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中国 山東省旅行レポート

私の妻は中国出身でして、コロナが落ち着いてきた(?)今、初めて両親へ挨拶へ行ってきました。

妻の実家は、山東省の小さな農村なのですが、中国留学経験がある私でも新鮮な体験がいくつかあったので、備忘録としてまとめてみようと思います。

政治・経済・社会・技術の4分野に分けて、書きます。

政治

山東省には、青島ビールで有名な港湾都市・青島があるのですが、妻の実家は車で3時間ほど内陸にある小さな農村の中にありました。

車や三輪オートリキシャで、周辺を移動したのですが、だいたい1村に1箇所共産党の事務所を見かけました。

それは、町の集会所くらいの大きさです。

写真を取り忘れてしまったのですが、薄い黄色の外観で圧迫感はないものの、有名な黄色いロゴが掲げられていました。

妻によると、あまり具体的で目立った活動は見られないものの、道路の建設など重要な案件について取り仕切っているそうです。

中国において共産党の存在が大きいことは知っていたものの、こんなに小さい農村にも事務所を構えて、行政に関与しているということは少し驚きでした。

経済

経済については、良い面と悪い面があります。

まず、良い面ですが、数十年前と比べて着実に生活が豊かになってきているということです。

人間の幸福レベルを上げる上で、この「着実に良くなっている」感覚というのは大切です。

例えば、現在の日本と今回訪れた山東省の農村とでは、圧倒的な経済格差が存在します。

しかし、私の主観なのですが、幸福レベルにはそれほど差がない、もしくは中国農村の方が幸せそう?に見えました。

幸福は、どこか相対的な要素が強く、「以前と比べて」「他人と比べて」などと比較対象に大きく影響を受けるように感じます。

数十年前の食べるのに必死という状況からは脱し、今は安定的な暮らしはできるようになっていて、近所・親戚との関係が深く、どこか幸せそうに映りました。

幹線道路から農村までの連絡道路は、以前まで土だったのですが、コンクリート舗装が施され、雨の日でも移動がしやすくなったそうです。

このように、スタート地点は低くても、「着実に前へ進んでいる感覚」がある状況で、社会に対する不満は生まれにくいように感じました。

悪い面としては、ライフラインの基本であるガス・水道が通っていないということです。

ガスの代替は石炭で、そちらの農村では1家に1台に石炭ストーブのようなものがあり、お湯を沸かすのも、料理をするのも、暖を取るのもそれでまかなっていました。

水は、地下水を樽に溜めておき、随時ヤカンで沸かして、魔法瓶のポットにストックしていくというものでした。

そのため、手を洗うのにも、沸騰したお湯を風呂桶に入れて、地下水を混ぜて適温にするという手間がかかります。

もちろん、温水シャワーもないため、手洗いと同様の流れで、風呂桶のお湯を使って頭や足を洗いました。

現地の方々は、足は毎日洗うようでしたが、頭は数日~1週間に1度くらいの頻度でしか洗わないようです。(冬)

私は、毎日温浴をし、朝もシャワーを浴びるほどの人間ですので、これには堪えました。。

トイレはボットントイレで、離れにあるので、夜は暗く寒い中でしなければいけませんでした。

よく新聞などで、世界には〇〇%の人口が水道やガスの通っていない家で生活しているというデータを目にしますが、感覚より高い数字で意外に思うことがありました。

しかし、今回そういった状況での生活を実際に体験してみて、これは全く遠い世界の話ではないんだと実感しました。

こういうデータを見ると、「可哀想」「恵まれない人々は多く存在するんだ」という印象を抱きがちですが、そう思うほど現地の人は悲観的ではなく、それが当たり前で生活をしてきただけということを知りました。

農村から都市へ移り住む若者は、水道・ガスのあるい生活にシフトしていくのでしょうが、残る高齢者らは当分この生活スタイルを継続していくように見えました。

一方、日本では都市でも地方でも、水道・ガスが無いという世帯は殆ど無く、水洗トイレはほぼほぼ普及しており、改めて「恵まれた国」に生まれたんだなと実感してしまいました。

社会

社会については、縁戚関係と食文化について書きたいと思います。

縁戚関係についてですが、まず驚かされたのが、その数です。

私たち夫婦は授かり婚で、コロナ禍になってしまったこともあり、日本でも中国でも結婚式を挙げていませんでした。

妻と出会ってからも、向こうの両親とは1度も会わず、アプリのテレビ電話でちょっと話したことがある程度でした。

今回、妻の実家に訪問するにあたり、盛大な結婚式ではないものの、親戚や近所の知り合いを呼んで食事会をすると聞いていました。

まあ家族含めて多くても10人強くらいかなと思っていたのですが、集まったのは子どもも含めて70-80人くらいでした!!

