桑原亘之介

1963年東京生まれ。82年都立清瀬高校卒。87年上智大学外国語学部英語学科卒、日本経…

桑原亘之介

1963年東京生まれ。82年都立清瀬高校卒。87年上智大学外国語学部英語学科卒、日本経済新聞社入社。その後、共同通信社へ。2021年退社。15年暮れよりコラム「スピリチュアル・ビートルズ」をサイト「OVO」にて連載。音楽、映画、美術展に興味あり。環境雑誌「奔流」編集委員。

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記事一覧

田名綱敬一・大回顧展

 幼少期に経験した戦争の記憶とアメリカ大衆文化からの影響が色濃いカラフルな作品で知られるアーティスト田名綱敬一(たなあみ・けいいち)  60年以上におよぶ活動を…

桑原亘之介
13時間前
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最高裁原発判決を正す

 2022年6月17日、最高裁は日本の原子力政策を180度転換させることになる重要な判決を下した。2011年3月に起きた福島第一原発事故に対する国の責任を否定し…

5

「原発のある風景」写真展

 日本の海岸線に普通に原子力発電所がある風景を撮影した写真家がいる。広川泰士(ひろかわたいし)さんだ。その広川さんの写真展「STILL CRAZY」を2024年6月17日…

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「モネ 睡蓮のとき」展

 印象派を代表する画家のひとりクロード・モネ(1840-1926)。一瞬の光をとらえる鋭敏な眼によって、自然の移ろいを画布にとどめた。後年になると、その芸術はよ…

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映画「戦雲(いくさふむ)」

 シリアスなテーマを扱っている映画なので誤解を招くかもしれないが、あえて言いたい。素敵な映画だったと。  2024年6月16日(日)、映画「戦雲(いくさふむ)」…

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柏崎刈羽、東海第2原発を問う

 このところ東京電力の柏崎刈羽原発(新潟)周辺がにわかに騒がしくなってきた。先日、同原発の7号機で設備の「健全性確認」が完了し、現地の同意が必要とされるものの技…

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カネミ油症は次世代にも

 全身に吹き出物が出たり頭痛に悩まされるなどさまざまな症状を引き起こすカネミ油症が、原因物質であるPCB(ポリ塩化ビフェニール)を直接口にしていない子どもらにも発…

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白崎映美&白ばらボーイズ

 文字通り歌い踊るショーだった。  歌うは「日本の歌姫、アジアの歌姫、世界の歌姫」白崎映美さん。元上々颱風のボーカルの一人だ。その表情豊かな歌声に定評がある。  …

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6・12原子力規制委会見

 核燃料の検査や開発を行っている日本核燃料開発(本社:茨城県)において求められている点検を行っていなかったうえに点検を実施したかのような嘘の記録を作成していたこ…

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テレサ、幸子らを支えた男

 テレサ・テン、小林幸子、欧陽菲菲といった昭和を代表する女性歌手などを縁の下から支えた男がいる。その名は岡本和夫。  岡本さんはギタリストで寺内タケシとブルージ…

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映画「生きて、生きて、生きろ。」

 タイトルに原発という文字はない。しかし、これは原発に関する映画だ。しかも、これまでの原発映画の多くとは趣をやや異にする作品である。  2014年6月12日(水…

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教皇に会った原発避難民

 ローマ教皇に会って自分たちが置かれている厳しい境遇を訴えた福島第一原発事故により避難を続けている青年がいる。3.11の後、故郷の福島県いわき市から東京に避難し…

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原発回帰は不可能:専門家

 原発は出来るだけ作らないという3.11後の方針を180度転換して原発重視を打ち出している岸田政権だが、「原発回帰は不可能だ」と日本原子力発電元理事・日本原子力…

7

当事者が語る学生運動

 早稲田大学での学生運動の最中の1972(昭和47)年、早稲田大学第一文学部2 年生の川口大三郎君が革マル派による内ゲバで殺された事件を描いた映画「ゲバル トの杜…

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戦争時代の藤田嗣治

 エコール・ド・パリ時代、名声を手にした画家・藤田嗣治。  その時代と、戦後、二度と日本に帰らぬ決意でスタートしたフランス生活時代とのはざまとなる、藤田が日本に…

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十日町市博物館に行った!

