美原さつき

地球と生命を愛する者。特に古生物に関心があります。 生物学・環境科学系のトピックを発信…

美原さつき

地球と生命を愛する者。特に古生物に関心があります。 生物学・環境科学系のトピックを発信していきます。

マガジン

  • 全国自然博物館の旅

    日本全国を旅して訪れた博物館について、旅行記風の記事を書いていきます。旅行好きな人、生き物好きな人、恐竜好きな人にたくさん読んでいただきたいです。毎週更新します!

  • The Lost Universe

    絶滅動物に関する一般向けの学術記事です。あまりフォーカスされることのない古代の巨大生物たちについて、最先端研究を交えながらご紹介していきます。 毎週1回以上の頻度で更新していく予定です。

  • 全国水族館の旅

    訪れた国内の水族館の素晴らしさを記事で皆様に伝えていきたいと思います。生き物好き、旅好きの方々にぜひ読んでいただきたいです。毎週更新します。

最近の記事

  • 固定された記事

The Lost Universe 古代の巨大霊長類たち②巨大キツネザル

原始霊長類からさらに進化を重ねた古代のサルたちは、決して一つの道筋を歩んだわけではありません。ある種族は大陸から島へと渡り、独自の生態と形態を獲得して、現在にまで血脈をつないできました。その不思議な霊長類こそ、マダガスカル島で繁栄しているキツネザル類なのです。 キツネザルとは?神秘の島に息づく原始のサル キツネザル。 その名が示す通り、キツネのごとく長い鼻面と長大な尻尾を持つ彼らは、原始的な特徴を持つ『曲鼻猿類』というグループに属するサルです。彼らが棲むマダガスカル島は、

    • 全国自然博物館の旅㉞岐阜県博物館

      戦国時代のごとく全国各地で大勢のゆるキャラが名を上げているように、博物館でも可愛いマスコットキャラクターが次々に生み出されています。中でも、岐阜県博物館には魅力的なキャラクターが3人(1人と2頭)もいるので、子供含め多くの来館者は大喜びです。 キャラクターたちと共に館内を巡れば観覧の楽しみは倍増し、各キャラの言葉を通して展示への理解が深まります。来館者を引き込む工夫が満載の岐阜県博物館を訪れれば、充実した学習体験を味わえます。 深緑の公園の中に立つ自然科学探究基地関市に位置

      • The Lost Universe 古代の巨大頭足類④巨大鞘形類

        頑丈な殻を背負った巨大アンモナイトや巨大オウムガイは、とても強く見えます。しかし、生存競争における強さでは、現生の頭足類も負けてはいません。卓越した運動能力と軟体動物屈指の知能を有するタコやイカたちは、アンモナイトが滅んだ後も全世界の海で力強く繁栄しており、オウムガイよりもずっと広く分布しています。 美しく、たくましく、知的なタコやイカたち。太古の時代、彼らはどのように暮らしていたのでしょうか。 鞘形類とは何者か?高度に進化した究極の軟体動物 海洋生物が好きな人々にとって

        • 全国水族館の旅㉝ひみラボ水族館

          博物館施設である水族館では、生き物の保全と研究も重要なお仕事です。日本国内には各地に多数の水族館が存在しており、個々に地域の生命を守り育てています。 希少種の保護の場としても重要な水族館。今回は北陸地方の研究展示施設にて、保全活動の真理と技術について学んできました。 水の生命を守り育てる地域密着型水族館その名の通り、ひみラボ水族館は富山県氷見市に位置する水棲生物の研究展示施設です。正しくは「富山大学理学部・氷見市連携研究室」であり、まさに地域密着型水族館として、現地の生命の

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        The Lost Universe 古代の巨大霊長類たち②巨大キツネザル

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        • 全国自然博物館の旅
          34本
        • The Lost Universe
          40本
        • 全国水族館の旅
          33本

        記事

          全国自然博物館の旅㉝多賀町立博物館

          世間ではゴールデンウィークとなり、どこの観光地でもたくさんの旅行者の方々を見かけると思います。滋賀県では彦根城が大盛況になっていると思いますが、近場に生物マニアがハマる穴場スポットがあります。 琵琶湖の景観や有名な史跡を楽しみつつ、地域自然を学習するのも素晴らしい旅になると思います。きっと、そこには予想以上にスケールの大きな世界が待っています。 歴史的な偉業を成し遂げた地域博物館多賀町立博物館は彦根市近くの犬上郡という地域に位置しており、琵琶湖から見て東側の地域(湖東地域)

