見出し画像

和菓子と日本酒は合う! 虎屋×満寿泉による最上級のペアリングイベントへ

今回は日本酒と食べ物の「ペアリング」の話です。
僕自身、自宅ではさほど気にしないのですが、日本酒の専門店など「ちゃんとした」シーンとかだと「ペアリング」を楽しんだりします。

先日、数ある飲酒シーンのなかでも特に「ちゃんとした」ペアリングイベントに行ってきました。
「とらやの新年会 feat.桝田酒造店」
「虎屋」の和菓子と、吟醸造りの銘蔵「桝田酒造店」の純米大吟醸酒を合わせるという、大人たちの戯れです。

新作羊羹「満寿の露」のための特別な宴

画像2

会場はミッドタウン内にある虎屋。威厳。

画像1

意を決して中にはいると、真白な飲食スペース(売り場の奥にある)へ案内されます。参加者の多くは「虎屋」をひいきにしていると思われる、上品なおめしもの方々ばかり。トレーナーでいくんじゃなかった。

画像5

(桝田酒造店・五代目蔵元の桝田隆一郎氏。「満寿の露」を手に)

今回のイベントは、虎屋と桝田酒造店がコラボした限定商品「満寿の露」のリリース記念でもあります。満寿泉の最高級酒の酒粕を熟成させて白煉羊羹を作り、黒煉羊羹と白琥珀羹を重ねたという和菓子。

これを中心に、4種類の和菓子と4種類の満寿泉のペアリングを楽しみます。

画像4

(ペアリングを考案した国際唎酒師の髙栁宏介氏)

高級酒×高級和菓子のペアリング

画像7

「満寿泉 純米大吟醸 寿 Platina」で乾杯し、いよいよペアリングスタート。
今回はプロである国際唎酒師考案とあり、予め「狙い」が書かれたシートをいただきます。自由に飲むのもいいけれど、知識のある人の正解を見ながら「答え合わせ」の感覚で味わうのも楽しいものです。

まずはお酒の紹介。

画像8

(1)「純米大吟醸 R8」
ワイン酵母で仕込んだ意欲作。説明書きに「エレガント」とありましたが、これが本当にエレガント。酸が特徴的です。酸味って、和菓子にあうのか?

画像9

(2)「純米大吟醸 Do You Know 土遊野」
富山の有機農家「土遊野」の有機米でかもした日本酒。旨みの塊。だけどにじみでる気品があります。

画像10

 (3)「純米大吟醸 SPECIAL オーク樽貯蔵」
最高級酒をフレンチオーク樽でねかせた、芳醇な香りがたまらないお酒。なんというか、非常になめまかしい味わいです。

続いてお菓子はこちら

画像11

手前が(A)酒粕入羊羹「満寿の露」。甘すぎない上品な羊羹。
奥左は(B)「あんやき 黒ごま」。こし餡と白餡に卵黄や練りごまを合わせた焼き菓子。ほろほろとした食感と香ばしさがあります。
奥右が(C)「花羹製『好文花』」。生菓子。白小豆の繊細な味わいは、完全にお茶に合いそう。
※このあとに「お汁粉」もありましたが割愛

日本酒×和菓子ペアリングレビュー

画像6

これがペアリングの解説。勉強になります。それでは一応、自分の感想もひとことずつ。

(1)「純米大吟醸 R8」×(A)酒粕入羊羹「満寿の露」
プロの考察=◯
感想=餡の質感とお酒の酸味が一瞬ぶつかるが、途中でひとつに。いける。

(1)「純米大吟醸 R8」×(B)「あんやき 黒ごま」
プロの考察=×
感想=たしかに…×だ。甘みと酸味の種類があまりまじわらない印象。

(1)「純米大吟醸 R8」×(C)「花羹製『好文花』」
プロの考察=△
感想=うーん…いけるけど、Aほどピンとこない。おちゃがほしい。


(2)「純米大吟醸 Do You Know 土遊野」×(A)酒粕入羊羹「満寿の露」
プロの考察=△
感想=お酒の味で羊羹の味わいの飲み込んでしまう…とのことでしたが、僕は結構すきかも。2のお酒が万能な気がします。

(2)「純米大吟醸 Do You Know 土遊野」×(B)「あんやき 黒ごま」
プロの考察=◯
感想=うめーーー!!すごい合う!なんだこれ!ごまとお米の風味がぴったりです。おいしさが増している。断トツで一番好きでした。

(2)「純米大吟醸 Do You Know 土遊野」×(C)「花羹製『好文花』」
プロの考察=◯
感想=おいしいけどBと比べると驚きはすくなめ。ただしおいしいことにはかわりなし。

(3)「純米大吟醸 SPECIAL オーク樽貯蔵」×(A)酒粕入羊羹「満寿の露」
プロの考察=×
感想=たしかに、別物という感じ。×だともったいない気分になります。

(3)「純米大吟醸 SPECIAL オーク樽貯蔵」×(B)「あんやき 黒ごま」
プロの考察=×
感想=いや、別ものだけど「黒ごま」がやさしいので、喧嘩はしない印象。△

(3)「純米大吟醸 SPECIAL オーク樽貯蔵」×(C)「花羹製『好文花』」
プロの考察=◯
感想=いい。余韻がきれいです。本当に上品!

ペアリングとは、想定外を楽しむ大人の遊び

画像13

(「どれもおいしいね。もう結構飲んだからわからんよ、と素敵なコメントをいただきました)

小難しげにいろいろやってみましたが、「高くて美味しい酒」と「高くて上品な和菓子」それぞれがもう十分すぎるほど美味しいのです。満足度でいうと100点なんです。

そのうえでぴったり「あう!」といったり、「うわっ、変な味!」と驚いたりして、確定している「美味しい」からさらに踏み込んだ「美味しい変化」に酔う。

ペアリングとはそんな、食の「遊び」だと思います。このうえなく贅沢な。

「ファン」の愛情はペアリングを超える

画像12

たまたま同じ席になった女性のスマートフォン。なんと、今回いたただいた「純米大吟醸 SPECIAL オーク樽貯蔵」のラベルが貼られていました。

聞くと、満寿泉が人生で一番好きなお酒だそう。好きすぎて肌身離さず持っているのです。

そんなの、今日絶対に最高の会じゃないですか。
満寿泉も虎屋もそれほど詳しくない僕が「合う、合わん」とか言っているのとは次元が違うほど、深く濃厚に楽しくて美味しいんだろうって。

会の終わり、その彼女は蔵元の桝田氏と写真を撮ってもらっていました。酔いと緊張で頬を上気させて。

その様子を見るともなく見ながら、少しあまったお酒をひとくち。ペアリングを超えるのはファンの愛なんですね。めちゃくちゃ美味しかったです。

もちろん、お酒を飲みます。