仮名子

2024年1月に小説を書くという行為に手を染めました。本垢でありオタ垢 https:/…

仮名子

2024年1月に小説を書くという行為に手を染めました。本垢でありオタ垢 https://note.com/notbotsummer

マガジン

  • 針を置いたらあの海へ

    ニット男子レオ(17)と彫り師たっちゃんさん(28)の協働クリエイティブ青春モヤモヤゆううつ旅行小説

  • 執筆記

    執筆中に思うことあれこれ。 小説本体より読まれている。

  • 此方のぼくら

    小説

  • あいこさんの相続人

    完結しました。してしまいました。 しょんねぇ男とよくわからん女(故人)の話。

記事一覧

固定された記事

針を置いたらあの海へ 第1話

しょうしつ‐てん〔セウシツ‐〕【消失点】 遠近法や透視図法における、平行な直線群が集まる点。バニシングポイント。 「たっちゃんさん」は、突如俺の前に現れた。それ…

仮名子
2か月前
43

陰鬱な19歳浪人生の話、プロット出来たぞおい……
書くか?創作大賞に間に合わすか?
<追記>
各出版社のホラー部門に対するコメント見たら、あー絶対求められてる感じじゃないわこれは、と心折れかける。創作大賞関係なく、ゆっくり仕上げてどこかに応募するか……

仮名子
6時間前
4

【執筆記】読んでもらえる奇跡を感じろ? 他5本

ひと記事になるボリュームはないけど、最近思ったこと色々を書き散らします。 1.毎作読んでくれる方がいるという奇跡をもっと感じるべき 私の書いたものを全部読んでくれ…

仮名子
1日前
16

推敲と言う名の読み返し(ただ自作が好きだから読みたいだけ)をしているけど、急に「自分の文体」というものに疑問を抱く。短い一文を重ねるのが好きなんだけど、それってアリなのかな……いや、どう書こうと自由だからアリもナシもないんだけど。そしてこの文体、推敲シロがありすぎて収集つかない

仮名子
1日前
3

タイトル→「針を置いたらあの海へ」
本文→編み物あり&関門海峡
見出し画像→変更

いつ終わるのこれ。
だれかめちゃくちゃいいタイトル思いついたらこっそり教えてください。

仮名子
3日前

例のごとく夫と一時間の編集会議したんです。結果。
・編み物要素は活かそう
・夫「BL、重くね……?」
・夫「文学作品におけるトンネルは意味が重い。トンネル入る直前でENDではどう?」
 私「読者ブチ切れるわ、エンタメ小説やぞ。メタファーとしての整合性よりストーリーライン重視じゃ」

仮名子
4日前
1

大改稿~11万5千字から7万字削って5万5千字足した話~

タイトルで全部言っちゃうラノベスタイル。 私は以前、「創作大賞だからこそ公開改稿する」と宣言しましたが まさかここまでの大改稿になろうとは。 ここまでの大改稿が…

仮名子
7日前
11

此方のぼくら #9(終)

 羽田空港の出発ロビーで、俺は、ポーン、ポーンという音を聴いていた。この音聴くと、あぁ空港にいるなぁ、って気持ちになるんだけど、これってどういう意味がある音なん…

仮名子
7日前
8

此方のぼくら #8

 旅行当日の朝、重たい荷物を抱えて、ばあちゃんのカフェ及び自宅及びたっちゃんの店の最寄り駅に集合した。 「おはよ!レオちゃんと寝てきた!?俺あんま寝てない!楽し…

仮名子
7日前
5

此方のぼくら #7

 一学期の期末テストが終わったから、と、ルイが来店した。本格的に受験生になったルイが気軽に店に来られるのも今日までかな、とぼんやり考えていた。  いつも通り絵を…

仮名子
7日前
6

此方のぼくら #6

 桜もすっかり散った頃、たっちゃんさんが 「遅くなったけど、レオのお誕生日と入学祝いでもしようか」  と、飯に誘ってくれた。お誕生日は揺るぎない、かつ過ぎた出来事…

仮名子
7日前
7

此方のぼくら #5

 うちのカフェは、十九時にもなれば、お客さんはほぼ、いや全く居なくなる。ばあちゃんのお友達の常連さんたちは、夕飯の支度なり、買い出しなりがあるから。それでもばあ…

仮名子
7日前
7

此方のぼくら #4

 朝目を覚ますと、家の中がやけに静かだった。朝のニュース番組の声が聞こえない。その分、窓の外の鳥のさえずりとか、車の行き交う音、小学生のさざめきがよく聞こえる。…

仮名子
7日前
7

此方のぼくら #3

「あ、アケミさん、いらっしゃいませ」 「おはようレオ君、いらっしゃいませなんて堅苦しいわよぉ」 「すいません、おはようございます。今日、紅玉のアップルパイあります…

