夢乃玉堂

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夢乃玉堂

怪談マガジン。舞台感想マガジン、ほっこり記事。 好きな物からお読みください。 数年前「生きろ! 力強くなくて良い。闘わなくても良い。地べたをはいつくばっても生き抜けばそれで良い」と、感じる出来事がありました。いつかこれも書きたいと思っています。

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  • 玉堂デスヨ。

    癒しの日常と、気がついたあの事。人生が豊かになる一瞬。 怪談、恋愛以外の作品も。

  • 怪談 超ショート あっという間に読める恐怖の物語。

    実体験、体験者からの伝聞、創作など、様々な怪奇と不思議な短編をまとめました。 #ショートショート #短編 #怪談 #不思議 #恐怖

  • シアター第六感! 実際に見た、おすすめの公演を紹介します。

    イベント・演劇・音楽・美術・アートのごっちゃ煮。実際に覗き見したものだけ。我が儘な選考基準とカテゴリーで、勝手に紹介していくことにしました。 「楽しんで書きますので、頑張って読んでください」(本文中敬称略ですみません)

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「絶対当たる占い師」 作・夢乃玉堂  絶対の恋を求めて占い師の元を尋ねてきた女性を待ち受けていた運命とは?

「絶対当たる占い師」 作・夢乃玉堂 緑鮮やかな渓流の流れは、意外に冷たく早い・・・ それが、その時の印象だった。 岩に当たって弾ける水しぶきが入り口を濡らす丸太小屋に、真野智花(まのともか)は入った。 肌にまとわりつくようなお香の香りが、智花に仕事を思い出させた。 壁際の影の中には、設え付けの棚が隠れるように鎮座していて、 埃を被ったアンティークな装飾品が並んでいる。 智花は、小屋を訪れた目的も忘れ、それらの品々に見入っていた。 「

    • 「センサー付き家電 カセイ1号・2号」

        先日の『清原愛のGoing 愛 Way』で、朗読された作品です。 よろしくお願いします。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 家電メーカーの研究開発室に所属する秋野は、 新型の自動家事システム「カセイ」シリーズの 開発に余念がなかった。 「まさか、帰ってきたら料理が出来てるなんて、 智子の奴、驚くだろうな」 新しい家電の試作品は、自宅で使ってみて不具合を見る。 家電メーカーあるあるだ。 妻の智子は最初、 妙に大きい冷蔵庫や人型のロボットを気味悪がった

      • 「森章二の素読みの会」5月19日です。

        「森章二の素読みの会」。 19日日曜日18時30分より、神楽坂トンボロにて開催です。 お席にはまだ若干余裕があります。 是非、お越しください。 今回も目から鱗の江戸話、見逃してはもったいないです。 その後の第二部は、朗読「牡丹の眠り」。 神楽坂の入口にある広大な牡丹屋敷。冬牡丹を育てるために、働く娘が、黒塀越しに盗人を追う巡査と話し始める。当初は横柄な巡査の態度に警戒心を持った娘だが、子守唄に導かれた二人はやがて思いがけない秘密に気付いていく。 というお話。牡丹の

        • 『清原愛のGoing 愛 Way』で朗読されます。

          本日、千葉 89.2MHz 『SKYWAVE FM』 / 16:00~16:59 『清原愛のGoing 愛 Way』で、 私の #ショートショート「センサー付き家電1号2号」が朗読されます。 インターネットできけます。 お時間ある方は是非どうぞ。 #ラジオ #朗読 #不思議 #ショートショート #清原愛のGoing愛Way #怪談 #玉堂 #怖い #SF

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          「麻田危機一髪・重慶で野宿?」・・・笑劇の海外旅行。予約が入っていない?

          知らない土地に旅をした時、一番不安なのは宿のことですよね。 移動は何とかなっても、夜露をしのぐ場所が無ければ、大変です。 特に海外となると、その不安は倍増します。 『重慶で野宿』 今では出張経験も積んで「海外なんてへっちゃら」という麻田くんだが、 生まれて初めての出張はトラブル続きだった。 15年ほど前、まだ中国への旅行がそれほど一般的でなかった頃。 夕刻に重慶市内で取引先の方二人と合流し、 そのままホテルにチェックイン、 翌日朝から現地コーディネーターがホテルに迎え

          「麻田危機一髪・重慶で野宿?」・・・笑劇の海外旅行。予約が入っていない?

