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千の焦点を揺らして・第1章:青と桜の手引き(坂口安吾全集リミックス)

 アンは気づいた、その括弧に。名前には括弧がある。つまり「坂、口、アン」に、括弧がある。坂を登れば、坂を意識しない。誰が坂は登るものだと断定した? だから、坂に用はない。口とアン、「くちアン」を残して。つまり「く」と「ン」は「<>」を形成することに気付く。括弧のプリズム、二個できた。そこに映し出されたものに、更に、その後で気付く。

 雪の国を離れて、都会で炳の抹消を綴りはじめてから、時間の経過に対する感覚が鈍くなった。ほぼ鈍器。何年経ったか。何千年経ったかもしれない。綴られるものが鍵盤に降りしきる雪になっていて、指を硬直させる。指も鈍器。紙を殴り続ける、その鈍器で。空白との対決がまったくの徒労ではなかった。迷路的言語をいくつか生産した。まさしく謎のような、アン黒。ただ、綴られたものはいつの間にか、アンにとっても迷路になってしまった。見通しが立たない。長編は書けない。書ける気は何度もしたが。だから、いままで建ててきた迷宮に入り、そこにプリズムの菱形を当てる。つまり「<>」を。括弧は遊走する。一つ一つのタイトルに照準を定める。狙い撃ち、外す。どんどん急所を外す。迷子して、投げ出す。投げ出し、また徘徊しはじめる。もう、やけだ。

 しかし、アンはまだ知らない。未来が過去を予言するのを、知らない。いずれ思い出していく、予言の名は「桜の森の満開の下」である、ン。〈三番目の目〉と〈三番目の耳〉はそれを思い出していく。さらのもりのまかいの、下に、潜在する地層に、彼を捕まえる旋法がある。「く」と「ン」はそれを囲むはずだ、囲むべきだ。囲い込んで、切り取る。らのもりのま、ラの森の魔。このサンプリングの仕方が、苦しいか? でも、それでいい。(ナガシマの言葉に誘われて)、飛躍が恩恵である。だから、荒唐無稽でいい。ちぐはぐで、不揃いの、その粗さで。未来は過去に、こう告げる。「ラ」の音色に焦がれ、焦がれながら唱え。予言がこう告げたのは、後で分かる。書いてしまって、はじめて合点がいく。「ラ」の森、その魔によって、アンは幾つかの言葉を引き出す、そういう未来にたどり着く。その未来に現在が、規定される、一直線に。淪落、堕落、落。裸形、裸出、裸。「ラ」は反復する、驚くほどに、反復する。垂直のリトルネロ。〈目〉と〈耳〉はその名を知っている。

 今、アンは青春に直面する。青春はくじかれる。そして、森に入る、桜の。これは予言ではない。予言の名はあくまでも「桜の森の満開の下」である、一貫して、それである。だから、その「森」ではない。ともかく、アンは、「明日は天気になれ」と、陽気なふりで空きカンを蹴り飛ばしながら、どこかの都会にいる。

 ゴトゴトガタンゴトゴトガタン。

 電車の中で、青春に直面する。彼自身の。これは反語ではない。この歳になっても、彼の青春は持続している。しかし、この内省は決して気持ちのいいものではない。区切りをつけようと、参ってしまう。区切りがない。見つからない、通過点なるものが。ある時点のある成就、こんな、立派な人生を示す指標自体が疑わしいものである。救いがない。うんざりする。寺の住持が話しかけてくる。イメージが沸いてきた。

