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キラキラしていなくても
2022年、英語圏による「今年の単語」として選ばれたのが、「ゴブリン・モード」だ。オックスフォード英語辞典を出版する、イギリスのオックスフォード・ランゲージズが発表した。
「ゴブリン・モード」は、オックスフォードの辞書編纂(へんさん)者が選んだ3つの候補のうちの1つで、「恥ずかしげもなく自分勝手で、怠惰で、ずぼらで、貪欲な行動」を指すスラングだ。
インスタグラムやTikTokなどで示される、編集されたきらびやかな「理想像」に反発した言葉でもあるという。こんな言葉があるんだなあ、と思っていたら、それは別に、わたしのような英語圏とはほぼ接点なく過ごしている人に限った話ではなかったようだ。
発表後、現地で「こんな言葉知らない」「使っていない」という批判もあった。理由として、今回はじめて導入された「一般投票」がある。ゲーム雑誌の呼びかけによって結構な組織票が入り、この言葉が選ばれたらしい。
とはいえ、言い得て妙だなとも思う。なんでも好きに加工しシェアできてしまう今。極端な話、いくらでも見栄を張れてしまう今。SNS疲れもおかしいことじゃない。振り回されてしまう人も、少なからずいる。「ゴブリン・モード」は、「キラキラしていない自分でもいいよね」というやさしい言葉にも聞こえる。
久しぶりによく行くカフェにきたら、完全にクリスマスモードだった。店内にある観葉植物はツリーを連想させるモニュメントで飾り付けられ、BGMはずっと洋楽のクリスマスソングが流れ続けている。
心なしか、一人で来ているお客さんも少ないような、そうじゃないような。煌びやかな装飾に圧倒されそうな今こそ、心の中で「ゴブリン・モード」とつぶやきたい。
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