          「考察。幽霊と五感」・・・怖くない怪しい話。感じる感じない?

          『幽霊に五感はあるのか?』 その存在自体は遥か昔から語られてきたが、それの持つ感覚は 全く不明である。 『幽霊』の多くは、 暗闇からじっと見つめてくる、つまり見えている・・・視覚はある。 念仏を聞いて成仏したり暴れたりするのだから、聞こえている・・・聴覚はある。 でも、触ってきたりするけど、本人が触れている感覚を感じているか、 確認汚しようがないから・・・触角は△。 同じように、味覚・嗅覚は本人しかわからないから、無いかもしれない。 つまり幽霊とは、資格と聴覚だけ、

          「考察。幽霊と五感」・・・怖くない怪しい話。感じる感じない?

          「吉原七不思議」・・・怪談でも不思議でもなく。

          江戸最大の遊郭街、吉原。 そこに、本所七不思議にあやかったのか、江戸時代には吉原七不思議というものもあったらしい。 だがそこは吉原。怪談ではなく、ちょっとした遊び、シャレのようなものとして、うたわれている。 例えば。 「茶屋あれど茶は売らず」 吉原で茶屋と言えば、「引き手茶屋」の事。つまり遊郭の紹介所のことを言います。 もちろん、街道沿いの茶屋のように、お茶を出したりはしてくれません。 もう一つ。 「やり手といえど取るばかり」 やり手とは「遣り手ババア」のことで遊

          「吉原七不思議」・・・怪談でも不思議でもなく。

          「トラウマの親子丼」・・・帰還兵のつぶやき。

          私の父は、丼物が嫌いだった。 親子丼などが出ると、ほんの少しだけ手を付けて 「お腹いっぱいだ」と言って席を立った。 父は終戦時、大陸にいてシベリアに抑留された。 極寒と飢えに耐えかね、仲間が次々と倒れていく中、 何とか生き残り苦労の末2年後に帰国した。 子供の頃、夜中に目が覚めると、 父がうなされていることがあった。 う~ん。う~ん。うおっ! と時には叫び声を上げるほど 苦しそうな様子だった。 母に聞くとぽつり、「戦争がね・・・」 と言うだけだった。私はそれ以上聞いては

          「トラウマの親子丼」・・・帰還兵のつぶやき。

          神楽坂のコボちゃん伝説。優しさが滲みる雨の日。

          先日、神楽坂に打ち合わせで訪れた。 お店がいくつか変わっていたが、 その温かな雰囲気は変わらなかった。 人々の心意気が分かるお話。 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 飯田橋から神楽坂上に向かう中ほど、坂の傾斜が少しきつくなってくるあたりに小さな子供の銅像がある。 主張の激しい真っ赤な郵便ポストのすぐ横で、笑顔を忘れることなく行き交う人を見守っている。 これは、植田まさしさん原作の漫画「コボちゃん」の銅像。 作者の植田さんが神楽坂在住で、初回の原稿も神楽坂で描かれた

          神楽坂のコボちゃん伝説。優しさが滲みる雨の日。

          「彼氏失格」・・・子供の視点。

          GWに子供たちが集まった。本当にキラキラした目をして、日々成長している。そんな事を思いながら作ったお話。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 「彼氏失格」・・・大きな愛を巡る小さな物語。 『彼氏失格』 小学一年生になったばかりの姪の美央は、 姉の家に遊びに行くたびに、決まって”彼氏”の写真を見せに来る。 この日も、リビングのテーブルに学校で作ったアルバムを広げ 遠足の時に撮ったという同級生の男の子を指差した。 「ユイ叔母さん。これがトオル君。美央の彼氏よ」 「あれ?

          「彼氏失格」・・・子供の視点。

          「楽しんで書きますので、頑張って読んでください」?

