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サステナブルな凄いやつ、「微細藻類オーランチオキトリウム」

こんにちは。
相も変わらずデジタルとアナログを毎日のように行き来しながら足掻いていますが、中途半端なようでそういう人間は意外と少ないのではと思う今日この頃です。

さて、前置きは全く関係ないですが、今回は5月に上市したナチュラルフードサプリでメインの素材として採用した食品原料ペンタデシルの素である微細藻類オーランチオキトリウムについて書いてみようと思います。

みんなを支える微細藻類

殆どの人が聞いたことがないであろう生物。
でも皆が恩恵を受けているであろうマイナー生物「微細藻類」。

まずはwikipediaから。

・微細藻類とは
藻類のうち淡水海水堆積物などの水分中にみられる植物プランクトンであり、1ミリメートルから1マイクロメートルほどの大きさである[1]。 基本的には単細胞生物であり、単細胞生物同士が接着した群体を構成するものもある[2]

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%AE%E7%B4%B0%E8%97%BB%E9%A1%9E

微細藻類と言うより、植物性プランクトンといった方が馴染みがあるかと思いますが、ざっくり言うとワカメや昆布など目に見える藻類を「大型藻類」、顕微鏡を使わないと見えないレベルの藻類を「微細藻類」と言い、この微細藻類は地球上に数十万種存在すると言われています。

地球上に酸素がなかったとされている数十億年前に藻類が生まれ、この藻類の光合成によって酸素が生まれ、今となってはこの微細藻類が作った酸素が地球上の酸素の半分を占めていると言われています。
(その割には緑化運動だなんだといって、森林の話は出てきますが、大半が勝手に増えるせいなのか、藻を増やせ!という話は出てきません)

さらには現代社会に欠かせない石油もこれらの植物性プランクトンの死骸が堆積して生まれたともいわれており、私たちの生活を支える酸素、油など様々な起源、根幹を支える生物と考えられています。

クロレラ、ミドリムシ、アスタキサンチンも

じゃあ、具体的にどんなものがあるの?
というところですが、有名なところではクロレラやミドリムシ(ユーグレナ)もそのひとつ。ちょっと前ではスピルリナやアスタキサンチンなんかも仲間になります。

・ユーグレナ

ユーグレナ(ミドリムシ)は健康食品やバイオ燃料だったり、すでに様々なところで活躍していますが、食物繊維パラミロンをはじめ、ビタミンやミネラル、アミノ酸など59種類もの栄養素がバランスよく含まれているというのが大きな特徴。動物性・植物性の両方の性質をもつ藻類です。

・クロレラ

この中では最も古くから日本国内でもお馴染みの微細藻類と言えるのではないでしょうか?
その昔、中学校の先生(いかつい体育教師)が広告に出ていたのを見つけ、ちょっと面白がっていたのを思い出します。

クロレラといっても実は複数の種類があり、さらには株ごとに栄養組成が違います。
たくさんの栄養素を持っているのはユーグレナと同じですが、約60~70%くらいがタンパク質でできており、その他は炭水化物やビタミン、ミネラル、脂質、クロロフィルなどの葉緑素で構成されています。

・ヘマトコッカス

ヘマトコッカスと言われても…聞いたことがないでしょうが、抗酸化作用や化粧品原料としてよく耳にするアスタキサンチンと言えばご存じの方も多いのではないでしょうか。

ヘマトコッカスは淡水に住む単細胞の緑藻ですが、ストレスを受けると赤い色素(アスタキサンチン)を産生します。
怒る(ストレスが掛かる)、と赤くなる(アスタキサンチンを生成する)、ヘマトコッカス。

鮭、カニ、エビなんかに多く含まれると言われますが、DHAなどと同じで鮭やカニがアスタキサンチンを含む藻類を食べることで、食物連鎖の流れで動物の身体に蓄積されているものとなります。
赤い色素を活かして鮭や鯛などの養殖魚を育てる際に肉色をキレイにするために餌に配合されることもあるようです。

微細藻類の研究と活用目的

話を微細藻類全体に戻します。
持続可能な社会を目指すってことで実は色々な企業や大学で研究が進められているのが微細藻類。

日本微細藻類技術協会(IMAT)なる組織もあり、用途や研究目的は色々とあるようですが、大枠では下記のような目的となるようです。

微細藻類の可能性

①石油や石炭など化石燃料に変わるエネルギー資源として
②代替食料や医薬品原料として
(タンパク質やミネラル、ビタミンなどの栄養素を含むことから機能性成分の供給元として)
③色素や海産物の餌として
④①~③を実現する際の環境負荷の軽減

種類によって差がありますが、増殖スピードが速いこともあり、安定的に増やす環境や技術が確立され、その藻類が持つ栄養素や油脂成分などを抽出したりして活用できる状態にできれば、様々な可能性が拡がるということかと思います。

