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晴耕雨読 留学後のこと

スイスには3年3ヶ月、暮らしていました。
小学生の子と2人の留学生活、
そしてそのほとんどがコロナ禍、特殊な状況でした。

研究者の立場での留学でしたが、途中、挫折しました。
この研究プロセスが、
人を傷つけているんじゃないかとか考えだしてしまって、それはつまり
魚や肉を食べている人間は罪深い、というのと同じくらいちょっと極端な思考になってしまって、
エクセルで人の言葉を数値化し、計算することで結論を導き出す研究室を離れ、
人と直に関われる精神療法(精神分析)を学ぶ研究所に入りなおしたのです。
当然、人間の能力には向き、不向きというものがあると思いますが、私はもともと不向きだった能力を無理に頑張って使い果たして、頭がフリーズしてしまったのでした。

研究したくないだけでなくて、字が読めなくなったり、書けなくなったりもしました。
もちろん実際は読めるし書けるのですが、とてもつもなくしんどくなってしまったのです。
人の書いたものが信用できなくなったり、自分の書いたものが嘘なのではないかと気持ち悪くなったり。

ちょうどコロナ禍で研究所も閉鎖したり、オンラインとなったので、晴れていれば家の前の森を歩き、雨の日は部屋でパン作りやお絵描きに精を出していました。

★★★

帰国して1年半が経ちました。

留学を通して変わってしまった気持ちと、これまで日本で培ってきた日常(特に仕事)とどう折り合いをつけていったらいいのか、今も悩んでいるままです。

昔から、旅に出て、成長して帰還する物語は多くあって、例えば西洋の
昔話だったら、冒険の最後には結婚してめでたしめでたし、日本であれば、鬼退治してめでたしめでたし、あるいは浦島太郎のように戻ってきたら一瞬で老いて終了、のようなものがほとんど。
帰還したあとって、みんなはどう過ごしているのでしょうか。

という思いの中で、少しずつ留学中のこと、留学後のことを書いてみようかと思い立ちました。
これまで写真だけアップしていたnoteですが、趣向がかわります。





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