          あちらを立てればこちらが立たず。 我が儘な選考基準とカテゴリーで、本や映画を勝手に紹介していきます。 「ザ・チャイルド」桜田吾作・作画。 洋画の宣伝として月刊チャンピオンで掲載されていた「劇画ロードショー」という企画漫画。 この劇画ロードショーのシリーズは、現在版権その他の問題でほとんどが単行本化されていない。こちらは映画のDVDに付録として付けられているので、今では数少ない手に入れられる幻の「劇画ロードショー」の一つ。 当時劇画ロードショーのみならず洋画のコミカライズは、

          「楽しんで書きますので、頑張って読んでください」?

          「風の噂」・・・風が強かった

          ここしばらく、風の強い日が続いていましたが、 どうやら少し落ち着いたようですね。 と言う訳で、風邪に関するお話を。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「正しき風の噂」・・・伝えたのは誰だ。   夕陽を背負うように港から続く長い道を歩いていくと、 古い風車の村にたどり着く。 その村の外れには、17世紀の面影を残す三連の巨大な風車が立ち並び、 休むことなく、ゆっくりと羽を動かしている。 「古ぼけた遺物と侮ってはいかんぞ。 この風車はな、子を育て、芸術を生み出し、

          「風の噂」・・・風が強かった

          「すり好みの顔・・・旅先で。

          GWで色々なところに出かけた人もいるでしょうね。 そこで、ちょっと旅先で苦労したお話を。 『好みの顔』 私の古くからの友人である「麻田くん(仮名)」は、 海外ではある種の人間に好まれる顔をしているらしい。 彼は旅行好きで、一年に2~3回は海外に行く。 期間はそう長いものではなく、 仕事が休みになると、空きのあるツアーを探して格安で旅行をしているのだが、2000年頃にヨーロッパ旅行をした時に、事件は起こった。 これは、その時、彼が体験したことの記録である。 「Bonj

          「すり好みの顔・・・旅先で。

          「二人旅」・・・友人が探し出してきた宿の恐怖。

          『二人旅』 「篠原。落ち込むな。まだ可能性はゼロじゃないぞ」 助手席の結城が、伸ばし放題の顎髭をさすりながら言った。 「幽ナビによると、今日の宿は、座敷童遭遇率32%だ。きっと良いことがあるさ」 「あのサイトのランキングは当てにならないよ。 これまでだって、心霊写真撮影率69%の洞窟。 金縛り率53%のホテル。幽霊遭遇率22%の民宿とか試したけど 一度も奇怪な目に逢った事が無いじゃないか」 「それはお前が一人で行ったからだ。今日は俺がいる。 諦めるにはまだ早いぞ。信

          「二人旅」・・・友人が探し出してきた宿の恐怖。

          「乗駱駝愛好家」・・・と呼ぶのか?

          旅行好きの麻田くんは、動物のラクダが好きで、エジプトやアラブに行くと必ずラクダの写真を撮りまくっていた。 しかし、異様なほどラクダの写真を撮っていたのだが、ある事件をきっかけに、ぱったりと写真を撮らなくなってしまった。 まるで「撮り鉄(鉄道写真愛好家)」が「乗り鉄(乗車体験愛好家)」になるように、乗る方に宗旨替えをし、自らを「乗りラクダ」などと訳の分からない呼び方で読んでいる。 そのきっかけになったのは、何回目かのギザ旅行でのことだった。 麻田は、買ったばかりの新しい一眼レ

          「乗駱駝愛好家」・・・と呼ぶのか?

          「スランプ知らず」

          最近、とみにこんな言葉を思い出す。 以前、シナリオを習っていた時、脚本家である師匠から衝撃的な言葉だ。 事の始まりは 「スランプになった時、師匠はどうやって復活するんですか?」 というある弟子の一言だった。 師匠は、その質問を聞いて一瞬肩を落としたように見えた。 『辛かったスランプの時を思い出しておられるのかな』 と弟子のほとんどが思っていたに違いない。 だが、それは全くの間違いだった。 顔を上げた師匠は、軽々と言い放った。 「スランプ? そんなもの、なっ

          「スランプ知らず」