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【コラム】働き方改革の本質

2003年ごろに初めて「働き方改革」という言葉が登場して以来、その言葉がもつ抽象性によって、都合のよい解釈がされているように思います。近年では、残業時間削減と同等の意味として使われることが多く、残業せざるを得ないくらい仕事が目の前にあるにも関わらず、単に労働時間を減らすよう上から指示がきて、現場の社員に大きな混乱をもたらしています。ここで改めて、働き方改革とは本質的にどういうことなのかを考えてみましょう。

働き方改革とは、「従業員が自身の望む働き方を選択できるようにすること」です。具体的にいうと、週5日(または6日)、9時から18時までのフルタイム勤務しか選べなかったのを、週2日や3日にしたり、10時から16時などの時短勤務にしたり、副業を認めたりすることです。

働き方改革を実現するために最も重要なのは、経営者の意識です。経営者が働き方改革の実現にコミットしていなければ、会社は絶対に変わりません。その上で、会社をどのような観点(切り口)で変革していけばよいかというと、下表のように主に4つの変革要因があります。

経営者の意識が役員に伝達され、役員の意識が部長に伝達され、部長の意識が部署全体、ひいては会社全体に伝達されていきます。その意味で、組織・文化という変革要因が最も重要だと言えます。会社全体の意識が変わってきたら、制度面で多様な働き方を公式に認めるようにし、業務プロセスやシステム・インフラを従業員の働き方に対応できるように変更する、という順番で変革を実現していきます。

フルタイム勤務の採用しかしていない企業には集まる人材が限られますが、多様な働き方に対応できる企業には、多様な人材が集まるようになります。時間も場所もある程度フリーで仕事ができるというのは、従業員にとって魅力的なオファーなのです。人材不足と言われるこの時代に、旧態依然とした企業文化や労働条件しか提供できない企業は淘汰されていくでしょう。働き方改革は、会社が生まれ変わる契機となり、優秀な人材を確保していくための有効な手段なのです。


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