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その接し方は絶対にNG!?入試直前期に伸び悩むお子さんのタイプ別原因と残り100日の接し方

中学入試もいよいよ目前に迫ってきました。
この時期になると、保護者の方からさまざまな相談を受けます。
そんな中でも多いのが、子供の勉強が思うようにいかないというもの。
お子さんへの接し方という観点からよくあるパターンと対策を紹介したいと思います。

追い込み期にあるお子さんが伸びない頻出4分類

毎年生徒さんの様子を見ていて、そして保護者の方からの相談を受けていて多いなと思うのが次の4パターンです。

A「この時期に来ても勉強しない」
B「やることがまったく計画通りに進まない」
C「成績が停滞or徐々に下がってきている」
D「毎回の模試や過去問の点数のムラが激しい」

この記事を読んでくださっている保護者さんの中で上記悩みを抱えている方はいませんか?
これらの悩みは勉強そのものよりも、その子の精神状態や学習環境に原因があることが多く、この時期の上記の悩みを改善するには保護者のみなさんの子供たちへの接し方が大事になってきます。

僕はA~Dの悩みにそれぞれ次のような名前をつけています。
「無気力型」「キャパーオーバー型」「気遣い型」「猪突猛進型」
そして、それぞれ周囲の大人の接し方を意識してメンタル面や学習環境から根本原因を取り除く必要があるのです。
下記からはそれぞれのタイプの「効果的な接し方」と「やってはいけない接し方」をまとめていこうと思います。

「無気力型」への効果的な接し方とやってはいけない接し方

勉強をしなさいといっているのに遊んでばかりいる。この時期になったのに未だに宿題さえまともにやらない。そもそも「勉強なんていやだ」とゴネるetc…
こういったお子さんの態度に悩んでいる場合はこのAタイプの「無気力型」に属します。正直、入試(特に最難関中学校)を目指すのであれば、自ら勉強してほしいというのが本音ですが、そんな精神論で片付けてしまっては元も子もないので、今回は解決法を探りたいと思います。

「無気力型」に該当する子の最大の課題は「勉強することが習慣化されていないこと」です。
本人の生活の一部に勉強を組み込むことができていないため、「やりたくない」という言葉を平気で口にしてしまうわけです。
この場合、最優先すべきは一日でも早く勉強を習慣化し、「勉強をすること」に対する障壁を取り除いてあげることです。

こうした習慣化に効果的な接し方は「否定せずにルール作りをする」という声かけです。
期限が迫ってあせる気持ちはありますが、いきなり遊びをすべて奪って勉強に向かわせようとしても不可能です。
このタイプの場合、まずはお子さんの遊びたいを否定せず、「何分まで勉強したらあとは自由時間」「○○をしていいけど、変わりに算数の宿題をいつやるかを約束して」というようにひとつずつルールを決めていくイメージです。
まずは行動の選択肢の中に「勉強」を入れる、その先に勉強を習慣に組み込む、そしてその比重を増やすというステップを踏まねばご家庭での習慣化はなかなかうまくいかないでしょう。
反対にやってはいけない接し方は感情で頭ごなしに怒ったり、命令してむりやり行動を強制するという声かけ。
これをした瞬間、反発心も加わり、より勉強という行動変化から遠ざかってしまいます。

ただし怒らずひとつずつルール作りをすることで行動変化を促すというこのタイプの声賭けは、する側にとって大変なストレスです(笑)
もし、このやりとりがしんどいという場合は帰宅後すぐに塾に送り出して、塾での自習に丸投げしてしまうというのも選択肢かもしれません。
最悪手はいったんはこの路線で接しようと判断したのにどこかで保護者の方の焦りと我慢の限界から感情的な怒り方で怒りを爆発させてしまうこと。
これをしてしまうと、また振り出しに戻ってしまいます。
そうなるならば、塾の自習質に丸投げというのも選択としてはありでしょう(その場合は信頼できる先生にその旨を正直に伝えてください。おそらく毎年そういう悩みで苦労する保護者さんを見てきているはずなので、最適の案を提示してくれるはずです)

「キャパオーバー型」への効果的な接し方とやってはいけない接し方

勉強をしているはずなのになぜかやることが終わらない。いつも塾で出ている課題をひとつ二つ忘れている。過去問のとき直しノートをなくしてしまう。プリントをなくしがちetc…
こうした悩みを抱える場合はBのキャパオーバー型です。
(このタイプの生徒さんは、この時期に精神的に追い込まれると急にボーっとしたり、とぼけたような反応が表出しがち)
キャパオーバー型の子の特徴は①全ての課題が把握しきれていない、②課題の優先順位に対する相場観がない、③課題にかかる時間の見積もりが甘いという3点。
全ての課題が把握できず優先順位がないままに目についた課題からこつこつじっくり取り組むため、結果的に毎回時間がなくなってしまうのです。

キャパオーバー型の生徒さんに有効な声賭けは、現状のタスクを全てリストアップしてあげて、かける時間を相談しながら一週間の学習スケジュールを組んであげることです。
自分が一週間をどういう立ち回りで動けばいいのか?何を優先的に行わなければいけないのか。
こういったことを一つ一つ目の前に見せてあげることで自分の努力のベクトルをはっきりと示してあげる必要があります。

