その味は南の島から
八月も後半戦に入ったがまだまだ暑い日が続いている。
家にいる間はエアコンは設定温度二十六度でフル稼働である。
今日は日中に外にいる時間が長かったのでたっぷりと汗をかいた。
熱中症にならないようにこまめに水分を取りながら身体を動かした。
夕方には終わったので自動販売機で水を買ってちびちびと飲んだ。
さてそろそろ晩御飯の買い物に出かける時間である。
今日は何かガッツリとスタミナがつくものが食べたい。
何にするかぼんやりと考えながらスーパーに足を運んだ。
総菜コーナーから覗いてみたが脂っこい揚げ物ばかりであまり食指をそそられなかった。
そこでさあ、お前は一体何を食べたいんだいと筋肉タレントのような言葉が浮かんできて店内をウロウロした。
こういう時はやっぱり肉でしょうという事で精肉コーナーに行った。
鶏肉は昨日食べたので選択肢から外れる。
あれこれと観ていると合い挽きミンチが三割引きだったのでこれを使おうと決めた。
ミンチと言えばハンバーグだがちょっと今日は面倒だったのでそれはパス。
挽き肉料理のレパートリーはそれほど多くは無いのだが今日はわりとすんなりとこれにしようと決めた。
後はやげん軟骨が食べたかったのでお値段は少々お高いがカゴに入れた。
それから必要な野菜や調味料を買い求めてレジで精算して帰宅した。
家に帰ってから手洗いとうがいを念入りにして何はともあれエアコンのスイッチをポチッとな。
部屋が冷えるまでの間にご飯作りをする事にした。
まずはお米を二合ほど研いでから早炊きモードで炊いておく。
お次に玉ねぎをみじん切りにしてレタスを千切りにして水にさらしておく。
フライパンに油をしいてニンニクを炒めて香りが立ったらミンチを入れて八分目まで火が通るまで炒めていき玉ねぎを投入。
玉ねぎに火が通ったらケチャップ、ウスターソース、ナンプラー、チリパウダー、塩コショウで味付けをする。
後はトマトを一口サイズに切り分けておく。
炊飯器がピーピー鳴いたらお皿に水を切ったレタスを敷いてその上にご飯を乗せてミンチをたっぷり乗せてトマトをあしらったらタコライスの出来上がり。
メインにボリュームがあるので副菜はあまり必要ないのでつまみでやげん軟骨をフライパンでこんがり焼いて塩で味付けして一丁上がり。
汁物は玉ねぎ入りのコンソメスープを簡単に作る。
ようし今日はこんなものだろうと思って料理を居間に運んだ。
頂きますをしてビールのプルタブをカシュッと開ける。
泡が多くならないように慎重にグラスに三度注ぎをしてではと恭しく掲げてグイーッと一息で飲み干す。
一日の疲れが吹き飛ぶような爽快感が全身を包む。
ああ、やっぱり夏のビールは止められないと頬が思わず緩む。
二杯目をグラスに注いでクイーッと飲む。
ではではとやげん軟骨から手を付ける。
クニクニとした柔らかさとコリコリとした確かな歯ごたえが同居した不思議な食べ物である。
ニワトリの肉は捨てる所が無いなぁと感心してしまう。
味付けはタレよりも断然塩の方が合う。
コリコリ、ゴクゴクと軟骨とビールの永久機関が出来そうだったがビールは基本的に一日二本までと決めているので何とかそのループから抜け出した。
お酒をジンソーダに切り替えて爽やかな香りを楽しみながらタコライスにスプーンを伸ばす。
よくかき混ぜてハクリと口にするとシンプルな味付けながらも奥が深い味がする。
ナンプラーを入れるのがオリジナルと言えばそうだが私がタコライスを作る時には欠かせない調味料である。
レタスのシャキシャキとトマトのフレッシュな酸味がタコミートの脂っこさを中和してくれていいバランスの上に成り立っている。
普段あまり料理に使わないチリパウダーもピリ辛でいい仕事をしている。
うんうん、美味い美味いと思いながらモリモリと食べた。
合間にコンソメスープを挟んであっという間に完食した。
お代りをしようかと思ったが一応ダイエット中の身の上なので止めておくことにした。
その分カロリーの低いであろう軟骨をコリコリと齧りながらちびちびとお酒を飲んで晩酌を楽しんだ。
タコライスは夏に似合う食べ物だなぁと思ってごちそう様をしてお皿を片付けた。
今日は洗い物が少なくてそれもちょっと嬉しかった。
まだまだ続く残暑の厳しい折、食卓で季節を感じたい。
さぁて明日は何を食べようかな。
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