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【セルフ習熟度チェック】古文の助動詞「ぬ」。打消?完了?間違えると全く逆の意味になるから注意⚠️

突然ですが、≪問題≫です。(生徒に実際に尋ねた問題。)

≪問題≫車入ら門やはある。(『枕草子』)
この「ぬ」を文法的に説明してください。


正解は、打消の助動詞「ぬ」の連体形。

当てられた生徒は、「完了?」と返答していました。
(「?」がついてるあたり、自信はなさそうでした。)


この事象に対する反応だけでも習熟度が分かります。
「完了?打消?なにそれ?」
→基礎。まずは助動詞をひと通り覚えましょう。⇒目次(1)へ
「完了か打消か迷ったなぁ」
→標準。助動詞は覚えてますね👏次は識別をやりましょ~。⇒目次(2)へ
(ちなみに、先ほど登場した生徒はこのタイプ。頑張って覚えたんだな…と思って、嬉しかった(´;ω;`)ウッ…←年々涙もろくなってる。)
「打消でしょ」
→発展👏では、未然形と連用形が同形の品詞と接続していたらどうする?(「見る」とか。)⇒目次(3)へ

この上で目次から該当するものを読むと良いです。(勉強としてこの記事を読んでいるとすれば、すでに知っていることを確認する時間がもったいないので、あえて読む必要はないです。)

【基礎】(1)古文の助動詞「ぬ」は2種類。


①「~ない」と訳す、打消の意味をもつ、助動詞の「ず」の連体形

②「~した」と訳す、完了の意味をもつ、助動詞の「ぬ」の終止形(強意もある)


①②、それぞれの活用形を確認してみましょう。
未然形/連用形/終止形/連体形/已然形/命令形で表記します。
(ちなみに、「活用形」とは、ある言葉が別の言葉とくっつくことで変化した形のこと。古文文法では、未然形・連用形・終止形・連体形・已然形・命令形の6つある。6つもあるんかい…)

①打消「ず」 (ず)/ず/ず//ね/〇 
 ※「〇」は存在しないことを表します。
 ※補助活用もありますが、今回は割愛します。
②完了「ぬ」 な/に//ぬる/ぬれ/ね

「ぬ」が被っています。
助動詞をひと通り覚えたらぶち当たる第一の壁です。
「被ってるのあるやん!どうしたらいいの?」となります。
(これだから古文嫌やねん…とうんざりするポイントでもある。やめさせてもらうわ!と言いたくなる。が、入試科目として必要なら仕方ない…と取り組んでる生徒多数。)

【標準】(2)接続(どの活用形とくっついているのか)に注目。

①打消「ぬ」→未然形接続=未然形とくっつく。

②完了「ぬ」→連用形接続=連用形とくっつく。

「接続」とは、言葉のつながりのことです。
①打消「ぬ」とくっつくには、未然形に変化しなければなりません。
②完了「ぬ」とくっつくには、連用形に変化しなければなりません。

それをふまえて、さっきの≪問題≫「車入ら門やはある」を見てみましょう。
「ぬ」の直前にある、「入ら」は未然形です。よって、ここの「ぬ」は、打消「ぬ」だと判断できます。
この≪問題≫の場合だと以上です。

ただ、ここまでだと未然形と連用形が同形の場合だったら判断ができません。難関大学を目指すのであれば、未然形と連用形が同形の場合でも答えられるようにしておく必要があります。

【発展】(3)上がダメなら下を見よ。

①打消「ぬ」→名詞・「を」「に」「の」「は」「が」のどれかが直下にある。もしくは、「ぞ」「なむ」「や」「か」の結び(文末)になっている。

②完了「ぬ」→「と」「。」「べし」「まじ」「めり」「なり(伝聞推定)」「らむ」「らし」が直下にある。


要は、
①連体形接続のもの(打消「ず」の連体形だから)
②終止形接続のもの(完了「ぬ」の終止形だから)
をまとめているだけです。

例えば、
(A)日も暮れぬ。
(B)暮れぬ日。
これだと、直前の「暮れ」は未然形と連用形が同形なので、判断できません。
そこで、それぞれの「ぬ」の直下に注目します。
すると、(A)は「。」、(B)は「日(名詞)」です。
よって、(A)が完了で、(B)が打消になります。

以上です。
後は何度も繰り返して慣れる!
手元にある教科書、問題集、参考書を何度もやり直してマスターしましょう。(ということは、教科書・問題集・参考書は何度も使えるようにコピーして使うとよいです。)

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