瀬戸に行った話
小学校からの友人と瀬戸に行くことにした。
彼女とは休みが合わないので、今回のようにタイミングと行きたいところといい感じの気候という三拍子揃う時がなかなかない。
ただ心配だったのは彼女の旦那さんも一緒に来るということだった。
旦那さんのことも知っているし、運転してくれるし、全然いいよと言いかけてとりあえず「ラーメンはイヤだからね」とだけ釘を刺しておいた。
旦那さんは肉も魚もエビも貝も食べられない人なので、お伊勢さんに行った時にビルの3Fのラーメン屋でラーメンを食べたという20年くらい前に聞いた話が衝撃的で、どうしてもそれだけは確認しておきたかったのだ。
お伊勢さんでラーメンを。
ティファニーで朝食を。
いや、旦那さんがどこで何を食べようが全然いいんだけども、わたしは出かけた先でラーメンはイヤなのよぅ。
まあ旦那さんにしてみたら、きっと20年も前に自分が昼にラーメンを食っただけのことを妻の友人が覚えている方が気味悪いだろうけど。
ともかくランチはラーメンじゃないところ、ということで無事出かける算段をつけ、わたしの地下鉄最寄駅から200mほどの大通りに面したコンビニ前で9時半に待ち合わせとなった。
がしかし、わたしの前に車が現れたのは10時だった。
渋滞していて遅れるという連絡は途切れ途切れに入っていたが、到着が何時になるかわからないし駅前まで戻らないと喫茶店もない。
現れた友人は旦那さんの判断が悪いとおかんむりで、乗り込んだ車内の空気が重い。そしていざスタートとなるもナビの設定でちょい揉める熟年夫婦。
頼むから揉めるな。
言わせてもらえば、何もないところで30分ぼんやり立ち尽くしてたわたしがいちばんかわいそうじゃないか。
とはいえ瀬戸に到着する頃には車内の空気も軽くなり、まずは本日の目的であるミロコマチコさんの展示に向かった。
ひゃーーーかわいいひゃーーかわいいひゃーーーーかわいいとうわごとのように呟きながら展示を観て回るわたしに、旦那の方は引いていたようだったが友人は慣れているので全然気にしていなかった。
展示をゆっくり観てグッズもいろいろ買い、満足したところで次はすぐ隣にあった招き猫ミュージアムに行く。わたしは以前にも来たことがあるのだが、友人は初めてらしい。それならぜひ行かなくては。
ただ友人は猫も好きなのでいいとして旦那はどうだ。入館料もかかることだし、なんなら別こうど…
「行く」
ああ、そう、それなら行きましょう。
古いものも新しいものも珍しいものもそうでもないものもなんでもかんでもとにかくさまざまなタイプの招き猫がぎっちりと並んでいて、全員がなにかを招いている。
地方によって全然顔がちがっていたりするのもいとおかし。
個人的には、トップ画像にした京都の清水焼のと、この金沢張り子のと、やっぱり瀬戸の子が好きだ。瀬戸の子、画像探すのめんどくさくなっちゃったごめん。
常滑焼の招き猫は顔がまん丸で目が大きい。
瀬戸焼の招き猫は小顔でどちらかといえば目が小さい。
うちのねこに似ているというのも好きな理由。
そんな中どうしても気になるやつが。
「ねえ、これ、ほらお笑いの、ほら、えーとほら、あの人、あれに似てない?」
と友人に聞いたのだが、なんせ友人あまりテレビをご覧にならない。好きなのはインド映画。それもわたしのような一般人には全く馴染みのないようなやつ。わたしからするとみんな同じ名前に聞こえるインド人俳優の名前もすらすらさくさく出てくる。
なのにこのお笑いの人は知らないという。なんでだよ。
「え?誰?」
「ほらーーー、コンビのさぁほらーーあの人だってば」
「えーー知らない、誰?」
「めっちゃ似てるのに〜!」
「わからん」
顔はめっちゃ浮かんでるのに!!
名前が!まったく!出てこない!
コレを書いてる今なら鼓を持ってるとか外来語を使わないとか運動神経悪いとかヒントが出てくるのに、この時は何も顔以外何も浮かばなかった。なんなら相方の顔も浮かんでたのにそれを伝える術がない。てか、伝えたとて友人はきっとわからなかったと思うけど。
この伝わらない感!キィーーーー!!!
となって、お笑いコンビ一覧 でググって『ア行』から順番に画像を見てようやくこれや!!!と発見。
「これ!ほら!すゑひろがりず!ほらこっちの方!」
「ほんとだーー似てるー」
賛同を得られて満足してスマホを閉じたところにまた気になる猫を発見。
「わ!マカロニほうれん荘のきんどーさんやん!」
「え?誰?知らない」
「マカロニほうれん荘だよ?」
「知らない」
なんだキミは。ほんとにわたしと同じ時代を駆け抜けてきたのか?なぜ知らない?
仕方なく今度は『マカロニほうれん荘 きんどーさん』でググった。
「似てるぅーーーー!」
「似てるよねー!」
わかってもらえてスッキリしたのはいいけれど。
すゑひろがりずが全く出てこなかったのに、マカロニほうれん荘のきんどーさんはスルッと出てきたというのがどうにも。
なんだろう…最近の記憶から薄れていって昔の記憶は残るという老化現象を痛感させられてちょっと悲しい。
さて。
二人でキャッキャと招き猫を見ていたので全く気にしてなかったけれど、旦那はひとりで楽しかったのだろうか。
てかいつの間にか旦那さんから旦那呼びになってるけど大丈夫だろうか。
どうでもいい話で長くなっちゃったので続きます。スミマセン。