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母の「大丈夫」

私はよくやらかす。小さいやからしから大きいやらかしまで含めると1日5回以上やらかしているだろう。やらかすのはいつものことでもう慣れてしまったやらかし大臣の私であるが(迷惑をかけている周りの人には申し訳なく思っている)ここ最近はやらかす頻度も高くやらかすレベルも酷かった。そんな中今日人生でTOP5にははいるであろうやらかしをした。ちなみに一昨日はTOP3にははいるであろうやらかしを。

さすがに1人では抱えきれなかったので母に電話をした。元々は心配をかけまいとやらかしたりへこんでいるときはあえて母には連絡を取らなかった。連絡がきても無視をしたことも多々ある。そんなときに電話をすると必ず泣いてしまうからだ。母は心配性であるため電話口で娘が泣き出したら心配になるだろう。だから私はなにかあったら一人でわんわん泣くようにしていた。母に愚痴ってしまうと最終的には泣く姿が目に浮かぶので愚痴も言わずいつも元気に振る舞っていた。

でも最近は違った。元々疲れが溜まると母に連絡を取りたくなってしまうのだがつまらない電話がどんどん愚痴に変わってしまっていた。でも決して愚痴るだけで泣きはしなかった。

今日はやらかした後すぐに母に電話をした。私も自分のやらかしに呆然としていた。誰かに聞いて欲しかった。決して泣きたかったとかではなかった。

母に電話をして開口一番は「やらかした」。母はやらかし大臣を23年間育てているのだ。この「やらかした」は23年間で1番聞きたくない言葉であり1番聞き飽きた言葉であるだろう。電話口の母はまたか、といった調子で何?とはなしを聞いてくれた。私はヒートアップして、もう無理。死ぬしかない。絶対無理と言う。そんな私に母は、

「大丈夫や!絶対大丈夫!全然大丈夫やん!」

と言ってきた。何度母のこの何の根拠もない大丈夫に腹を立てたことだろうか。

自分のやらかしに腹が立っていた私は「いやなにがわかるん?わかるわけないし大丈夫なわけないやん!そんなあまないねん」 と発した。ただのやつあたりである。正真正銘親不孝な娘である。興奮し続ける私に母は続けた

「私が大丈夫って言ったら大丈夫やから!絶対大丈夫!大丈夫やからな!私も大丈夫なように祈っとくから」

何度この母の何の根拠もないけどどっからその自信がわいてくるん?の大丈夫に励まされたことか

ようやく冷静さを取り戻した私は次は涙が止まらなくなっていた。23歳にもなり自分の重大なミスで母に八つ当たりをし最終的には泣いた。なんて情けないやつなんだ。

泣いてるのがバレたくなくしばらく黙ってる私に母は聞いてる?大丈夫やからな!と続けた。電話を切った後も大丈夫やから落ち込まんときやっていう絶対今めちゃくちゃ落ち込んでる人にそれいうたらあかんでの代名詞みたいなLINEが来ていた。ふざけた絵文字付きで。でもきっとほんとは絵文字をつかえないぐらい、泣いている絵文字を使いたいぐらい母に心配をかけてしまったと反省している。

多分今回の件に関しては大丈夫の神母でもどうにもできないぐらいのやらかしなので反省して諦めるしかないのだが思い返してみるとこの母の

大丈夫

になんど腹立ち何度励まされただろう。

中学の時親子で呼び出され母は泣きながら謝っていた。やらかしてばかりの私のために何度も頭を下げてくれた。周りには友達やその親、先生がたくさんいた。そんななか何度も何度も頭を下げてくれた。その日帰ってすぐそこまでさせてしまった母に謝りもせず2階に上がって不貞寝をしているフリをして泣きじゃくっていた。やらかしてしまった内容よりも親にあんな姿をさせてしまった罪悪感で。そんなとき下から両親の会話が聞こえてきた。前後の会話はわからなかったが「あの子はきっと大丈夫。わかってるはずや。私は信じてる。大丈夫大丈夫。」親を裏切ってばかりの私に対してもまだ大丈夫と言ってくれた。

不安感が強い私がプレッシャーに押しつぶされそうになるといつも大丈夫大丈夫と言ってくれる。

多分母の大丈夫は3割の腹立たしさと7割の安心感でできているのだろう。