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旅のススメ♡妄想旅もね♡

作っていると、色んなことが気になります。

始まりは、スペインタイルの、あの鮮やかな釉薬の発色に魅せられたことでしたが、

タイルの絵付けに出会い、
タイルとともに旅をしました。

実際に旅行をするだけではなく、精神的にも、旅をしました。

現在から過去、国内外、どれだけ意識がぶっ飛んで行ったことでしょう。

もちろん、本当の旅が一番楽しいです♪


「クエルダセカ技法」って、面白い名前だね



「クエルダセカ」という名前を初めて聞いたとき、
私にとっては、何のイメージも湧かない不思議な文字列でした。
日本ではないけれど、海外の誰かの名前なのか何なのか、全く想像がつきません。

クエルダセカ技法とは、釉薬(液体の絵の具のようなもの)をスポイトで取って、素焼きの陶器に色をのせていく絵付け技法です。

起源を遡れば、15世紀にイスラム(北アフリカ)からスペインに伝わった技法で、

「クエルダ」=ひも
「セカ」=乾いた

という意味だそうです。

その昔、乾いた紐を使って縁取りして作っていたことから、このように呼ばれているそうです。(手間のかかるモザイクタイルを簡素化しようとできた技術で、縁取りした中に釉薬をのせます)

実際に作った経験がないとイメージが湧かず、いったい何のことでしょう?ですね。

退屈ですが、もうちょっとだけお付き合いくださいね。


イスラム圏の方が、陶技術や建築では、当時は進んでいました。

偶像崇拝を禁止するイスラム教では、モスクを彩る壁面や天井には、美しい幾何学模様のタイルが多く用いられています。

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”数学で計算された無限の美は神が創造した完璧な世界を暗示するものであり、それは永遠に続くのである。”

”永遠に続いていくような自然主義的デザインは、宇宙的な広がりを感じさせる。”

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そんな世界観を表現した、イスラム建築を見にいきたいものですが、なかなかそうもいきません。

そこで、オススメするのが、こちら。


▶︎「世界のタイル博物館」に行こう

世界のタイルの歴史やサンプルを見られるのは、日本ではきっと、ここだけでしょう。

少々、マニアックに感じられるかもしれませんが、
運営母体は、みんながお世話になっているトイレで有名な、LIXIL(旧INAX)さんです。

常滑(愛知県)の地にあるのは、偶然ではありません。

常滑焼は、古くは土管(昔、水道管などは金属やプラスチックでなく陶器製でした)の製造が盛んでした。

この地で、伊奈製陶所→INAX→LIXILと、時代の流れとともに移り変わってきたのです。

その歴史を感じられる「土管坂(どかんざか)」を散策しながら、訪れてみるのはいかがでしょう?



景徳鎮から、巡り巡って有田焼へ


もっと身近な、私たちが日ごろ使う、お茶碗やお皿に目を向けてみましょう。

日本の陶磁器の技術は、中国や朝鮮の影響を受けながら発展してきました。

中国の景徳鎮は世界的に有名な窯場で、
英語でChinaといえば、磁器を意味します。(Japanといえば、漆器みたいに)

景徳鎮では、磁器の原料となる陶石(カオリン)が採れ、
電気やガスのない時代に、陶器よりも焼成温度の高い磁器を焼く技術を獲得したことで、
これまでできなかった、ガラス質で薄く白い色肌の、美しい発明品を生み出します。

当初は宝石のような贅沢品として、
そして18〜19世紀には、グローバルに磁器が流通します。

日本では、朝鮮出兵で連れ帰った陶工により技術が伝わり、有田で日本初の磁器を製造します。

中国明王朝の滅亡に伴う混乱で、景徳鎮の生産量が減少をきたした際に、東インド会社によって有田焼がヨーロッパに盛んに輸出され、日本の磁器もその技術を高めていきます。

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幕末〜明治時代のものは、特に、芸術性が高く技術を極めた素晴らしいものが多いです。

ここでようやく辿り着いた、旅のオススメです。


▶︎「清水三年坂美術館」に行こう

清水三年坂美術館(京都)には、この時代の超絶技巧とも言えるような、繊細で洗練された芸術品が展示されています。

磁器では白薩摩(京薩摩)を、
その他、金工・七宝・漆芸の工芸品を楽しむことができます。

規模は小さいですが、ぎゅっと内容の濃い展示品に、うっとりとしていつの間にか時間が経ってしまいます。

京都の旅に絡めて、ぜひお立ち寄りください。



陶器とか磁器って何?気になってきたよ、という方は、こちらをどうぞ。

▶︎陶器とは、磁器とは?

中川政七商店さんが、日本全国の焼き物を紹介されています。
まるで、各地の窯巡りのオンライン旅行をしているような気分が味わえます。


以上、私の偏愛に基づいてオススメする旅でした。

コロナが収束したら、ぜひ旅先の候補地の一つに入れていただけると、嬉しいです♪


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