オーランチオキトリウムの魅力


顕微鏡で覗いたオーランチオキトリウム

で、ここまでが前談。(長くなってしまいました)
ようやくメインのオーランチオキトリウムのお話に辿り着きました。
もはや後編として2回に分けても良い気がしてきましたが、折角なので勢いのままに書き続けます。

ウルモリフトの主原料であるペンタデシル。
そして、このペンタデシルの素になっているのが石垣島沖で採取された微細藻類「オーランチオキトリウム」。

有機物を餌に分裂を繰り返し、オイルを自ら作り出す働きがあることから以前はバイオ燃料としての研究が進められていましたが、近年ではDHAやEPAなどの必須脂肪酸を作り出し蓄積することから、健康や美容などを目的とした開発が進められています。

オーランチオキトリウムは先述のミドリムシやクロレラとは異なり、光合成を行わない珍しい微細藻類で、どちらかというと昆布やワカメなどと近く、周りの有機物を吸収して成長していきます。(分類学的にも昆布やワカメと同じストラメノパイル生物群に属しています)

オーランチオキトリウム自体は、世界中の海水域や汽水域に生息しているのですが、同じピーマンでも味やビタミンの量が違うのと同様に、その株や生息している環境などで栄養素は異なります。
今回ウルモリフトに採用させていただいた株は、30万分の1の確率と言われるほど優れた組成(ざっくり言うと成分)で、実際に東京湾で採取したオーランチオキトリウムと比較すると、全く組成が異なっていたようで、「周りの有機物を吸収して」成長する微細藻類なので、まわりの環境が良くなければ…ってことだろうと思います。

ちなみに余談ですが30万分の1の確率というと下記が当てはまるようです。
・理想の異性が存在する割合(結婚相談所サイトより)
 ※その人と出会える確率は170万分の1らしいです
・サイコロ(6面)で7回連続で”1”を出す確率
 ※厳密に言うと279936分の1ですね

はい、脱線しました。

魅力その① サステナブルな栄養資源

光合成を行わないと先程書きましたが、おかげさまで密閉空間でも培養が可能なため、マイクロプラスチックや水銀などの海洋汚染や、外部環境の変化に左右されず生産できるというのが大きなポイント。
この特徴を活かし、海洋資源の減少や人口増加などの懸念に対するサステナブルな食品素材としての研究、活用が進められています。

最近ではユーグレナ社でも商業生産が開始され、植物性のシーフード代替品などサステナブルな食糧供給原料として期待がされているようです。
(以前、実際にオーラン油(油脂成分だけを抽出した状態)を食べてみましたが、ちょっと磯っぽい味がします)

魅力その② 海産DHA・EPAなど必須脂肪酸の起源

微細藻類が産んだ栄養が魚→ヒトに

人間の体内で合成できないけど、ヒトの栄養として必須とされるドコサヘキサエン酸(DHA)などの必須脂肪酸を自ら作り出し、高含有するオーランチオキトリウム。
魚介類が持つDHAは、自分で作っているのではなく、主にこのオーランチオキトリムなどの藻類を食すことで蓄えられているとされており、海産DHA・EPAの起源とか、底辺などと言われるのはこれが理由です。

魅力その③ 次代の必須脂肪酸、ペンタデカン酸脂質を高含有

先述のとおり、含有量は株によって異なるのですが、すでに一部の論文等では必須脂肪酸のひとつと定義している方もいるペンタデカン酸(奇数脂肪酸)を多く含むオーランチオキトリウム。

このペンタデカン酸については、また改めて書かせてもらおうと考えていますが、食品中に含まれる新たな健康機能成分とされています。
実際にキノコや魚類、乳製品などに微量に含まれる天然の奇数脂肪酸摂取は、コラーゲンの産生や肌のバリア機能などの美肌効果に加え、心臓疾患やアルツハイマー、メタボなどにも効果的とされる研究結果が出ています。

さらにはDHAとの相性が良く、本来酸化しやすいDHAを安定させてくれるといううれしい特徴ももっているようです。
※DHAは酸化すると身体良くないのでご注意

次回はペンタデシルについて(後記)

普段の生活ではあまり触れることのない微細藻類。
商品開発がきっかけで様々な文献等を読み漁り、先生方にお話を伺い、微細藻類の凄さを知ったわけですが、自分自身思いのほかハマってしまったようです。

このままだと延々と書くことになりそうなので一旦ここで区切りますが、次回は(いつになるかわかりませんが)オーランチオキトリウムから生まれたペンタデシル(原料)について触れたいなと。

実際に研究室やラボにもお邪魔し、顕微鏡を覗きながらお話を伺ったのですが、成り立ちや機能性などを知ることで、様々な可能性を感じると同時に、昔は楽しくなかった生物学の世界が楽しく感じて…

せっかくなので夏休みの自由研究が1日で終わる生物学イベントや働く細胞さんを参考に「働く微細藻類」みたいなコンテンツも作れたらなとか...。
本業ではないけど先生方に相談してみよう…

ではでは

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