ローカル課題はビジネスにつながる。静岡県「きくがわ社会起業家塾」

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静岡県菊川市で2019年9月よりスタートした社会課題を解決するための起業を目指した塾が先日最終プレゼンを行い無事に終了をした。とはいえこれが終わりではなくスタートでもある。発表して終わりの講座は多いが、それで終わってしまっては「机上」で止まってしまう。だからこそスタートを小さくでも切ることは大切。

今回は9つのアイデアが出た。

(1)きくがわサンカノーチャレンジプロジェクト  白畑さん 
 菊川駅前の「シェアスペース」を、起業を目指す人のチャレンジスペースとして開放し、新たなビジネス創出や地域の賑わいを創出する事業。白畑さんご自身は不動産業を営んでいることから自身が関わっている物件をチャレンジしたい人に無料で貸し出すというプランを考えた。「なぜ無料?」と思うかもしれないがフリーミアムという方法論があることから、これもビジネスという視点では可能性がある。実際にこのプランによって地元信用金庫+行政+民間というコラボレーションが生まれた。(賑わい創出)

(2)菊川市の生涯未婚率と少子化を防げ  岡村さん
 認定仲人士による結婚相談により市内の婚活を活性化させ、生涯未婚率の低下を目指す事業。岡村さんも普段は別のお仕事をされていて、その中で副業として人の役に立つために何をしたら良いのかという視点から相談者となった。すでに事業に取り組んでいられるが菊川市内の皆さんがより良い人生を送るためのフォローをされている。さらに新しいアイデアも付け足されていた(少子化対策)

(3)地域の歴史、魅力発掘プロジェクト  松尾さん
 地域の歴史的史跡が持つストーリー等を活用した商品開発や、歴史ガイドツアー等を実施する事業。松尾さんもすでにツアーを実施、もともと劇団運営をされている方なので歴史を題材にした演劇も公演されている。菊川駅前に関口 隆吉の銅像が立ったことがきっかけで活動を開始。(地域観光)

(4)空き家を活用した複合型宿泊施設の運営  阿形さん
 市内の空き家を活用し、癒しや食事、文化体験等を提供する宿泊施設を運営する事業。阿形さんもすでに事業を開始され多くのお客様を迎え入れる準備に入っている。茶畑の真ん中で 周りにはなにもない空き家を活用するあたりが菊川っぽい。
(空き家対策)

(5)馬のいる景色を作ろうプロジェクト 小林さん
人が馬と触れ合い、馬から癒しや活力をもらえる場づくり。馬との触れ合いを通じた、教育効果やホースセラピー等への活用を目指す事業。実際に小林さんも岩澤さんとタッグを組み事業をスタート。NPO法人も設立しアグレッシブに活動されている、彼たちが挑む事業は今の日本の問題解決にも一役買いそうだ。健康寿命と平均寿命の差を埋めようと行政はあの手この手で施策を練っている。そんな中でホースセラピーやアニマルセラピーは可能性が高い(高齢者福祉+α)

(6)癒しの空間  たねあかり竹部門(牧野さん 塚本さん)
 放置竹林の竹を利用した竹灯籠の販売及び空間演出を行う事業。3年前に構想を未来塾で発表してから小さな活動を続けてきた。今回の発表の中では多くの方から「実施するのにどれくらいかかるのか?」「設置から当日の運営までお願いできるのか」などの質問が寄せられ 実際にイベントのコラボレーションが進みそうだ。
(放置竹林対策+賑わいづくり)

(7)菊川版google(仮)  古林さん
 市民が抱えるさまざまな悩みを事業者間のネットワークを活用して解決に導く事業。古林さんも人と人をつなげるためのプラットフォームをアナログで作っていくという方法論をプレゼン Googleと書いてあるがデジタルのプラットフォームではなく一手間かけていくもの。(地域間連携)

(8)創業者・後継者のための悩み相談・経営者喫茶「ぐちりん」 勝又さん
 中小企業診断士等の専門家で組織するNPO法人が、中小企業経営者が悩みを相談できるカフェを開設する事業。勝又さんのアイデアも実際には多くのところがやっている案件に近いのだが、菊川市で悩んでいる人に対して 起業や事業相談を気軽にできるようにするという取り組みを考えていることが素晴らしい(事業承継+事業相談)

(9)レンタルキッチンカーについて 宇佐美さん
ご自身が自動車販売を手掛けていることから そのスキルを生かしてキッチンカーのレンタル事業をしはじめたいとのことだった。実際にこれから飲食業をスタートしたいが自分が提供したいものが本当に売れるのか?などのテストをするためにキッチンカーを使ってみてはどうだろうかという提案。その他にも当然使用用途はあるのだが、事業をスタートして10年後に残る確率は1割、廃業する職種NO1は飲食業ということからも一度試してみる方が良い。なにせ「箱・人・設備・仕入れ」と運営するためのコストがものすごくかかるのが飲食業。ぜひ本番前に試して欲しいという取り組みだ(チャレンジショップ)

以上9つの案を賑わいづくり研究会の皆さんや高校生などにも聞いていただいて多くの意見をいただいた。
この手のプレゼンで一番大切なのは「知ってもらうこと」 そこから多くのつながりが生まれる可能性が膨らむからである。

今後もこの9つの案件をブラッシュアップする応援をしていく。やはり地域課題とビジネスを混ぜていかなければならない。

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