 2024年6月9日(日)、十日町市博物館(新潟県)に行った。常設として3つのテーマ別展示があるー「縄文時代と火焔型土器のクニ」「織物の歴史」「雪と信濃川」。 …

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田名綱敬一・大回顧展

田名綱敬一・大回顧展

 幼少期に経験した戦争の記憶とアメリカ大衆文化からの影響が色濃いカラフルな作品で知られるアーティスト田名綱敬一(たなあみ・けいいち)
 60年以上におよぶ活動を包括的に紹介する初の大規模回顧展「田名綱敬一 記憶の冒険」が国立新美術館(東京都港区六本木7-22-2 )にて2024年8月7日(水)から11月11日(月)まで開催される。
 田名綱は87歳となった今も旺盛な創作活動を続けている。彼の存在は

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最高裁原発判決を正す

最高裁原発判決を正す

 2022年6月17日、最高裁は日本の原子力政策を180度転換させることになる重要な判決を下した。2011年3月に起きた福島第一原発事故に対する国の責任を否定したのである。
 福島などで提訴された4件につき「津波対策が講じられても事故が発生した可能性が相当ある」として国の賠償責任はないとした統一判断を下した。
 それからちょうど2年経った2024年6月17日(月)に衆議院第一議員会館大会議室で開か

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「原発のある風景」写真展

「原発のある風景」写真展

 日本の海岸線に普通に原子力発電所がある風景を撮影した写真家がいる。広川泰士(ひろかわたいし)さんだ。その広川さんの写真展「STILL CRAZY」を2024年6月17日(月)、ギャラリースペース「ありかHole」(東京都中野区東中野4-4-1ポレポレ坐ビル7F)で観た。
 これは広川さんの1994年の写真集「STILL CRAZY nuclear power plants as seen in

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「モネ 睡蓮のとき」展

「モネ 睡蓮のとき」展

 印象派を代表する画家のひとりクロード・モネ(1840-1926)。一瞬の光をとらえる鋭敏な眼によって、自然の移ろいを画布にとどめた。後年になると、その芸術はより抽象的かつ内的なイメージへと変容する。
 モネの晩年は、最愛の家族の死や自身の眼の病、第一次世界大戦といった多くの困難に直面した時代だった。その中で最たる創造の源となったのが、ジヴェルニーの自邸の庭に作られた睡蓮の池に、周囲の木々や空、光

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映画「戦雲(いくさふむ)」

映画「戦雲(いくさふむ)」

 シリアスなテーマを扱っている映画なので誤解を招くかもしれないが、あえて言いたい。素敵な映画だったと。
 2024年6月16日(日)、映画「戦雲(いくさふむ)」(2024年/三上智恵・監督)をポレポレ東中野(東京都中野区東中野4-4-1ポレポレ坐B1)で観た。上映終了後に三上監督のトークがあった。

 テーマは南西諸島ー沖縄本島、与那国島、宮古島、石垣島、奄美大島ーで進む軍事化である。中国の脅威が

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柏崎刈羽、東海第2原発を問う

柏崎刈羽、東海第2原発を問う

 このところ東京電力の柏崎刈羽原発(新潟)周辺がにわかに騒がしくなってきた。先日、同原発の7号機で設備の「健全性確認」が完了し、現地の同意が必要とされるものの技術的には再稼働へ一歩前進した。
 一方、半径30キロ圏内に70万人もの人が住む東海第2原発(茨城県)も再稼働を目指している。だが、この原発でひとたび大きな事故が起きた場合、東京など首都圏に大きな被害が及ぶとされている。
 そんな中、市民団体

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カネミ油症は次世代にも

カネミ油症は次世代にも

 全身に吹き出物が出たり頭痛に悩まされるなどさまざまな症状を引き起こすカネミ油症が、原因物質であるPCB(ポリ塩化ビフェニール)を直接口にしていない子どもらにも発症することが分かってきた。
 カネミ油症被害者支援センターの佐藤禮子共同代表が、2024年6月14日(金)に「かふぇ&ほーる with 遊」(東京都杉並区荻窪3-46-13)で開かれたカネミ油症・映画の上映会の終了後に話した。
 「食べて

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白崎映美&白ばらボーイズ

白崎映美&白ばらボーイズ

 文字通り歌い踊るショーだった。
 歌うは「日本の歌姫、アジアの歌姫、世界の歌姫」白崎映美さん。元上々颱風のボーカルの一人だ。その表情豊かな歌声に定評がある。
 楽器を奏でるはキーボード小林創、ベース田野重松、ドラムス熊谷太輔。そう、人呼んで「白ばらボーイズ」である。
 踊るは瞳ゆりさん、門柳久代さん、うつみちはるさん。
 エンターテインメントショー「リリアンガーデン」の9回目が2024年6月13

