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マクラメを編む


金属のリングに通した紐の束から4本をすくって一番左のひもを輪っかにして、すぐ横の2本の上に交差させる。右のひもを2本の下に通して輪っかの中にヒュッと差し込んでギュっと両端のひもを引っ張るー。何度もなんどもその動きを繰り返すと螺旋状にひもがなわれていきます。

これはマクラメと呼ばれる織物の結び方のひとつ。不器用な(私のような)人でもできるマクラメがここ最近のマイブームです。

◎マクラメは結びの技術を使った織物

きっかけは「花びらを水に浮かべたガラス瓶を飾るのにマクラメを作ってみましょう」という同僚からのお誘いです。「マクラメ??枕目?真っ暗め????いや違う」マクラメという言葉がドイツ語っぽくない響きだったので頭の中で日本語に自動変換してみたけれどどうも日本のものじゃない。(日本人の端くれの一人としては日本のものを知らないと恥ずかしいぞとつい思ってしまうのです)

「マクラメってなあに?」と同僚に聞いてみました。すると「何本か紐をつないで網みたいなもんを作るのよ」という答え。なんとなくイメージできる、というのも偶然にもその数日前に日本の雑誌で稲わらのひもを組み合わせたスイカの手提げネットを見たから。もしやして、あれですか!

稲わらひもで作ったスイカ入れ

あとでインターネットでマクラメについて調べてみると「マクラメ(Macrame)とは織物の一種で、主に結びの技術を駆使して作られる」(Byヴィキペディア)という説明を見つけました。


紐を結んで模様を作る技法で、それを使ってアクセサリーやインテリアをこしらえるらしいと知ってインターネットで検索したら色々な作品が出てきました。

ちなみに一説ではマクラメはアラビア語の「ムクラム」(格子編)に語源があって、「交差して結ぶ」という意味なのだそう。

◎ドイツで流行っている(らしい)マクラメ

さてマクラメづくりにもどりましょう。同僚自身も作ったことはないそうで2人でyouTubeの動画にお世話になりながらまずは材料の選定から。はさみ、編み目の間隔を揃えるための段ボール、ものさし、は問題なし。悩みはひも。あれでもない、これでもないと引き出しや倉庫を探して荷物用の太めの麻ひもをチョイス。

毛羽立つのでマクラメの素材としては不向きなのかも、とか言いながら切ったヒモをリングに引っかけ、動画とにらめっこで編み始めました。

初心者の私たちが挑戦したのは「超簡単なハンギングプランター」。編み方は片結びと平結びの2種類のみ。一人がグルグル巻きになっていたひもがクルンクルン逃げないよう馬の手綱のように引っ張って、もう一人が編みを担当する。うっかり間違ったりもするけれど、ほどき直せばいいだけので気にしない気にしない。

片結びでらせんができます

私たちの作業風景を見て同僚が「マクラメだね。子供の頃(1970年代)にやったよね。最近またよく見かけるよ」と声を掛けられました。そう言われてみればモンステラを探しにガーデニングセンターに行った時に似たようなものが天井からぶら下がっていたかも・・・流行りものだったのですね。

◎アラビアと日本、昔の人の知恵に感服する

2時間ほどかかってようやくプロトタイプの完成。よく見ると編み目が緩かったり、バランスが合ってなかったり、たるみなどなどかなりアラが目に付くけれど、植物の鉢を中に入れてみたらなかなかカッコいい。植物も新しい装いにちょっとうれしそう。(完全に自画自賛の世界です、ハイ)同僚と二人で「私たち、やればできるじゃない!」とハイファイブまでしちゃいました。

プロトタイプが完成


翌日に一人で別素材の太めの紐で再挑戦。前日は必死だったけれどこの日は手が動きを覚えていてススイのスイスイ(の部分もありました)。一心に紐を結びながら思ったのは、たった一本のひもでよくぞこういうことを考えついたもんだということ。

マクラメ自体はアラビアが本家ですが、日本でも縄文の時代から組紐の歴史があったようです。洋の東西を超えたいにしえの人たちの知恵と工夫。。。袋だとおさまりの悪いスイカだって紐を組み合わせれば運びやすいのでないかと思いついた人もスバラシイ。

人間の醜さや愚かさばかりを見せつけられて打ちのめされそうな気持の中、ほんのかすかな一筋の光、人間への希望を見せてくれるような気がしてひたすら手を動かしてしまう、それが今の私のマクラメブームです。


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