見出し画像

【web小説感想】『ヨミガラスとフカクジラ』著:ジャバウォック

皆さまごきげんよう。スガでございます。

冬の小説レビュー企画第2弾です。
企画概要は前回の記事をご覧くださいませ。

さて、今回はバンダースナッチさん(ノベプラではジャバウォックさん)の『ヨミガラスとフカクジラ』を読ませていただきました。
長編は2万字相当部分ということで、9話の『008』まで読んでいます。
現状、物語が動き出したばかりであり、この時点でレビューはできませんので、読んだところまでの感想を簡単に書かせていただきます。

<あらすじ>

飛行船により、浮遊大陸から人々が空へ駆け出して二世紀以上。
空中都市連邦“バラクシア”の首都と呼ばれる、工業都市“レガリス”はバラクシア連邦内で勃発した奴隷制度を巡る浄化戦争を乗り越え、奴隷制度を存続させる事に成功していた。
黒羽の団と呼ばれる抵抗軍の撲滅と奴隷制度の推進を掲げ、レガリスの帝王と帝国軍による帝国は益々隆盛を極めていく。
そんな中、“レガリス”において全てを失った男が居た。

『ヨミガラスとフカクジラ』作品情報より

冒頭はプロローグとして主人公デイヴィッドの帝国軍人時代が描かれています。
とある民族を奴隷として扱う帝国軍と、それに反旗を翻した奴隷たちを中心とする奴隷解放軍の戦争終盤。
デイヴィッドが聖堂で奴隷解放軍を殲滅し、帝国軍の勝利を硝煙弾で告げるシーンからこの物語は始まるのです。

丁寧でありながらも酷薄な三人称で描かれるプロローグは、主人公の人柄には全く触れず、彼の残した功績だけを静かに語っていました。
それがまるで、帝国軍人時代のデイヴィッドの無機質さ、心を殺しているようすを表しているようで、「この主人公はもしかしたら現状に心を痛めているのでは…?」と感じました。

その後、序盤はしばらく帝国軍と奴隷解放軍の残党である『レイヴン』の戦闘を通して世界観説明が行われます。
この戦闘描写がカッコいいんですよね〜!
作中の創作用語が多く、最初は戸惑うこともあったのですが、それよりも地の文の臨場感がすごくてドンドン読み進められました。
レイヴンの移動手段がその名にふさわしい『飛翔』なのがまたカッコいい!
高い建物の屋根をカラスのように飛んでいくのです!

デイヴィッドはこの後紆余曲折を経てレイヴン側に着くのですが、もちろん彼もこの『飛翔』を体験します。
この辺りからデイヴィッドの一人称に地の文が切り替わるのですが、彼の『飛翔』に関する反応が「マジかよ!?」って感じで愛嬌がありました笑
プロローグの無機質さから、素の主人公に差があるので、その辺りの変化も今後明らかにされるのでしょうか?

気になった点というか、読者としてのお願いを1つだけ。
作中の固有名詞や創作用語にぜひフリガナをふっていただきたいのです…。
『黒羽の団』とか、『空魚』とか『潜瘴艇』とかですね。
なんとなく読めなくもないのですが、もし作者さんの意図と違う読み方を私がしていたら、作品を全部楽しめないみたいでもったいないので…。
また、『鏃』などといった常用外の漢字にもフリガナがあるとうれしいなと思いました。
無学かつ、普段アクションものは読まないもので…ワガママですみません。

スチームパンク感漂う異世界ファンタジー。
今後、主人公に訪れる物語がどうなるのか気になるところです。
素敵な作品を教えてくださり、ありがとうございました。

この記事が参加している募集

#読書感想文

188,615件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?