現在は、一人っ子政策の影響もあり少子化が進んでいる中国ですが、妻の親世代(50~60年代生まれ世代)というのは、4-5人兄弟というのは当たり前で、さらに農村では子どもが2-3人いるのが平均的な家族形態でした。

そのため、叔父・叔母とその従兄弟・従姉妹がもの凄く多いのです。

また、大型連休の際はお互いの家に行って簡単な贈り物をするなど、日本と比べても縁戚の絆が強い印象でした。

話がちょっとそれますが、海外で華僑ネットワークがビジネス上有利などと言われますが、元来こういった関係づくりが当たり前のように行われているベースがあるのだなと感じました。

次に、食文化についてです。

私は、2011年に中国の天津で1年間留学をしており、中国の食文化についてはある程度理解しているつもりでした。

しかし、今回別エリアの山東省の農村に行って、また新たな発見・驚きがありました。

1番衝撃的だったのは、豚やヤギを自分たちで捌いて食べるということでした。

これは、日常的に動物を捌いて食事するということではないのですが、春節などの特別な時期に自分たちで育てている動物を殺めて食べるところを見させてもらいました。

普段は、スーパーや商店で肉などを買っていると思います。

今の50-60代の方々からすると、畜肉というのはかつて贅沢品だったということもあり、今回私が初めて訪問してくるということもあり、特別にご馳走をしてくれたのだと推察します。

ヤギを午前中に絞めて、昼ごはんにヤギのモツ汁?にしてくれたのですが、なんとも言えない深い味わいでした。

味付けは全くせず、食べる前にパクチーとコショウをかけるのみです。

何度もおかわりを勧められ、3杯ほど飲んだのですが、個人的に得意とは言えませんでした…

その他、蚕のさなぎの唐揚げ(韓国では『ポンテギ』と言うそうです)やセミも食べるそうです。

私は、大の虫嫌いでして、折角の機会でしたが、お腹を壊しそうな気配がしたので、食べませんでした。

当たり前なのですが、同じ中国でも、場所や年代が違うだけで食文化も変わってくるのだなと体感させてもらいました。

技術

最後に技術についてですが、「増えるEV」「クイックコマース」「監視カメラ」が印象的でした。

EVは、感覚的にですが、東京よりも比率は多いのでは?と感じました。

中国で利用されるEVのナンバープレートは、緑色に統一されているんですね。

街で見かけると、ひと目で分かるのですが、青島の中心地では大体10%くらいがEVでした。

これが、中心地を外れると、2-3%といったところでしょうか。

現在、日本国内の新車販売に占めるEVの割合が1%強というレベルなので、利用台数全体に占める割合はもっと低くなるでしょう。

そう考えると、中国でのEVの普及度はかなり速いと言えるでしょう。

緑のプレートを付けて走ることは、1種のステータスなのかもしれません。

街で見かけた充電スポットは、4-5台の車でいっぱいでした。

次に、「クイックコマース」ですが、一般消費者の生活に溶け込んでいるようです。

「クイックコマース(Qコマース)」とは即時配達サービスとも呼ばれており、オンライン注文から数十分以内に日用品などを届けてくれるサービスのことを指します。

https://eczine.jp/article/detail/11797

中国では、年末から年始にかけてゼロコロナ政策を解除し、感染者が急速に増加しました。

感染者は外出が制限され、医薬品や食料品の買い物が困難になりました。

このような状況の中で、以前から普及が進んでいた「クイックコマース」の利用が増えているようです。

最後に、「監視カメラ」についてです。

これは、ショッピングモールのような建物内はもちろん、ほとんどの道路上にフラッシュ付きの監視カメラが設置されており、暗い夜中でも道路を通ると撮影されました。

詳しいシステムの仕組みは分かりませんが、技術上は誰がどこに向かっているのかなどは把握可能なのだと思います。

日本でも、高速道路にあるようなオービス(速度違反自動取締装置)は一般的ですが、今回山東省を移動する中で、その数の多さと密度に少し圧倒される感がありました。

まとめ

中国というと、近年は急速に経済発展し、技術革新も著しいという印象を持っている方も多いと思います。

また、格差社会が存在するというのを知識として認識していましたが、実際にその中で経験をしてみると実感を持つことができました。

ただ、そこで暮らしている人々に悲壮感のようなものはなく、裕福ではないものの平穏に生活しているように見えました。

ありきたりな表現ですが、本を読んだり、ニュースを見たりするだけではなく、実際に一次情報に当たることの大切さを学びました。

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