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新しい家族・新しい命

まぁ、そうなるだろうとは思っていた。
けれど、私が思っていたより早く、その日はやってきた。

その日は休日だったので、早起きをしてバラ仕事をしてのんびり過ごしていたのだった。
梅雨入り前の、良いお天気で庭の草木もバラも、緑が生き生きしてた。
母上は朝から病院に行っていて、私は1人で休日を堪能していた。

そんな昼下がりに、それはやってきた。

玄関ポーチが賑やかだなぁ、誰かきたと思ったら、弟夫婦のお出ましだった。
いつもより賑やかだったのは、もう1匹、いたから。

『初めまして〜〜』

生後4ヶ月の、柴犬の仔犬だった。

興味津々にあちこち嗅ぎ回ったりしている。
私を見ている。小さい、可愛い。

「...うわぁ〜遂に…」

と、正直な感想が漏れてしまった。

散々、もう飼えないよと言っていたのだけれど。
個人的にもまだ犬を迎える気持ちになっていなかったし、
そもそも経済的難しいと思っていたので、諦めていたのだけど。

仔犬は全くじっとしていなくて、動き回ってリードに絡まったり、
唐突に座って耳を掻いたりしている。
人間に興味津々で、私、弟、義妹の足元を行ったり来たりしている。
仔犬特有の柔らかい毛がフワフワと揺れて午後の日の光に輝いていた。

ゆうちゃんはお顔が白いところと茶色いところが分かれていたけれど、
この仔犬は全部茶色で、ハスが長くてきつね顔だ。まだ麻呂眉はない。
真っ黒な鼻に真っ黒な髭。動き回って暑いのか、仕切りにはぁはぁしていた。

ゆうちゃんが使っていた食器で水をやると、凄い勢いで飲んでいた。
思わず、動画をとってしまう。

弟夫婦は、ゆうちゃんが使っていたリードやケージを持って帰って行った。
新しい仔犬が使ってくれるなら、それも良い。良いよね、ゆうちゃん。

しばらくして母上が帰ってきたので、写真と動画を見せた。
「あら、可愛い。でもちょっと大きくない?」
「4ヶ月だって。今は4ヶ月くらいまでは親元で過ごさせるのが普通らしいよ」
「この子もきつね顔ねぇ」

そんな事を話していたら、弟夫婦が戻ってきて母上ともご対面となった。

庭に放つと、凄い勢いで走り出す。
走れる‼︎幸せ‼︎みたいな感じ。
そして、気持ちの勢いに身体がついていけずに転がったりしている。
命の輝きを見る思いだった。
圧倒的に命だった。もう抗えない。
我が家の中心がやってきてしまった感じ。

夜勤がある義妹と近々出張が入っている弟は、早々に仔犬を預かって欲しいと言ってきた。
断れない、だって可愛いから‼︎
ちょうど私が休みなので、好都合だった。
さっそく新たな仔犬用の折り畳めるサークルケージをポチった。

何もかもが、仔犬の思う壺だ。(別に仔犬が企んでるわけじゃないけど)

庭で転げ回る仔犬を見ていると、なんだか泣きそうになってしまった。

やはり、庭には犬が良く似合う。

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