「陀羅尼を唱える、念仏電車。」

 うっかり、口にする。住持はアンのファンタジーを気にしない様子だった、彼は話を続ける。

「君は自殺を信じるのか」

「自殺はおもちゃだ」

「では、鬼の自殺はいかが」

「死人の自殺か、なかなかの逆説だ」

 住持は語る。ある老婆の話を。寺の離れで、彼はVinylレコードをかけていた。そして、針が溝を走る。走って、突然止まる。浮きはじめる。空中浮遊のその針が、宙に溝を作り出していく。そこから、声がする。ガランドウにて、反響する。「髪が、白川の水を汲み、銀河色」老女の声だった。いや、ノイズがひどいので、最初は老女だと分からなかった。針を止めようとすると、指が切られる。滴る血が、レコードの溝に染み込む。「何が望みだ」と住持は問う。「お聞きになりますか、銀河色」と老女の声は言う。「銀河鉄道の話は聞き及んでいる、カンパネルラ」「ふふふ、私はサソリの方で」「針を返していただこう」「ええ、回向のまにまに。エコーだけに」「ダジャレは間に合っている」

 針は再びレコードの溝に戻された。ツッ。戻された瞬間、溝の血痕にそって、針はレコード盤を切り刻む。破裂。血が飛び散る。他のVinylがそれを浴びる。住持は瞬時にわかった。この血が、レコードにかかる呪いである。音楽は人質にされている。「要求を聞こう、賊徒。」「人聞きの悪い、単に、お越しいただく存じます。」二重敬語が嫌味の表しであることがわかった。従うしかない。「場所は」「零時の川沿いの洋館でお待ちします」「ホラーの定番だな」

 洋館に向かう。数珠を手にして。珠の数は108。地面に引きずりながら運ぶ。深夜。数珠の表面は牙を剥く。アスファルトを削りながら詠唱を流す。 

 ナモアミダバヤタタギャタヤダディヤタ……

 ……洋館に着いた。無人。あたりがひっそりしていて、なんだか懐かしい感じがする。螺旋の階段は左右に鎮座して、視線を上のロフトへと導く。「歌姫だった」老女の声がする、「歌姫だった、しかし、喉が故障した。それで、青春が終わった。髪が銀河色に、過ぎ去る誇りを、引き止められずに」「それは何世紀も前の話だろう」住持は気づいた、ある写真の年代に。多分その写真に写っている人の声だ。直感が、そう訴えた。この人の栄光の時代はもう、とっくに過ぎていた。シャー。首が落ちてくる。一斉に、天井から無数の生首が落ちる。落ちて、跳ねる。跳ねながら、歌唱する。銀色の髪が靡く。歌声の振動は、髪に伝わり、それを弦にして、鳴らす。つまり、ア・カペラではない。アルペジオだ。住持は数珠をばら撒いた。ばら撒いて、糸だけを残した。そして、彼は問う。「これが銀河色か」「その通り、喉が石になった後の色です」「青春の色は」「たぎるこがね色でした」「石の喉は青春の終止符か」「全盛期に起きた、最大な不幸でした」「では、その喉に仏を与えよう」

 住持は糸を投げる。糸の先端に針が付いている。その針が、生首の喉を貫通する。老女はありし日の栄光を遡る、その糸を辿って、逆再生。つまり、タイムスリップする。そして、首が舞う、きりきり舞いだ。生首の舞いが針の軌道を操る。針は宙で溝を彫る。きりきりきりきり。それが彼女の、全盛期を反映する歌声の記録。往生は遂げられた。

 アンは思った。似たような、似てなかったような話を、かつてどこかで読んだ気がする。

 むばたまのわが黒髪は白川の みつはくむまでなりにけるかな

 歌を思い出す。目と耳が記憶から追放した歌だ。論点との関係性が薄かった。だから、払い除けた。でも、〈三番目の目〉と〈三番目の耳〉はそれを覚えている。ぼくはまだ持っているのか、〈三番目〉の、それらを。

「いいコンサートだった」住持はしんみりと呟いた。

「で、教訓は?」

「いいえ、私は一介のゴーストバスターでしかない。教訓は専門外だ」

 祓魔師は電車を降りた。青春の教訓は最初からなかった。しかし、区切りは確かに、あった。ぼくは青春の破片をあの国に埋葬した、礫の舌と共に、湖の底に沈めた。作為的に葬った。勝手な埋葬で、勝手に区切りをつけていた。分別のいい境界線を作って。だが、「それ」は環流する。退けられていたものが現に蘇る、今と地続きの関係を成して。青春の絶対性は疑えない。区切りのないものに、区切りをつけてしまう、これが青春の真実だ。参った。青春の差し出した落とし穴に、刻一刻の、その強烈さに、参った。