          全国自然博物館の旅㉝多賀町立博物館

          The Lost Universe 古代の巨大頭足類③巨大アンモナイト

          アンモナイトは、化石マニアにとって永遠のロマンです。太古の海に生き、その記憶を現代に伝えてくれる憧れの存在。彼らはとても有名な古生物であり、化石と言えばアンモナイトというイメージが人々に強く根づいています。 なぜ、人はアンモナイトが大好きなのでしょうか。永きに渡る繁栄と巨大種の神秘を通して、彼らの魅力に迫りたいと思います。 アンモナイトとは何者か?「化石」の代名詞となった神秘の頭足類 古生物ファンにとって、アンモナイトは絶大な人気を誇ります。化石発掘のターゲットとしてよく

          The Lost Universe 古代の巨大頭足類③巨大アンモナイト

          全国水族館の旅㉜アクアテラス錦ケ丘

          飼育技術や水質浄化技術の発達した現代では、水源から離れた陸地の至るところに水族館があります。それが高じて、より身近な飼育展示施設となり、今や商業施設の中にも水族館が設けられています。 宮城県には小高い丘の上の水族館があると聞いて、ワクワクしながら出かけてみました。ショッピングモールの奥にはどのような空間が広がっているのか、とても楽しみです。 内陸地のショッピングモールの中に水族館?アクアテラス錦ケ丘は、仙台市青葉区の商業施設「錦ケ丘ヒルサイドモール」の中にあります。現地の公

          全国水族館の旅㉜アクアテラス錦ケ丘

          全国自然博物館の旅㉜天草市立御所浦恐竜の島博物館

          我が国に「恐竜の島」があるのはご存じでしょうか。 歴史文化の深い天草市。当地の幽玄な海に浮かぶ御所浦島には恐竜時代の地層が存在しており、日本の恐竜学にとって画期的な発見が成し遂げられました。博物館がリニューアルしたタイミングを狙って、恐竜マニアなら誰もが憧れる夢の島へ行ってきました。 太古のロマンを求めて「恐竜の島」へ!中生代のロマンと豊かな自然に満ちた恐竜の島・御所浦島。憧れの恐竜たちに出会うためには、フェリーか海上タクシーで島へ渡ります。熊本県内の数ヶ所の港で定期便が運

          全国自然博物館の旅㉜天草市立御所浦恐竜の島博物館

          The Lost Universe 古代の巨大頭足類②巨大オウムガイ

          オウムガイを目の当たりにすると、古代からやってきたような生き物のように思えます。古生物図鑑に出てくるアンモナイトそっくりであり、深海をゆったり漂う姿はとてもミステリアスです。 彼らオウムガイ類は遠い昔にアンモナイトと袂を分けた存在であり、アンモナイト誕生よりもはるかな太古に地球の海を支配していました。無限に広がる大海原の中には、巨大な殻をまとうクラーケンたちがひしめき合っていたのです。 オウムガイとは何者か?殻を背負う頭足類版の「潜水艦」 南太平洋からオーストラリアにかけ

          The Lost Universe 古代の巨大頭足類②巨大オウムガイ

          全国水族館の旅㉛タツノオトシゴハウス

          今年は辰年。我々に最も「辰」をイメージさせてくれる現生動物と言えば、海に棲むタツノオトシゴです。 普通の魚とは形も繁殖生態も大きく異なる彼らは、とても不思議な魅力をまとっています。この度は、辰年にふさわしい「タツノオトシゴ専門の水族展示施設」を訪ねました。 薩摩の南端部に立つタツノオトシゴの家魅惑のタツノオトシゴハウスが位置するのは、南九州市の薩南海岸県立自然公園の海沿い。旅人の筆者は必然的に鹿児島市内からのスタートになり、鹿児島中央駅前でレンタカーを借りました。 運転する

