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女友達A

先日、唐突に後輩からLINEが送られてきた。

恐る恐る確認してみると、2年前に私"たち"が作った授業資料が、今年の授業で役立ったというお礼だった。

結論を言ってしまうと、その授業資料はオンライン授業では役立たない。対面授業でこそ役立つ資料であった。従って、オンライン授業がメインだった昨年度は、資料作成に費やした時間と手間は無駄だと感じていた。
そんな資料が2年の時を経て、しかも大好きな後輩たちの役に立ったのだ。

なんと喜ばしいことか!

そう思ったと同時に、当時一緒に資料作成をしてくれた彼にも伝えたくなってしまった。そして次の瞬間には、お得意の自己嫌悪が襲ってくるのである。

あーあ。結局、未練タラタラじゃん。
そんな自分が嫌い。逃げ出したくせに。


思い返すと彼が彼女持ちだと知り、諦めると決めてからも…

お互い好きなアーティストがテレビに出ていると、そのアーティストについて沢山話したこと・推しメンが同じだったこと

ラジオを聴くと、お互いラジオが好きだった経緯もあり、「この前メールが採用されて番組内で好きな曲を流してもらえたんだよ〜」と珍しくうわずった声で話してくれたこと

リングフィットアドベンチャーのCMを見ると、同性の友人と話していた彼が「ガッキーが可愛くてリングフィット買うか悩んだ」って言ってて、「そんなの勝てっこないじゃん」と思ったこと

朝ドラを観ると、2009年に放送された「つばさ」から朝ドラ観てると話した時に、「嘘でしょ?!俺も!!」って驚いた顔をして話してくれたこと

etc……

次から次へと綺麗な思い出たちが溢れてくるのである。共通点が多すぎて、お互い驚いていたくらいだからだろうか。未だに彼と話したたわいもない会話が、日常生活に侵食してくる。

案の定、後輩からのLINEを読んだ時、真っ先に頭に浮かんだのは彼の顔だった。
しかし、彼からしたら私はただの"女友達A"なのである。
そんな女友達Aから、YES or Noで答えられないLINEが送られてきたら面倒くさいだろう。

だから今日も私は迷いながらも精一杯、女友達Aを演じている。