キャパオーバー型の子にやってはいけない接し方は罰則を与えるタイプのコミュニケーションです。
期限までに過去問を終えなければゲームを没収とか、ノルマをこなさなければ一週間Youtube禁止とか。
そもそもの原因がタスクの管理ができておらず課題がこなしきれないことにあるため、罰則で精神的に負荷をかけても、その先にあるのは①より取りこぼしが増えるか②重圧から目の前の(一番怒られる)課題からこなそうとする行動変化です。
キャパオーバータイプの子は言ってしまえば脳内のタスクがぐちゃぐちゃに散らかった子供部屋のような感じです。
したがって必要なのはまずは散らかった部屋の整理に相当するタスクの把握とスケジューリングです。
精神的に追い詰めることなく障壁を取り除くことが重要なのです。

「気遣い型」への効果的な接し方とやってはいけない接し方

「絶対○点取らなきゃいけないのに…」「こんなに勉強しているのになんでぜんぜん伸びないの」「得意科目だった科目がどんどんできなくなっている」etc…
こうした悩みを持つ子は気遣い型に属します。
ここに属する子によくあるのが、お父さんお母さんの顔色を伺えたり気遣いができる、あるいは周囲の大人に褒められたい甘えたいといった傾向。
ここに属する子に関しては周囲の大人の反応にもっとも影響を受けます。
ここの悩みを抱えているお子さんがいる親御さんは、比較的ビジネスで成功していたり、勝負に勝ってきた経験が多いように思います。
そしてその成功体験に基づいた、直近の模試での具体的な目標点を課したり、かなり早い段階で志望校を絞ったりしてしまいがち。
もちろん勝負強く、今までも勝ってきた人にとっては具体的な目標や早急な損切りは有効な戦略です。
しかし、「褒められること」「顔色を伺うこと」が習慣化しているお子さんにとっては、そういう選択が「期待されていないんだ」というメッセージとして伝わります。
結果、その子は「期待を裏切れない→結果を出すために盲目的に勉強→勉強量が実力に反映されない→悪い結果→親のがっかりした態度→期待を裏切れない→・・・」という負のスパイラルに陥ってしまうわけです。

こうならないための接し方として絶対に守らなければいけないのは、「お子さんにあきらめの態度を絶対に見せない」という姿勢です。
もちろんそろそろ頭の中では「第一志望はうちの子には無理かもしれない」「それなら一段下げたところを」といった意思決定が芽生えるでしょう。
そして「最悪それさえ無理な場合も…」という考えも。
しかしそういったものは絶対に子供に見せてはいけません。
また、具体的な点数目標の設定でやる気を出させようという接し方も控えるべきです。
気遣い型の子にしなければいけないのは、出てきたあらゆる結果に動揺せずに、その結果の中からいい部分を探し出し、前向きな解釈による声かけをすること、そして「私は絶対に浮かれると思う」とこころから信じているように振舞うことです。
こうした態度で接せられることで、褒められた・期待されたという安心が芽生え、それが勉強にプラスの循環を生み出すのです。
おそらく全タイプ中、ここに該当する保護者の方がもっとも我慢が必要です。
しかし現状の打開を望むなら必須のアプローチです。
何か言葉をかけそうになったとき、「その声かけでわが子は期待されていないことに傷つくことはないか」という問いかけをするようにしてください。

「猪突猛進型」への効果的な接し方とやってはいけない接し方

「オレ、こんないい点数だった!」「ケアレスミスはあるけど難問は解けた」「字の汚さがたびたび指摘される」「自己採点と返ってきた模試の結果に乖離がある」etc…
こういった傾向がある子は猪突猛進型に含まれます。
このタイプは地頭がいい代わりに振り返るのが苦手、そして何より思考過程を言語化することが苦手な傾向にあります。
瞬間的なひらめきに任せているから自分の思考プロセスをたどるという経験がなく、その結果演習による再現性の蓄積がなされず、結果的にその瞬間のひらめき頼みになり、結果が安定しないという状況に陥るわけです。
このタイプの子に有効な声かけは、「なんで?」「どういうこと?」という日常からその子のだした結論の理由を聞き返すような接し方です。
本来自分の頭の中で思考過程を復習する、その練習としてとき直しノート等に自分の言葉で思考過程を言語化するというプロセスを踏むのですが、おそらくこのタイプの子は自分の考え方をまとまった言葉に起こすのが得意ではありません。
なので、口頭試問のような形で、ゆっくりと答えにたどり着いた過程をたずねてあげてください。

このタイプの子にやってはいけないのが、大人の側がその子の話をぶったぎって「ようするに」とまとめてしまうことです。
これをしてしまうと、自分の考えに至った過程をたどるという意識が芽生えません。
できれば日常生活の中からこういう態度は避けたいところ。
要領を得ず、もどかしいと思うことはあるかもしれませんが、必ずつたなくとも何とか話そうとした内容を最後まで聞いてあげてください。
そしてできれば、親御さん自身のしゃべる速度を落としてあげてください。
会話速度を落とし、思考速度に制約をかけることで、ゆっくり思考する習慣が作られるはずです。

終わりに

以上がこの時期によくある悩み相談のうち、大人の側の接し方というアプローチが効果的なものになります。
ここからは勉強そのものだけでなく、勉強に打ち込む環境も重要になってきます。
もし以上のいずれかに該当する場合は実践してみてください。

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