バイクとバンドと

バイクは売却した。
ちょうど3年目の車検前、ディーラーとすれば、
とても頑張った値段で引き取ってもらえた。
ずっとお世話になってきたマネージャー、メカニックの方々に感謝。
もう一度乗れる状態になれるかは分からない。

バンドは卒業した。
約7年間、ずっと楽しく高い実力に支えられ、
今回も暖かく送り出してくれたメンバーに感謝。
もう一度演れるようになれるかは分からない。

積極的辞退。
長い休止。

迷惑を掛けるかもしれない心配と、
カッコ悪い姿を見せたくない羞恥。

引退ではなく長い休みだと考えてしまうのは、
きっとまだ病を完全に受け入れていないから。

「大丈夫」「元気になるよ」「待ってるから」
禁句ワードとは知らず、
優しい気持ちで声を掛けてくれる残酷。

そんな日々の中…

以前だとBPM115ぐらいの歩行速度を、
気を失う恐怖から92ぐらいに落とすようにしている。
（先日の意識を失う経験以降、かなり臆病になっている）
ただ、その身体の動かしによって、
不思議なことに、いつもの風景が少し違って感じられる。

まさにスローライフ。

ゆっくりの静かな時間の中で、
学べるものはまだまだあるんだ。

指先の痺れが辛くならない限り、
ベースだけは末梢神経の維持も兼ねて、
一人で弾き続けようと思う。

E弦をはじく。
低音が鳴り、
やがて彼方へ減衰してゆく。
常に波、変化…
が、響きは消えても、
その記憶は残り続ける。
無為自然、 Let It Be…