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【日本酒の会のはじめかた】 好き酒師・ヒロシ先生のイベント開催講座(座学編)

日本酒を好きになると、この魅力をもっと「知ってほしい」と思うようになるもの。今回は、日本酒好きのための「日本酒の会」の開き方をガイドします。

結論:お酒の会はハードルが低く、やればやるだけ楽しめる!

講師は「Monthly SAKE CAMP」など多くの日本酒イベントを主催する「好き酒師」のひろしさん。イラストはフジワラヨシトさん。プロのおふたりに協力いただきました。お役に立てますように。

前半は「座学編」をお届けします。

STEP1.そもそも「日本酒の会」って何があるの?

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「日本酒の会」といっても、規模も内容もさまざま。まずは個人主宰の主なパターンを紹介します。

主な日本酒の会のパターン
・日本酒を買うことが好きな人が、集めたお酒を振舞う会
・日本酒好きたちが好きなお酒を持ち寄る会
・飲食店さんを借りて行うもの(お酒だけ持ち寄りなど)
・酒蔵さんと一緒に行うイベント的なもの

先生:「お酒の会」というと難しく感じがちですが、実は『飲み会の延長』と同じ。僕の場合は、自分で集めたお酒を仲間に振る舞いたくてはじめたのがきっかけです。気負わず、気軽にやってみるといいですよ。

一方、注意も必要。

先生:お店や酒蔵さんを巻き込むタイプのものもありますが、これは関係性がある上で、双方にとってメリットがある時だけです。僕たちはあくまでも飲食の素人。プロに迷惑をかけないようにしましょう。

POINT
宅飲み感覚からはじめるとよし
プロを巻き込むのは注意が必要

STEP2.会の計画をしよう!

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イベントは段取りが8割。それほど重要なポイントです。

●場所はどうしよう?
先生:少人数なら自宅でホームパーティーくらいで大丈夫。僕はキッチン付きのレンタルスペースもよく使います。グラスや食器もそろっていて便利ですよ。

●参加人数は?
先生:これも会の内容によりますが…僕の場合(好き酒師は2名で会を運営しています)10数名まで。みなさんの酔い具合や動きを把握するには、ひとりで数名が限度。ホストとしてお客さんを迎え入れるときですね。

●参加費はどうしよう?
先生:人や場合にもよりますが、僕の行うイベントはぎりぎり損しないくらいです。(ひろし先生のイベントはお酒付きで2500円程度)。思い出してほしいのですが、僕たちはそれで利益を出すプロではないのです。

あくまで自分の楽しみの延長、としてはじめるのがいいと思いますよ。

●お酒は何にしよう?
先生:「何をしたいか」で変わりますね。たとえば「高価なお酒を買って、みんなで少しずつ味わいたい」という会だったらそれがメインになります。自分でお酒を集めるのが好きならば、その中から「特定の銘柄のお酒の飲み比べ」なども面白いですね。

僕のイベントでは毎月「地域」にテーマを当てたお酒をセレクトしています。せっかく「日本酒の会」をするのですから、普段の飲み会からもう一歩踏み込んだ楽しみ方を計画してみてはどうでしょう?

column 酒屋さんに頼るのもあり!
テーマはあるけど、何を選んでいいかわからない人は、「酒屋さん」にそのまま聞いてみてもいいですよ。「●●●な日本酒の会をするのですが、●●本選んでほしいです!」のようにね。

STEP3.会の準備をしよう!

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●基本的には、お酒だけでOK
先生:キッチン付きのレンタルスペースであれば、食器や料理道具はそろっています。なので「お酒」だけでOK。僕の場合は「酒器」の違いなども楽しみたいので、それは持参しています。

●料理はどうしよう?
先生:今の時代、ウーバーやテイクアウトを使えばいいんです!「日本酒」が主役の会であれば、もちよりでもいいし、簡単な駄菓子みたいなのでもいい。それでも楽しめる懐の深さが日本酒のおもしろさですよ。

●用意するお酒の量はどのくらい?
先生:僕の経験からすると、2時間の会としてひとり3合くらいをベースに考えるといいでしょう。ただの「飲み放題」ではなく、お酒を「楽しむ」ことが目的ですからね。

●お酒の運搬はキャリーケースが便利
先生:「日本酒の会=飲む」ため、車は使えません。僕は「キャリーケース」につめて運ぶことが多いです。瓶は基本縦積みで、特に底のあたりに衝撃がくると割れやすいので注意を。隙間なくつめることがポイントです。

column お酒の系統は幅広く!
会の日本酒を選ぶとき「もしこのお酒が苦手だったらどうしよう?」と心配になりますよね。そんなときはお酒の幅をつけるのがおすすめ。
・乾杯用のスパークリング
・序盤のフルーティーなタイプ
・誰でも飲みやすいもの
・後半にだらだら飲めるもの
・最後はデザート感覚の貴醸酒
このようにすると、会のなかでだいたい自分の好きな味に出会えるもの。逆にいうと、それだけ味の幅があることが日本酒の魅力でもあります。

STEP.4 当日はとことん会を楽しもう!

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いよいよ日本酒の会本番です!ここでのポイントは「自分らしく楽しむこと」。ここでは、日本酒の会をより盛り上げるテクニックを紹介します。

日本酒の会をもりあげるテクニック例
・ブラインドでお酒を出してみて、好みをいいあう(投票もあり)
・炭酸注入でなんでもスパークリングに変身!
・駄菓子でお酒を飲む=居酒屋さんではでないような飲み合わせを発見企画
・オンラインで造り手と同時飲み会
・酒粕いりかき氷、茶葉で日本酒を煮出すなどのチャレンジ企画

先生:これらは僕が実際にやっている一例です。日本酒イベントをするなら、なにか自分の興味のある、また参加者に楽しんでもらえる「らしさ」があるとよりいいですね。日本酒ってそれができるくらい懐が深いお酒なのです。

●お酒は1本ずつ開けるのがおすすめ
先生:全て一気に飲み放題にすると、一部の人がたくさん飲んで全員が飲めなかった…ということも。僕の会では、飲むお酒は順番に自分(ホスト)があけます。そうすると、みんな同じお酒を味わって意見をいえるし、お酒の偏りがなくなります。

●飲みすぎ注意。良い具合をチェックしておこう
最悪なのが…一部の人がたくさんのんで酔い潰れるケース。せっかく日本酒のために集まってきてくれたのに、台無しですよね。なのでお酒の提供は、主催者側がやるのがやっぱり安心です。

column キャッシュオンはNG
提供したお酒に対してお金をとするとルールが厳しくなります。あくまでも「仲間内の飲み会」というスタンスにしておきましょう。会費制がベストですね。

まとめ 「自分らしさ」をいかして、日本酒の会を満喫して

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(前回の取材時のひろしさんです)

先生:日本酒の会、なにをやっていいかわからない? もしそんな不安があったら、いつでも僕に質問してください。これまで素人ながら(普段は会社員!)、いろんな日本酒の会をやってきました。

日本酒の会をする人が増えることで、日本酒の楽しみがもっと広がるとうれしいです。小さな会がたくさんできて、それでみんな集まって、いつか大きなイベントなんかもしたいって思ってます。

こういう会って、やればやるだけ発見があるし、つながりもできます。ぜひ、楽しんでください!


座学編は以上。実践編では、ひろしさんのイベントに密着します!

ひろしさんのインタビュー記事は下記より

https://note.com/00kub0/n/nf5ee7e0914b8





もちろん、お酒を飲みます。