

これからの社会がどうなるのかを考えるにあたって本書は非常に良書であったと思う。DX、それに伴う人々の豊かさの変化、地球の一個分の生活、これらは何かサービスを作るにしても自分自身が豊かになるためにも、世界をいいものにしていくためにも真剣に考えるべきトピックであると思う。

個人的に興味を持った部分

・ヒトは他者との協力関係について非常に敏感であり、関係者の誰もが満足することを目指す。(P29)・エレファントカーブ(P38)・「増える時間」「広がる空間」「多様性の包摂」(P124)・キームカヴァーの仕組み(P138)・2040年、在宅介護のイメージ像(P169)・日本の皆保険制度(P173)・繋がりが弱い人と強い人の比較(P178)・アバター技術(P188)・他社の経験共有(P198)・拡張的自己観(P212)・学びへの投資の構造転換(P220)・技術の進化スピードと人間の進化スピードのギャップ(P285)

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