発見!逗子の伝統料理・浜の雑煮〜貸しキッチン逗子ののせ〜
「もういくつ寝ると〜♪お正月」
みなさん、年越しの準備はいかがでしょうか。
お正月に欠かせない料理といえば、雑煮。
雑煮(ぞうに)
餅を主な具とし、醤油や味噌などでだしを味付けたつゆをはった日本料理。世界的に見るとスープ料理の1つ。日本では正月に多く食べられ、地域や家庭によって違いがある。(wikipediaより)
雑煮が面白いのは、地域によって出汁の取り方や使う食材、餅の形など、地域の個性が色濃く出ること。
実は逗子にも、この土地ならではの雑煮の伝統レシピが残っているのをご存知だろうか。
レシピが発見されるきっかけとなったのは、小坪のセブンイレブン
レシピを発見、試作し再現したのは、逗子市逗子在住の藤本さん一家。
藤本さん一家は、今年京急新逗子駅近くの古民家をリノベーション。
住みながらレンタルキッチンスペース「逗子ののせ」をオープンした。
メニューを再現したのは、長らく逗子に住み、食にまつわる仕事をしていた藤本千里さん。
この度、貸しキッチンとしてオープンするにあたり、嫁の由紀子さんが
「逗子らしい季節の料理、伝統的に食べれられている雑煮があるかもしれない」
と考えたことから、千里さん、息子の新之助さん、由紀子さん、娘のゆき乃さんが、それぞれ市内でレシピを聞くことになったそうだ。
誰に聞けば、昔から根付く地元の雑煮のレシピを知っているかを考えて、
「コンビニで働くのはきっと、地元の人のはず。
だから、小坪のコンビニには、きっと小坪で生まれ育った人がいるはずだ」というアイデアにより、セブンイレブンに突撃取材。
すると、
店員さん
「うちのお雑煮は、タコを入れますよ」
と、知られざる雑煮のレシピに遭遇したのだった。
藤本さん一家は、タコの入るこの雑煮を「浜の雑煮」と命名。
去る12月2日、家族総出でつくりだした企画の集大成として、「逗子ののせ」でレシピのお披露目と料理教室が実施された。
気になる「浜の雑煮」のつくり方。
今回主役となり、特徴でもあるタコは、小坪の漁師さんによる手仕事で干されたもの。
このタコを蒸して戻してから、刻み、人参や里芋などお野菜と出汁と一緒に煮込む。
雑煮に入れるお餅は、信男さんと新之助さんの藤本家・男手コンビを筆頭に、参加者でついた出来立てを投入。
そんな家族愛、逗子愛に溢れた、出来たてアツアツの浜の雑煮がコチラ。
色がにじみ出ているように、タコのうまみと風味がしっかり効いている。
お野菜にもしっかり出ていて、食べ応えがある。
食べたことのない味のお雑煮でとても新鮮だった。
実は、今回披露された逗子の雑煮は「浜」のものだけではなかった。
この海の雑煮を食べていたのは、小坪地区、しかも漁師の方だけだという。
藤本さん一家の聞き込みの結果、小坪地区からほんの少し海から離れ、内陸に向かった沼間地区の方からは、
「鶏肉を入れるわよ」
「いや、うちは野菜しかいれない」
など、浜の雑煮とは違う、逗子に根付いたレシピも発見された。
今回は、これも「おかの雑煮」と銘打ち披露された。
「雑煮」という同じ料理でも、海の幸と、山の幸の両方を生かしたレシピが存在しているのは、海も山もある逗子らしさではないだろうか。
すぐ近くに住んでいるのに、食文化がこんなにも違い、またそれがしっかりと地元に根付いているのが、とても興味深かった。
年末年始、ぜひ、こうした逗子らしいお雑煮や、みなさんの出身地のお雑煮をつくって楽しんでみては。
* * *
今回のレッスンでは当日は、20名以上の参加者がアイランドキッチンを囲み、レシピや出汁の取り方、包丁の使い方を学び、食卓を一緒に囲む。
食を通じて、逗子に住む、関わる人同士の交流が生まれていた。
今後、「逗子ののせ」は貸しキッチンとして、今後こうした料理教室を主催する方を募集しているそうだ。
まだ知らない、眠れる逗子の伝統料理の発見が出会いが、ここ「逗子ののせ」で起きるかもしれない。
料理をしたい人、学びたい人は是非訪れてみてほしい。
<取材協力>
逗子ののせ
写真提供(一部):田中美乃里さん