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微力でも無力じゃないから【ボランティア 〜篠山アーク@兵庫】

9月に入り、朝晩が随分と過ごしやすくなりましたね。

先日、日本でも高水準の動物福祉の実現を目指しているという あるシェルターを訪れてきました。

実は ここに来るのは2回目になります。

最初に訪れたのは、先代犬のちょこまるさんが亡くなった年の5年前。

こんな悲しい思いをするのは嫌だから、犬なんてもう飼わない!
もうワンコと暮らすことはないから 使うこともないと、
食べられなくなって残った療養食やケージなどを寄付しにやってきたのです。

ようやく一棟のシェルターが建ったばかりの頃で、周囲の土地もまだ整地しただけの 雨が降れば泥だらけになりそうな、建物ばかりが新しく寂しげな雰囲気がありました。


そして5年ぶりに訪れた先日、シェルターは2棟に増えていました。
地面は一面がグリーンで覆われ、そよそよと風が吹くと 木々の木陰もゆらゆらして、美しい景観が広がるサンクチュアリ。


ここは、アーク(ARK=箱舟)という動物保護団体が、日本の動物福祉の向上を図りたいと建設中の「篠山アーク」です。敷地面積は7000坪。(東京ドームの半分くらいでしょうか?)

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このシェルターで保護されている動物たちの中でも フレンドリーな4頭の犬たちのお散歩を終えると、あっという間に一万歩を超えていました。

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若くて元気な20キロ超の大型犬のお散歩は、
「待ちに待ったお散歩だ!走りたいよ〜!」の声を聞いて、思い切って走り、
犬の引っ張る力で身体が持っていかれないようにと全身を使って走ると、汗だくになりヘトヘトになりました。

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敷地内のお散歩コースは、清流の近くや木陰のある小径を歩いたり、ドッグランで自由に走り回ったりして、ワンコたちにとって極上の環境ではないでしょうか。


お昼休憩をいただき、同じ日に入ったボランティアさんと互いの犬の話をして、持参したデザートをともに頬張ると、疲れも吹き飛んでしまうのでした。


午後からは、犬舎の掃除と側溝掃除。

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掃除といっても、清潔が保たれているのでそんなに大変ではありません。
下に敷いているタオルケットを退けると、
「何するのよー」と言わんばかりに、部屋主のワンコがわざと邪魔な位置に陣取る姿は、なんとも可愛らしい。
不法侵入してるよね、ごめんね、掃除をさせていただきますよ。



アークは、イギリス人のエリザベス・オリバーさんが1990年に設立した動物保護団体です。


大阪アークから始まり、東京アーク、篠山アークへと、次第に活動が広がりました。


オリバーさんの出身国イギリスは動物愛護の先進国と言われており、現在では、動物の飼養や利用に関連する70以上もの法令が定められているそうです。

アークを大きな組織へと育て上げたオリバーさんのことが知りたくなり、著書である「動物と分かちあう人生」を購入しました。


「なぜ日本に来ましたか?」

・・・

「好奇心から」

日本に来ることが人生の計画に入っていたわけでもないイギリス人のオリバーさん。

冒険心旺盛な青春時代に出会った一人の日本人を訪ねて、初めて日本に降り立ったのは、まだ一般家庭には冷蔵庫も水洗トイレもない1960年代。
一軒家と庭のある人だけが、番犬として犬を飼っていた時代でした。

オリバーさんが20代に冒険旅行をしていた頃から来日に至るまでのこと、日本での生活やアーク(動物保護団体)の設立、二つの大震災の経験までが語られています。


日本の福祉やボランティアへの意識、動物を取り巻く状況など、これらを日本人の考え方と絡めて、イギリス人であるオリバーさんの視点からの意見が鋭く刺さります。

読んで気になったキーワードを並べてみると、こんな感じになるでしょうか。

日本の福祉の概念は、「老人ホーム」を想定している
多くの若者が、おそらく大震災の経験で初めて何がボランティアなのかを理解したと思う
動物福祉を扱う組織体がない
ブリーダーやペットショップを規制する法律がない
仏教国の安楽死への態度に対する違和感
日本のペットたちは「社会的交際」を断たれている
日本人と和犬の気質



オリバーさんの生涯が、日本での動物保護活動に捧げられています。

特に阪神淡路大震災では、被災動物600頭の救助、ケア、里親探しに翻弄されました。
その経験から、このようなことをおっしゃっています。

阪神淡路大震災の経験から私たちが学んだことは、救助それ自体は始まりでしかなく、救助後もずっと関わっていかなければならない、ということだ。
日本には、ペット用のシェルターのネットワークもなければ、設備の整った私的な組織もない。災害は起こるものだと分かっているのに、実際には誰もそのための準備もしていない。
小さなグループや組織、獣医師、個人がバラバラに自分たちだけのネットワークやボランティア間で助けあっていて、全体から取り組んでいく緊急の手順や協働できる行動が取れなかった。
阪神淡路大震災のときに、県に動物のためにされた寄付が使われようとしなかったことから、
それぞれの自治体が動物の緊急設備を設置するべきだと提案していたのに、
東日本大震災でも動物のための避難準備はされなかった。
未だにアークのような民間組織が少しずつ活動を続けている。
また、緊急時に海外から来たボランティアたちは観光ビザで来日したので3ヶ月の滞在しか許されなかった。日本にはボランティアビザがないからだ。



この9月は、防災の日(9月1日)があり、動物愛護週間(9月20日〜26日)があります。

この書籍は2012年に発行されたものですが、オリバーさんの言葉を前提とすれば、災害時の日本では公的な動物の救助は あまり期待できないでしょう。

自助を基本として、緊急時のペットとの同行避難などの いざと言うときの備えを見直さなければと思います。


ろくまろさんの記事がとても参考になります!

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