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6・12原子力規制委会見

6・12原子力規制委会見

 核燃料の検査や開発を行っている日本核燃料開発(本社:茨城県)において求められている点検を行っていなかったうえに点検を実施したかのような嘘の記録を作成していたことが発覚した。
 原子力規制委員会の山中伸介委員長は2024年6月12日(水)の定例会見で同社の社長を呼んで委員会としての抗議を伝えるとした。
 燃料貯蔵施設の扉について未点検を点検したと虚偽の記録を作成していた旨の連絡が同社からあった。同

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テレサ、幸子らを支えた男

テレサ、幸子らを支えた男

 テレサ・テン、小林幸子、欧陽菲菲といった昭和を代表する女性歌手などを縁の下から支えた男がいる。その名は岡本和夫。
 岡本さんはギタリストで寺内タケシとブルージーンズのメンバーだった。その一員として1966(昭和41)年のビートルズの日本武道館公演でオープニング・アクトとしてステージに立った経験もある。
 岡本さんの芸歴は長い。芸能界に足を踏み入れたのは学生時代だった。
 岡本さんの学校の先輩に歌

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映画「生きて、生きて、生きろ。」

映画「生きて、生きて、生きろ。」

 タイトルに原発という文字はない。しかし、これは原発に関する映画だ。しかも、これまでの原発映画の多くとは趣をやや異にする作品である。
 2014年6月12日(水)、映画「生きて、生きて、生きろ。」(2024年/制作・監督・撮影:島田陽磨/製作・配給:日本電波ニュース社)を東京・中野の「ポレポレ東中野」で観た。
 精神科医・中澤正夫氏はパンフレットに寄せたコメントで次のように語っているー「この映画を

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教皇に会った原発避難民

教皇に会った原発避難民

 ローマ教皇に会って自分たちが置かれている厳しい境遇を訴えた福島第一原発事故により避難を続けている青年がいる。3.11の後、故郷の福島県いわき市から東京に避難している鴨下全生(かもした・まつき)君だ。
 8歳の時に東京に逃れてきた。
 全生君は肉体的のみならず精神的にも多くの苦しみに苛まれていることなどについてローマ教皇に手紙を送った。翌2019年3月、全生君はバチカンに招かれフランシスコ教皇に謁

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原発回帰は不可能:専門家

原発回帰は不可能:専門家

 原発は出来るだけ作らないという3.11後の方針を180度転換して原発重視を打ち出している岸田政権だが、「原発回帰は不可能だ」と日本原子力発電元理事・日本原子力産業協会元参事の北村俊郎さんは断言する。
 北村さんは2024年6月11日(火)に郡山駅前MARUCO貸事務所にて「福島原発行動隊」主催の講演「原子力基本法改正をどう評価するか」で語った。その講演をオンラインで受講した。
 北村さんは196

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当事者が語る学生運動

当事者が語る学生運動

 早稲田大学での学生運動の最中の1972(昭和47)年、早稲田大学第一文学部2 年生の川口大三郎君が革マル派による内ゲバで殺された事件を描いた映画「ゲバル トの杜 彼は早稲田で死んだ」が上映中だ。
 1970(昭和45)年に早大をやめて、その内ゲバ殺人を直接目にしたり耳にしたわ けではないが、そこに至るまでの運動に深く関わった当事者が匿名を条件に重い口 を開いてくれた。
 「川口君はある種、ノン

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戦争時代の藤田嗣治

戦争時代の藤田嗣治

 エコール・ド・パリ時代、名声を手にした画家・藤田嗣治。
 その時代と、戦後、二度と日本に帰らぬ決意でスタートしたフランス生活時代とのはざまとなる、藤田が日本に滞在した1930~40年代にフォーカスした展示会がこの夏、開かれる。戦争の影が忍びより、次第に戦争に巻き込まれていく中での藤田の内面に迫る。
 夏の特集展示「戦争の時代 日本における藤田嗣治 日常から戦時下へ」が2024年7月25日(木)か

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十日町市博物館に行った!

十日町市博物館に行った!

 2024年6月9日(日)、十日町市博物館(新潟県)に行った。常設として3つのテーマ別展示があるー「縄文時代と火焔型土器のクニ」「織物の歴史」「雪と信濃川」。
 同博物館の笠井洋祐・学芸員(考古学)は「令和2年6月1日にリニューアルオープンしました」と話した。
 「盆地地形の中に十日町市があります。河岸段丘が平らな面をつくり出しており、そこに人が住んでいるのです」。
 温暖な気候かつ豊富な食物資源

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