          全国水族館の旅㉛タツノオトシゴハウス

          全国自然博物館の旅㉛滝川市美術自然史館

          「羽毛恐竜よりも、ごつごつした鱗の恐竜が好きだ。恐竜は冥界のモンスターだからこそかっこいい」 ご年配の恐竜ファンには、そういう意識をお持ちの方も多いのではないでしょうか。昭和の恐竜復元の雰囲気を感じてみたい方は、一度、北海道の滝川市を訪ねてみてください。きっと、図鑑を夢中でめくっていた子供時代の記憶が、大迫力の恐竜たちと共に甦ってくるはずです。 オールド恐竜ファンよ、北海道に集え!滝川市は札幌市から北の方角に80 kmほど離れた街です。筆者のような他の地方の旅行者は、新千歳

          全国自然博物館の旅㉛滝川市美術自然史館

          The Lost Universe 古代の巨大頭足類①頭足類の始まり

          タコやイカは奇妙で精巧な生き物です。SF映画に出てくる地球外生命体のような姿をしていて、私たちとは別世界の住民に見えます。彼らの知能や特殊能力は計り知れないものがあり、最先端の分析技術をもってしても、タコやイカの実像は謎だらけです。 とてつもなくミステリアスでクレバーな海洋生物。彼らの進化を紐解いていったとき、さらに不思議な世界が見えてきます。 頭足類とは何者か?頭足類。多くの人には聞きなれない分類群の名前だと思われますが、言い換えるとタコやイカの仲間です。周知の通り、海洋

          The Lost Universe 古代の巨大頭足類①頭足類の始まり

          全国水族館の旅㉚伊豆・三津シーパラダイス

          あわしまマリンパークの閉館報告にショックを受けている水族館ファンは多いと思います。豊漁の海に面した沼津市には複数の水族館が立っており、まさに「水族館の街」であると言えます。 アニツーリズムで活気づく沼津市。駿河湾に面する港街の南側には、誰もが楽しめる学びとエンタメの水族館があります。 アニツーリズムで大成功した水族館の街全国的に見ても、水族館はアニメ・ゲーム作品とコラボすることが多い学術施設です。特に、沼津市の水族館はその傾向が強く、人気アニメが常設展のエリアにまで食い込ん

          全国水族館の旅㉚伊豆・三津シーパラダイス

          全国自然博物館の旅㉚栃木県立博物館

          関東地方で屈指の大自然を有する栃木県。首都近郊でありながら、日光や那須などの世界に誇る生命のフィールドが広がっています。栃木県の自然に触れたことのある人には、あまりの雄大さと美しさに感極まった経験もおありだと思います。 それほどまでに豊かな栃木の自然環境はどのようにして生まれ、現在どのような生態系が構築されているのでしょうか。尊い関東の宝のルーツを学びに、県立博物館を訪れてみましょう。 自然科学の知に恵まれた栃木の総合学術博物館旅行者にとって、栃木県の主要な玄関口の1つが宇

          全国自然博物館の旅㉚栃木県立博物館

          文庫本が出ます!

          筆者の仕事と趣味についての記事です。博物館巡りに対する想いも述べさせていただきます。 美原さつきよりお知らせ美原さつき、幸いにも短編小説を書かせていただけることになりました(決してエイプリルフールではなく本当の話です)。 この度、ミステリー作家36名が集まり、3分間ショートストーリーを2作ずつ執筆いたしました。合計2冊の短編集となり、宝島社さんより文庫本として出版されます。 文庫タイトル 『衝撃の1行で始まる3分間ミステリー』 『驚愕の1行で終わる3分間ミステリー』 価格

          文庫本が出ます!

          The Lost Universe 古代の巨大ネコ⑤巨大ネコ型UMA

          時代の古今、洋の東西を問わず、ネコは不思議で神秘的な生き物とされてきました。夜半に活動し、闇の中で華麗に跳躍する姿は、まさに冥界からの使途です。ミステリアスな存在ゆえに、人類史においてネコそっくりの怪物が度々姿を現しています。 いわゆるUMA(未確認生物)の中でネコ型の生き物は、秘境の奥地のみならず、我が国・日本でも目撃されています。恐ろしく猛々しい彼らは、よもや古代ネコの生き残りなのでしょうか。 古代ネコは今も生きている?人に愛される現代のネコたち 有史以前の人類は多く

          The Lost Universe 古代の巨大ネコ⑤巨大ネコ型UMA