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いい人はいい人でも、"都合の"いい人だったのかな。

あっ、と気づいたのは昨年の大掃除の時、漫画しかない本棚を整理していた時のこと。漫画『進撃の巨人』の11巻分がごっそり無い。全34巻。倒すべき相手が、巨人から人間へ、国へと展開していく様を慄きながら読んでいたら、なんだかあっという間に最終巻が出た。壮大なスケールの物語の完走に、ただただ驚いた。

誰かに借りパクされたわけではない。そもそも持っていなかったのだ。友人の単行本を借りて読んでいたから。2013年4月、漫画『進撃の巨人』のアニメ第1期が放送された時、私は高校3年生。当時はもう、この作品がとんでもなく流行った。学校のラウンジで同級生が原作漫画を回し読みしていたことを覚えている。私もその輪の中のひとりだった。

そして高校を卒業したら、続きを気軽に読めなくなった。本屋に行って新刊が出るたび気になって、途中から購入し始めて今に至る。完結すると発表されて、1巻から読み直したいなあと思っていたのに。買おう買おうと思っていたのに。こりゃいかん、と思って、今年に入ってから11巻分まとめて手に入れた。

一気に、丁寧に読みたいと思っていて、まだ読み始めてはいない。ただ11巻分を買った後、すぐに確認したい台詞と場面があった。しばらく読んでいなかったけれど、ずっと忘れられなかった言葉。思い当たる単行本をパラパラとめくったら、あっさり見つかった。それは8巻の頭の方に載っていた。主人公・エレンの幼馴染、アルミンの台詞だ。詳細はネタバレになるので省くが、彼はある人物の「私がそんな良い人に見えるの?」という問いに、こう答える。

良い人か…それは…その言い方はあんまり好きじゃないんだ。だってそれって…自分にとって都合の良い人のことをそう呼んでいるだけのような気がするから

17歳の私は、ギクリとした。少し冷や汗をかいた、どこか暗い顔をしたアルミンがこちらを見ている気がした。「良い人だね」。こういわれたかった自分。頼まれたら課題を見せてしまう自分。気づくと幹事を一人で任されている自分。断れない自分。けどそれって、本当に良い人?

「(都合の)良い人だね」

誰かに言われたわけじゃない。けど、人の顔色を伺って、「良い子」だと思われたかった私に向かって冷や水を浴びせられたような気持ちになった。

当時の自分が悪かったとか、そういうことじゃないんだけど。ただ、「良く思われたい」という見栄が、感情が働きそうになる時に、今でもあのセリフを思い出す。そして問いかける。大丈夫? いま、だれかの都合の良い人になろうとしているんじゃないか? と。

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