映画マニアを名乗りた〜い!(7) もういい俺ホラー見る-お化けなんてないさ編-
まえがき ─ 何故
前回の最後に次はタイトルだけ知ってる映画見ま〜すって書いたんだけど、何か全然そのテーマで面白そうな映画を見付けられなくて、
何か他でメンタル死んでたのも合わさって嫌になったので、もういいや!ってなって普通にホラーいっぱい見ました。
色んな映画を見ること自体が目的になっちゃいけないと思うので。好きな映画いっぱい見付けるためにこれを始めたので。ね。
ちなみに今回は幽霊やら怪物やらの出なさそうなホラーを選びました。どうぞ。
プラットフォーム
食事の乗った台座が上層階から順に降りてくる牢獄
いつぞやにTwitterでバズってたやつです。設定があまりに唆られすぎるのでバズも納得ですね。
そしてストーリーもそれに負けてなかった。ぶっ飛び設定ものはキャラの情緒がリアルじゃないと萎える派なんですけど、どんどん人間というものの本性が顕になっていく感じが非常に良かったですね。
ワンシチュエーションスリラーとして素晴らしい出来だと思います。
でもどうしてもオチ付けるのが難しいんだろうなぁこういうの。よくわかんない感じになっちゃった。俺がバカなだけかもしれんけど。
誰がどういう目的で仕組んでましたみたいなのを詳らかにする必要は必ずしもないとは思うんだけど、結局何やねんという気持ちも捨て切れない終わり方だったな〜。
でも格差社会とかトリクルダウン的な概念への皮肉っぽい感じもあったりで、全体的に良かったです。好きです。
クライマックス
ダンサーの集いで振る舞われたサングリアにLSD混入されてました
凄かった。何というか……凄かった。
俺には流石にアーティスティックすぎて正直ちょっと分かんなかった。
とにかく一個一個がなげ〜の。ダンスも会話も阿鼻叫喚のラリ地獄になってからも、全部のシーンが超絶長い。
誰の思惑がどうみたいなミステリー要素とかゼロで、ただただ人間の獣性とかそういうものをぶち撒け続けるだけの96分。
台詞も途中から全然無くなるし、ちょくちょく挟まるテロップの意味もあんまわかんないし、ちょっと俺には難しすぎた…。
映画好きすぎな人が好きそうだな〜って感じ。フランス映画って全部そんなイメージだけどポップなやつとかあるんかな。
それなりに楽しめたのは楽しめたけど、もうちょっとだけこちらに下ってくれると嬉しかったです。ごめんやで。
オキシジェン
目覚めたらコールドスリープ装置に閉じ込められてたし記憶全部無いし酸素ももう無い
うひょ〜!最高の最悪シチュエーションスリラーです。設定だけで見たくなっちゃうねこういうの。面白さはわりとピンキリだけど。
これはかなり面白かったです。ド王道SFとド王道閉じ込められホラーを混ぜ合わせて良い感じになってました。
謎がだんだん解き明かされながら物語が二転三転していくので、同じ場所にいるのに飽きない。
この手の話にありがちな「いやそんなことしてる暇あったらもっと…」みたいなシーンも少なく、ガンガン策を練ってガンガンアプローチしていくのも良かったですね。
オチはちょっとだけ拍子抜けしたけどまあ……良いでしょう。可哀想だったし。これは軽いネタバレ。
あとどうでもいいけどマジであらすじだけで見るもの選んでるのに3連続フランス映画でビビりました。そんなことある?