 電車を降りて、バスに乗り換える。乗り換えて、また別の線に乗る。アンは桜の森を目指す。青の時代に、桜色。簡単な発想だ。カストリを飲んだせいか、吐き気がする。そして、空爆の唸りが聞こえている。現在進行形。とうの昔に終わったはずの空爆が、今は耳の鼓動。隙間風が吹く。ドテラを羽織る。その服から真珠の香りが立ちのぼる。警報のサイレンは空爆と合奏する。都市全体が、逃走しはじめる。跫音が、段々音量を上げる。地面と接触して、踏み鳴らす。不気味なリズム。ドラムセットが合奏に加わる。コンクリートと瓦礫、無数の脚、首、腕が舞いあがり、壊滅の中心で、闇市の未来を整える、記号崩しのシンフォニー。殺傷兵器に、命の取引が強いられている。しかし、落ちる音の方が生命力をこもっている。つまり、爆音と跫音。間が抜けた高射砲よりも、ずっと。だから、泥人形たちが、バッタバッタ倒れる。だから、木も建物も何もない平な墓地になってしまう。この偉大な破壊、この巨大な愛情。落ちる、垂直に落ち続ける。永久の落下運動は無限の旅路を描く。命を落とすことになるだろう。それでも思いを馳せる。ぼくにはある、ゼロ地点から這い上がってくる、新鮮な再生に対する期待。期待、荒れ果てた斜塔に座り込む、秩序を一掃する、あの無心の状態。信じたい。新世界。

 ついに、訪れることが、叶わなかった新世界。

 焼夷弾が都市を焼け野原にした。桜が咲いていた。咲いた花が残ったまま、焼かれた樹木はちらほら見えた。山を登る。近くの防空壕から掘り出された死体はここに集まって、並ぶ。頭上、桜の花が満開する。温度が下がり続ける。ドテラで更にきつく、体を包む。太陽が眩しい。四方から、風が通る。花嵐を巻き起こす。死体が花びらの下敷きになる。それでも狂い咲く、桜花。独り。アンは目の前の光景を見る、聴く。冷たさと静寂。逃げ出したくなるが、感動する。桜の花盛りに、その徹底した無慈悲に。降りしきる花びらを見つめる。その一枚一枚に、人の生首が刻まれている。無数の、斬首。

 発車のベル。

 電車の扉が閉じていく。車両番号は、四。飛び込む。駆け込み乗車する。地味な勝利を感じる。勝利はすぐ、挫かれる。顔が彼の視界によぎる。親戚の子供だ。何年前で死んでいた。双子で、同じ病を抱えていた。(同じだったか、記憶が曖昧で、自信がなかった)死ぬ前に、都会で治療を受けていた。学校もこちらで、通っていた。双子と最後に会ったのは、(二番目の封鎖された)教室の時だった。歌劇の帰りの時、突然閉じ込められた。密室。ラジオ体操の曲が流れる。非常に陽気な旋律。だからこそ、目の前の光景が、ひどく歪に見える。クラーケン博士が、鞭で双子を打つ。血しぶきが、あたりに飛散する。

 「この教室は、全てのコマが体育だ。体育の時間なら、外で体操をやれ。それがルールだ」

 双子は口を固く閉ざして、顔色は変わらない。彼らの、いつもの、蒼白色。「なぜ法を破る、質問に答えろ」クラーケン博士は拷問する、墨を吐いて、ぶちかける。双子は墨まみれになる。「口をきかないなら、その指で墨をつけて書け、さもないと」クラーケン博士は吸盤を振りかざし、双子の腹をひっぱたく。双子の腹の皮膚が、吸い剥がされていく。蒼白の顔が継続して、閉口が続く。

