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マスクの効果図解

今回のコロナウィルスの話で、マスクのあり様についてはたびたび議論になっています。今回はそんなマスクの効果について、

・他人からウィルスをもらわない効果は薄い
・他人へウィルスを渡さない効果はある

ということと、それを踏まえて、

フィジカルディスタンスと合わせなければ効果がなくなる

という話を、まとめていきたいなと思います。

マスクの目の細かさの話

マスクの感染防御の話をするとき、必ずやり玉にあがるのが、

マスクの目の細かさ

の話です。
N95が…サージカルマスクが…みたいな話を聞いたことがあると思うのですけど、そもそもそいつらって何が違うのよ。みたいなことを思いませんか?私は思う。
こちらについて、図示しているものをあまり見かけないので改めて作ってみたいと思います。

マスク効果

マスク効果2

作りました(※概念図です)

解説

話を簡単にするため、マスクの隙間については、

マスクの隙間を貫通できるかどうか

という基準で、図示しました
(※実際の隙間の大きさと、ものが通る通らないの話の間に色々ややこしい話があるので)


文章に抵抗がないようでしたら、日本衛生材料工業連合会の内容や、鳥取県のインフルエンザ対策のページサンドラッググループのコラムなどを参考にしていますのでそちらをご確認ください

上記のリンク先の話をまとめますと、
・花粉症対策用のマスクが30μmの大きさの花粉を防ぐ
・N95マスクは0.075μmの大きさの物体を95%防ぐ
・飛沫の大きさは5μm前後
・ウィルスの大きさは0.1μm前後
とのことです。

耳慣れない大きさが出てきました。マイクロメートル(以下、μmと呼称)

1μmは1mmの1000分の1の大きさです。

1mと1cmの関係と、1mmと10μmの大きさが同じ比率です。

サイズ感2

進撃の巨人で表すなら

サイズ感

ちょっと比率が違いますね。ほかにいい案があったら教えてください


花粉は30-40μm、
咳などで飛ぶ飛沫のうちの一番小さいものは5μm
ウィルスは0.1μm程度

サイズ感3

ということで、マスク自体を貫通するかしないかは、おおよそ上図の通りになります。

普通のマスクでは、花粉などの目に見える程度の大きな粒子は防げますが、小さな飛沫は防ぎきれず、ウィルスの粒子は素通しになります。
N95マスクはウィルスすら通さないですが、稀に通れる空間があるというような作り(だと思っておきましょう)

今回のコロナウィルスの場合、ウィルスは飛沫にくっついた状態で移動すると考えられています。ですので、飛沫を止められれば、ウィルスを吸い込まずに済みます。

さて、ここでひとつ、この図からは説明できない、大事なことがあります


空気は通りやすいルートを通る

マスクせずにウィルスの飛沫を吸い込む通常の呼吸が、
こんな感じだとしましょう。

呼吸

マスクの網目の話より、飛沫を通さないマスクがあれば、ある程度安心だと言えます

呼吸3

しかし、マスクと顔の間に隙間があると、話が変わります

呼吸4


マスクと顔の間に隙間が空いていると、その隙間を通って空気が移動します。普段のマスク、顔と常に密着していますか

ウィルスを含む飛沫をトラップできるマスクを使ったとして、隙間があればその部分を通った空気からウィルスを除外することはできません。

ですので、息を吸うときにマスクが顔と密着していなければ、上記のフィルター効果はとても小さくなります。
いわんや、マスクを下ろして呼吸をしてしまっては意味がない。

これが、他人からウィルスをもらわないという点でマスクは効果が薄い
という話になります。


別の目線でマスクを見よう

ところで、マスクは他人への感染を防ぐという話があります。
ここについて自分の考え(※)を図示していきたいと思います。
(※…ぱっと調べた範囲で類似の話があまり出てこなかったのですが、なんでこういう話が出てこないのか不思議なので思うがままに書きます)