仮名子
7日前
6

此方のぼくら #2

 カフェからほど近い、ばあちゃんちに“帰宅”した。二階の客用寝室は、期間限定の「レオの部屋」になっていた。中には、実家から送った段ボール三箱がそのまま置いてある…

仮名子
7日前
7

此方のぼくら #1

しょうしつ‐てん〔セウシツ‐〕【消失点】  遠近法や透視図法における、平行な直線群が集まる点。バニシングポイント。 (小学館 大辞泉 より)  高校中退記念に訪れ…

仮名子
7日前
14
針を置いたらあの海へ 第1話

針を置いたらあの海へ 第1話

しょうしつ‐てん〔セウシツ‐〕【消失点】
遠近法や透視図法における、平行な直線群が集まる点。バニシングポイント。

「たっちゃんさん」は、突如俺の前に現れた。それは、高校中退記念に美容室に行った日のことだった。
 高校サボり開幕記念に髪を伸ばし始めて半年、長めのショートヘアは肩を通り越し、ウルフヘアになっていた。
「長髪似合いますね、ロックバンドのボーカリスト、みたいな」
 美容師さんにそう話し掛

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陰鬱な19歳浪人生の話、プロット出来たぞおい……
書くか?創作大賞に間に合わすか?
<追記>
各出版社のホラー部門に対するコメント見たら、あー絶対求められてる感じじゃないわこれは、と心折れかける。創作大賞関係なく、ゆっくり仕上げてどこかに応募するか……

【執筆記】読んでもらえる奇跡を感じろ? 他5本

【執筆記】読んでもらえる奇跡を感じろ? 他5本

ひと記事になるボリュームはないけど、最近思ったこと色々を書き散らします。

1.毎作読んでくれる方がいるという奇跡をもっと感じるべき

私の書いたものを全部読んでくれている読者さんは、推定20名。
(以前Xにアップした、ダウンロードでしか公開していない作品のダウンロード数から推定)
20名。
20名。

多すぎるだろ!!!!!

だってさ、いきなり回覧板で10万字の小説が回ってきてもさ、読まないで

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推敲と言う名の読み返し(ただ自作が好きだから読みたいだけ)をしているけど、急に「自分の文体」というものに疑問を抱く。短い一文を重ねるのが好きなんだけど、それってアリなのかな……いや、どう書こうと自由だからアリもナシもないんだけど。そしてこの文体、推敲シロがありすぎて収集つかない

タイトル→「針を置いたらあの海へ」
本文→編み物あり&関門海峡
見出し画像→変更

いつ終わるのこれ。
だれかめちゃくちゃいいタイトル思いついたらこっそり教えてください。

例のごとく夫と一時間の編集会議したんです。結果。
・編み物要素は活かそう
・夫「BL、重くね……?」
・夫「文学作品におけるトンネルは意味が重い。トンネル入る直前でENDではどう?」
 私「読者ブチ切れるわ、エンタメ小説やぞ。メタファーとしての整合性よりストーリーライン重視じゃ」

大改稿~11万5千字から7万字削って5万5千字足した話~

大改稿~11万5千字から7万字削って5万5千字足した話~

タイトルで全部言っちゃうラノベスタイル。
私は以前、「創作大賞だからこそ公開改稿する」と宣言しましたが

まさかここまでの大改稿になろうとは。

ここまでの大改稿が、一応(Webという)公の場でなされることは、あまりないのでは?と思い、その記録を残しておきたいと思います。

もうにっちもさっちもいかねぇ……こいつ(作品)が息を吹き返すことはあるのか……
そんなお気持ちの方に、参考になればいいなと思

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此方のぼくら #9(終)

此方のぼくら #9(終)

 羽田空港の出発ロビーで、俺は、ポーン、ポーンという音を聴いていた。この音聴くと、あぁ空港にいるなぁ、って気持ちになるんだけど、これってどういう意味がある音なんだろ。多分調べれば分かるんだけど、こういう疑問って、ネットのブラウザ立ち上げた瞬間に忘れちゃうんだよねぇ、と、ぼんやり考える。
 「同行者」は、離陸前どころか、出発ロビーのベンチの時点で寝た。昨日は遅くまで、大学の友達と遊んでたらしい。旅行