悪の教典
爽やかイケメン教師はサイコキラーでした
ということで気分を変えて邦画です。それもこういう、何というか、メインストリームな感じのやつです。三池監督実写化なのでそういうことです。
しかしながらいわゆるマンハントもので、バカスカ人が死につつナンセンスギャグみたいなのも挟まるので、結構好みは分かれそうですね。実際レビューも低かった。
でも期待してなかった割にはかなり面白かったです。このジャンルの醍醐味を超しっかり抑えてくれてて素晴らしいと思いました。中身やらメッセージ性なんか無くていいんですよねこういうのは。
それでいてクラスの生徒たちの学校生活模様を前フリとしてしっかり描いてからボッコボコ殺してくれるので気持ちいい。
唯一惜しむらくはCGと効果音が鬼ダサいことです。邦画嫌いの人ってこういう部分が嫌いなんだろうな〜って感じ。あと猟銃ってそんな遠距離届かんくない?ってのもちょっとあれだったな。まあ実際見たことないからわかんないっすけど。
あ、そしてヒミズ主演コンビが出て来たのが嬉しかったですね。二人とも役者としてめちゃくちゃ好きです。キャラがかった芝居がすんげ〜上手い。
総合的には結構好きでした。食わず嫌いするもんじゃないなというのを何度も痛感しています。
拷問男
娘を殺した犯人を捕まえて拷問に掛けよう
「拷問男」て。
原題は「Daddy's little daughter」です。「拷問男」て。
でもまあそのタイトルでも許せないことはないくらいめちゃくちゃシンプルな話でした。あらすじでほぼ内容全部言ってる系のやつです。
でも思ったより導入が丁寧で、拷問シーンよりむしろそっちが良かった。元嫁との不和とか娘の喪失に対する心の動きとか凄く人間として描かれてて好きでした。
でも肝心の拷問はいまいちかな〜。何か痛そうではあるけどずっと元気に叫んでるのが違和感だったな。グロさとか痛そうさは絶妙だったと思うけど。
あと犯人判明の経緯があっさりすぎるのもちょっと嫌だった。ミステリーじゃないしそこは切り捨てる部分だったんだろうけど、こう…もっとあっただろって感じが否めなかった。
でも締め方は変に感動に寄せすぎず、切なさ漂わせつつもスパッと終わってて、それは良かったです。何か凄くストイックな映画でした。嫌いじゃないです。
ドント・ブリーズ
娘を亡くした盲目ジジイの家に強盗に入ったらクソ強くて大ピンチ
何だかんだ見たこと無かった映画。面白かった。
このシチュエーションで作るならこうなってくれって感じの展開をしっかり拾ってくれるので気持ちよく見れました。まあ悪く言えば予想の範疇に収まったとも言えちゃうけど。
丁寧にいちいちハラハラさせてくれるし種明かしも丁度良くエグいしオチも王道だけど良い。何か安心するなこういうの。
あと「映画大好きポンポさん」で「映画はヒロインが魅力的に映れば最悪それでOK」みたいなことを言っていたのですが、正にそれでしたね。すごーく美人な方がすごーく頑張るのは名作ホラーの条件かもしれない。
ただひとつ個人的な好みとして、ホラーは因果応報な話より圧倒的理不尽な恐怖の方が好きなので、色々バックグラウンドあるにせよ強盗に入ってる時点で理不尽さは無くなっちゃってるのだけちょっと残念でした。いや設定の根本から否定しちゃっててあれだけど。
でもかなり良かったです。広く知られるだけのことはあるわね。
シャイニング
曰く付きの雪山のホテルに管理人として家族と移住したお父さんがだんだん狂っていく
ホラー映画好きを宣いながら見たことが無かった。パロディを含む作品やらキングの他の作品の映画は見てるのにね。
なるほど名作でした。「時計じかけのオレンジ」の時も思ったけど何十年も前の作品にしてはハイセンスすぎる。
ビビットな色彩とかシンメトリーで無機質な構図とか、よくわかんない演出とか、凄く芸術的で好きです。
これほんとに原作ありの映画かよってくらいエゴイスティックに作られてますね。
何か実際キングはこれ見て激おこだったみたいな話も聞いたことがあります。原作も読んでみたいもんです。
でも映画もミーム的に消費されるのは勿体ないくらいの傑作だと思います。
感覚的には「ヒミズ」の映画に近いかもしれない。またヒミズの話してごめんね。映画化にあたって原作と違う展開にすること自体はわりと肯定派です。映像と小説やら漫画で魅力的に映るものって違うと思うので。つまんね〜改変はクソだけど。どっちもそれぞれ良いよね〜って言えるのが理想ですよね。
マザー!
詩人の旦那と二人暮らしの家(私が建てた)に変なおじさんが訪ねてきてからすべてが壊れ出す
ファミリーコメディ映画みたいなタイトルなのに全然スリラー。
すんげえ映画だったよこれ。好みは分かれそうだけど。
序盤の小さいけどじわじわ厭な感じからグラデーション的に滅茶苦茶になっていく流れが非常に良かったです。小さな厭さも滅茶苦茶さも両方しっかり描けてると思う。
まあ後半はスピーディーかつド派手すぎて幾ら何でもって感じだけどそれがよりヤバさを醸しているので良し。
そしてゴリッゴリのアンチキリスト教映画と受け取ったんですけど合ってますかね。
分け与えることを何よりも美徳とするようなキリスト的教義の偽善や欺瞞や狂気性をクリエイターに宿る神性と上手く重ねて描いてて、解りやすいくらいアイロニカルでした。勘違いだったらごめん。多分合ってる。
とにかくかなり好きでした。でも2回見たくはないかな。だってずーっと可哀想なんだもんさ。
やっぱ俺ってばホラー大好きなのね。最高ですね。夏だしね。
ということで来月も見ますね。夏だしね。
来月はお化けバリバリ出るやつにしますね。楽しみね。じゃあね。
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