マスクの本質的な効果は、空気の流れを変えるところにあると考えています

咳イメージ2

咳で飛んでいく唾をテニスボール
5μmの飛沫を小麦粉と例えてみましょうか。


テニスボールをうちわの空気ではじき返すことはできませんが、
小麦粉の粉末はうちわの空気の力ではじき返せます。

これをマスクの話に還元すると、

・大きい塊(唾)はマスクを通過することはできず
小さい塊(飛沫)は空気の流れに逆らえません

咳

咳1

大きな飛沫は慣性の法則からマスクの布地に吸い込まれていき、
小さな飛沫はマスクの布地に吸い込まれるか、空気の流れに従って、マスクにある隙間から出ていく

マスクの隙間を通り抜ける飛沫がないとは言いませんが、空気の流れが弱くなるので、マスクなしに比べたら飛距離は小さくなるはずです

したがって、空気の流れをせき止める物体を口、鼻の前におくことによって、おしゃべりや咳で飛んでいくウィルスの大部分を防ぐことができると考えています。
ガーゼマスクだと空気の出入りをあまり阻害できていないので、キッチンペーパーなどを挟んで直線的な空気の通りを悪くしておけば、十分効果があると考えます(例えば20cm先のろうそくの灯が消せない程度など)

なのでマスクでなくとも、例えば、3回折りたたんだハンカチでバンダナのように口と鼻を覆えば、それだけでマスクに近い効果を発揮することができると思われます。
ハンカチの折り畳みにティッシュやキッチンペーパーを巻きこめば、さらに遮蔽度が上がります。

物理的距離(フィジカルディスタンス)

次に、微粒子について考えます。

シャボン玉を想像してください。

・シャボン玉が大きければ大きいほど、すぐに地面に落下し、
・小さければ小さいほど、空気中を漂うイメージがありますね。

唾や飛沫についても同様に考えることが出来ます。

飛沫

飛沫に含まれるウィルスの量が、飛沫の大きさに比例するとすると、
マスクをすることで飛沫と呼ばれる程度の小さな塊…つまり少量のウィルスだけが自分の周りを漂うことになります。

マスクイメージ

上述のように、マスクは5μmの飛沫は貫通してしまいますから、呼吸で生じるような小さな粒子…エアロゾルを防ぐ効果は薄いと思われます。

ウィルスの感染には、量が大切(何の病気でもだいたいそうですね)

ですので、少ない量の接種で感染せずとも、

感染成立


何度も何度も吸入すれば、やがて感染してしまう可能性が上がります。

感染成立1


それが、

・近距離での会話は長時間行わない方が良い
・密閉された空間は、換気した方が良い

となるのだと思っています。
また、岩田先生が良く言う、距離をとればマスクが不要も、上記説明を統合すれば自明と思われます。

まとめ

空気をあまり通さない状態を、口と鼻の前に用意出来れば、マスクとして期待したい効果はほぼほぼ完遂出来るといえます。

ストッキングで口と鼻をふさぐという記事が出ていますが、このように密着率を高めること、前方に空気を飛ばさないことが本質的に大事です。

ウィルスが身体の中に入らなければ、もしくは入っても少量ならば問題がない。ということを頭において、適切な行動をとりましょう

ウィルスを通さないようなマスクは、患者と常に接する医療従事者・介護従事者など、感染させることで人の生き死にに直接かかわってしまう人が十分に使えるようにしていけたらいいなぁと思います。


蛇足

・N95マスクの隙間は調べた範囲ではわかりませんでした。最終的にウィルスを95%減らす効果があるということです。たぶん分子間力とかからの流体力学とかその辺の関係があると思う

・繊維の太さについては、こちらの資料の7P目が一覧性が良いのですが、要約すると、動植物由来の繊維なら20マイクロメートル(μm)程度の太さです。化学合成だと1μmや、それより細い繊維も作れるようです。

不織布に使われる繊維の太さがぱっと調べて分からなかったので文末に記してお茶を濁しておきます

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