 アンは、クラーケンを止めようとする。動く前に、誰かが割り込む。彼の兄の娘、つまり姪が、吸盤の滅多打ちを引き受ける。痛みを、引き受ける。自殺に等しい行為である。アンは、動けなかった。ちゃんとした理由は、あった。目を見てしまった。彼女の双眸は叫んでいた、命の使い道を決めるのは私だ、そう叫んでいた。だから、止める資格は、なかった。すべての時間が体操を強制するこの教室では、命の選択が、最後の自由だった。それを止める資格は、誰にもないのだ。姪はその教室で、命を落とす。内臓が吸い剥がされるまで、彼女は攻撃を、食い止め続ける。双子はそれを冷徹に静観する、配られた食糧を食べながら。

 手紙を書いていた、あの世の双子宛に。しかし、届かなかった。名前が、わからなかった。だから、あの世には届かない。出した手紙は風の学者と共に紛失した。〈三番目の目〉と〈三番目の耳〉に助けを求める。返答はない。肝心な時だけ、機能しない。それでも、書き続けていた。頭のデータベースを頼りに、しらみつぶし探索を駆使して、つまり人力のexhaustive searchで、双子の名前を、あの世に届くためのパスワードを、試していく。漢字の組み合わせを、一つ一つ、試していく。何万通りのパターンを試したが、双子の名前にあてはまるものは、見つからなかった。

 今、その双子は目の前にいる、電車の中で。

「もう、めいろしかかけないのね、アンのおじさん」

   「んさじおのンア、ねのいなけかかしろいめ、うも」

 二人の声は、互いに逆走し、オーバーラップする。順行と逆行が一瞬遅れてから、同時進行する。音節と音節が、激しく干渉し合う。周波数がずれている。ちぐはぐで、不揃いで、軋む。「もう、めいろ」の後に続くものが聞き取れない。いまでも双子との通信が妨害されている。アンはすかさず了解する、この情况をもたらした原因を。だから、問う。

「二人共、いまはどう呼ばれている?」卑怯な言い回しで聞く。名前を忘れたことは二人に知られたくなかった。たちの悪い強がりだった。

「ぼくはショウ、あきらの晶」

           「顳のみかめこ、ウョシはくぼ」

 名前が、重なり合う。ショウ。垂直に、ピッタリと、一致する読み方の、純正音程。周波数が合う、その刹那に、発生する。〈三番目の目〉と〈三番目の耳〉がこの出来事に反応する。五つの記号を繋げる。翻訳が、出来てしまう。逆行の方の。つまり、顳の方の声が翻訳可能になる。それを順行に変えて。翻訳は、視覚的な操作において行われる。

            「顳のみかめこ、ウョシはくぼ」という声を、「顳」を軸に、時計回りに回転させる。つまり、声を時間の秩序に従属させる。それを180度回し、スピン。

「ぼくはショウ、こめかみの顳」

 晶と顳。名前を思い出していく。〈三番目の目〉と〈三番目の耳〉が双子の名を、思い出していく。名は連なる七つ星、すべての星座の頂点に立つ者、〈目〉と〈耳〉はそれを知っている。

「ぼくは〈三番目の目〉だ、だから、晶」

   「ぼくは〈三番目の耳〉だ、だから、顳」

 目と晶。耳と顳。何かがずれている。どう見ても、ずれている。が、〈三番目〉のそれらは気にしない。粗さは恩恵である。双子の声は未だにオーバーラップしている。でも、なんとか聞き取れる程度にはなっている。