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此方のぼくら #8

此方のぼくら #8

 旅行当日の朝、重たい荷物を抱えて、ばあちゃんのカフェ及び自宅及びたっちゃんの店の最寄り駅に集合した。
「おはよ!レオちゃんと寝てきた!?俺あんま寝てない!楽しみすぎて」
「おはよ。まぁ、寝不足、かな」
駅に来るだけで汗だくになったのに、そしてたっちゃんさんだって汗だくなのに、なんでこんなに元気なんだ。俺は昨夜やっぱり、あんまり眠れなかった。楽しみではあるけれど、不安の方が断然大きい。どうせ今晩も

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此方のぼくら #7

此方のぼくら #7

 一学期の期末テストが終わったから、と、ルイが来店した。本格的に受験生になったルイが気軽に店に来られるのも今日までかな、とぼんやり考えていた。
 いつも通り絵を見せ合ったり、編入する高校に美術部はあるのか、とか話をした。話がひと段落して、ルイがそわそわと窓の外を気にし始めた。
「今日はたっちゃんさん、来るかしら」
「ほぼ毎日来るし、来るんじゃん?」
「今日は来てもらわないと困るわね。そろそろ伝えて

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此方のぼくら #6

此方のぼくら #6

 桜もすっかり散った頃、たっちゃんさんが
「遅くなったけど、レオのお誕生日と入学祝いでもしようか」
 と、飯に誘ってくれた。お誕生日は揺るぎない、かつ過ぎた出来事だが、入学は不確定な未来の予定、どっちにしろ中途半端なお祝い会だ。
 俺は、三月に十七歳になった。学生証を持たない身になってもう八ヶ月経つ。相変わらず、元高校生フリーター未満という中途半端な立場で日々を謳歌している。でも、それも残りあとも

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此方のぼくら #5

此方のぼくら #5

 うちのカフェは、十九時にもなれば、お客さんはほぼ、いや全く居なくなる。ばあちゃんのお友達の常連さんたちは、夕飯の支度なり、買い出しなりがあるから。それでもばあちゃんは、毎日二十時まで店を閉めない。もしかしたらふらりと休みたくなる人もいるかもしれないから、と。
 そんな、閑散とした十九時に、予告通りつやつやのポニーテールの女子高生が来店した。亡くなった常連のアケミさんの孫、川辺ルイ。俺の中高の同級

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此方のぼくら #4

此方のぼくら #4

 朝目を覚ますと、家の中がやけに静かだった。朝のニュース番組の声が聞こえない。その分、窓の外の鳥のさえずりとか、車の行き交う音、小学生のさざめきがよく聞こえる。いつもなら一階から香ってくるみそ汁の匂いも、今日はしない。
「ばあちゃん?」
そこそこ大きめの声で呼びかけたが、いつもの鷹揚な「はぁい」は返ってこない。
まさか、まさかね、と思いながら、厚手のカーディガンを羽織り、スマホを握りしめて階下へ降

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此方のぼくら #3

此方のぼくら #3

「あ、アケミさん、いらっしゃいませ」
「おはようレオ君、いらっしゃいませなんて堅苦しいわよぉ」
「すいません、おはようございます。今日、紅玉のアップルパイありますよ」
「あらっ、好きなのよ覚えててくれたの?嬉しいわねぇ」
バイトを初めて三ヶ月ちょっと経ち、今シーズンの紅玉が終わろうとしている。アップルパイは、作ってもあと二回くらいだろうか。シナモンの効いた暖かいアップルパイに、冷たいアイスクリーム

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此方のぼくら #2

此方のぼくら #2

 カフェからほど近い、ばあちゃんちに“帰宅”した。二階の客用寝室は、期間限定の「レオの部屋」になっていた。中には、実家から送った段ボール三箱がそのまま置いてある。
 実家で荷造りをしていた時のことを思い出す。母さんは俺の学習机の椅子に座って漫画を読みながら、
「やぁっとレオが家を出るか。十六年間よく頑張りました」
 と楽し気に言ってきた。あ、この漫画面白いから置いてって、とも。
「独り立ちするみた

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此方のぼくら #1

此方のぼくら #1

しょうしつ‐てん〔セウシツ‐〕【消失点】
 遠近法や透視図法における、平行な直線群が集まる点。バニシングポイント。

(小学館 大辞泉 より)

 高校中退記念に訪れた美容室で、俺は、買ったばかりの「萩・下関・門司」と書かれたガイドブックを開いた。朝の情報番組で、寿司がずらりと並ぶ唐戸市場の映像を観て、あ、食いたいなと思ったからだ。もう俺は、寿司を食いたいというだけの理由で、旅行を検討できる。十六

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