水が止まりません。
なかなかの威力を持つ注意喚起
「水が止まりません」
気の利いた一言でもある
「ウォシュレット故障中」
だけだったら
きっと僕は「出ない」方の故障を
思い浮かべていた
そうしたら きっと僕は
「そうは言うけどいけるかも?」
と思ってボタンを押下していた
そうなったら最後…
「水が止まりません」
立ち上がることはできない…
==
もし押しちゃったら
どうすればよかったのか?
立ったら濡れる
でも 座り続けている訳にはいかない
ここは居酒屋のトイレ
歓迎会の最中…
いくら僕が酒に弱いとはいえ
飲んだのは梅酒ソーダ1杯
そこで席を立って
トイレにきて
「あいつ帰ってこない」なんて…
いや…
そんな小さなプライドの問題ではない
==
濡れずにこの状況を打破するには
どうしたらいいのか?
座りながら けっこう考えた
まず水圧を最弱にしようと考えた
そして素早く立ち上がり
素早く便座の蓋を閉める…
このアクション
何度かイメトレをした
しかし何回イメージしても
濡れずには終われない…
==
手を突っ込んで
直接 手で水をおさえる
その隙に立ち上がる
手なら濡れても
まあ しょうがない
そもそも そこに
手を突っ込みたくはない
袖も濡らしたくはない
でも背に腹は変えられない
たとえ袖が多少濡れたとしても
手を洗うのを
少しミスったくらいには
おさえられる
「手を洗うところの蛇口捻ったら
意外と勢いよくてさぁ…」
席に戻った時の言い訳まで考えた
そうやって すぐに先回りして
言い訳を考えてしまう
そんな言い訳しなくてもいい
やっぱり小さなプライドが
僕の邪魔をする
==
冷静に考えると
手は股の前方から突っ込むことに気づく
手を前から突っ込み
そこで水を止めながら
そのまま立てるのか?
いや、立てそうにない…
廃案が決まる
==
トイペを大量に丸めて
ノズルを包み込んでみたらどうだろう?
あの溶けやすい紙質は
奴の水圧に耐えられるのか?
リスクを感じた
やりすぎてトイレを詰まらせちゃってもいけない
流すノブに
「水が流れまりません」も
貼らないといけなくなってしまう
店中の男子を困らせてしまう
(男女トイレは別々にあったので女子は問題ない)
==
考え抜いて行き着いたアイテムは
ロールの芯
「芯でノズルを覆いこむ」
幸いにも 残りペーパーは僅か
もうすぐ芯だけになる程度
それなら迷惑行為にならない
(そもそも迷惑を被ってるのはこっちだが)
なにより幸いなのは
コアレスじゃない
コアレスだったら
作戦は足下から崩れ去っていた
==
芯をかぶせて時間を稼ぐ
その隙に立ち上がる
そして蓋を閉める
イメトレによると
無傷の脱出ができた
==
時はきた…
ボタンを押してみるか?
水が止まらなくなったって
僕は平然と席に戻れる
==
いや…
押すわけがない
ウォシュレット故障中
〜水が止まりません〜
どんな緻密なシュミレーションをも超える
威力のある注意書きだと思った
==
ちなみに…
注意書きが貼られる前に
この故障にはじめて遭遇した人は
どうなったんだろう?
あのシチュエーションでは
助けも呼べない
助けを呼ぶ…
助けが来る…
鍵に手が届くのか?
鍵を開けられたとして
ドアが開いたとき
どんな顔をすればいいのか?
手で隠せばいいのか?
そして
どうやって助けてもらうのか?
座りながら 深めのグラスとかを
被せてもらうのか?
顔を股ぐら近くに
だいぶ寄せてもらわないと
そんなことできない…
==
最初に故障に遭遇した人。
その人がどうなったのか?
お店の人に
それを聞いてくればよかった…
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