「ずっと、手紙を書こうとした」アンは、また嘘をつく。書いていた文字を徒労にして、書いていた事実をも徒労にして、過去を清算する。

「それはいらない」

   「うん、必要ない」

「あの二人ならきっとそう反応する」

   「うん、きっとそういう反応する」

「では、」アンは震えた。震えて、口を噤んだ。では、君たちは何者なんだ。

「ぼくたちは、ふるさとの最後の住人」

   「神々しいぐらい一途に、必死の気魄」

「決して悲しまない、決して喜ばない」

   「決して不貞腐れらない、決して腹立たない」

「決して口で喋らない、決して感情を表さない」

   「一切の言葉の詩情に心の動かぬ頑固な不機嫌」

「それでも、憩いの世界」

   「己しか裁かない、独身者の正体」

 この二人は双子の擬態だ。同じ名前を持つ、ドッペルゲンガー。クローンとしての代弁者、本人ではない。手紙は、最初から届くことができないのだ、双子に。アンは、迷った。なんて話せば、届く? あの頑固な不機嫌に?

 彼はわかっている。届いたところで、反応は帰ってこない。双子の正体は絶対の寡黙、寡黙をもって、最後の最後で、一切合切を突き放す。青春を語ることすら、バカバカしくなる、頑なに口を閉ざしている、あの双子の前では。彼らの静寂を言葉の勺で汲み尽くすことは、決してできない。彼ができるのは、今目の前の二人と戯れることでしかない。

 花びらが、肩についていた。それを手に取る。手向けは、するべきだ。

 ついてくるのか。アンは二人に問う。

「ついていくよ、〈目〉だらか」

   「ついていくよ、〈耳〉だから」

 快諾した。二人のショウが、背中を押しくれる。書けそうな気がする。今度こそ、間違わない。アンはまだ過去を予言する未来のことを知らない、予言の名が「桜の森の満開の下」であることを知らない。でも、今は二個のプリズムと一緒にいる、二人のショウと共に。<>、菱形の船出だ。

「文壇復帰作戦、名づけて巻き返し」

   「文壇奪還作戦、名づけて返り咲き」

 アンは四号車を降りる。そして、谷底に向かう。谷底に駅があった。廃線駅の跡だ。廃址から、陀羅尼の詠唱が漏れてくる。じわじわと、にじみ出る。傍らに、そびえたつ大樹。太陽の光が、陰影を掻き分けて、射し込む。剥き出しの根元に、雪だるまの残余。融けて、凝固する。繰り返す。結晶する氷、脚で踏み潰す。温度が上がる。ドテラも、破棄されて、droning。

 Droning、drdrdrdrdrdrdroning、

 空白を、鈍器で殴る。硬直した指。陀羅尼たちがオーバーラップする。「ラ」の森の、魔! 無慈悲に狂い咲く。ゼロ地点から思い描く、命の落下運動。降りる坂は蘇る。念仏電車は牙を剥く。無限の旅路。針が銀河の空きカンを蹴飛ばしながら、タイムスリップする。区切りを払い除ける、空中浮遊の祓魔師。きりきりきりきり。軋む、純正音程の歪な刹那に。陽気なリトルネイロ。トルネイロ、ネイロ、ネロ。頂点に立つ者、人力を駆使して、全盛期。迷子の自由を妨害し、恩恵を振りかざす、斬首の周波数。教室の殺傷兵器、敬服の体操を強制する。滅多打ち。飛び散る、レコードの血に刻まれる、命の使い道。星座の螺旋は、時計回りの秩序に照準を定め、栄光の急所を、狙い撃ち。翻訳の軸に、菱形をセット。180度、スピン。反対の方向に。ラジオからにじみ出るのは、逆再生されたリズム、追放された声の巻き戻し。未来は過去を予言する。予言の名は〈独身者のアルペジオ〉である、一貫して、それである。身勝手な清算は太陽の落とし穴。過去の双眸はそう告げて、憩いの世界を踏み潰し、埋葬の専門者たち、ゼロ地点から這い上がり、剥き出しに。地続きの正体を掘り出す、Searching。ありし日の代弁者を、しらみつぶす、ショウ、ショウ、ショウ! 廃址の下にそびえたつ、無数の陰たち。その名前に、仏を与えよう。返り咲き。だから、ついていくよ、〈目〉と〈耳〉と、共に。「ラ」の森の、魔!

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