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ベランダでもできる、オタクは家庭菜園をやろう

はてなブログからnoteへの移行第1号記事。
最近、家庭菜園を密かな趣味として楽しんでいます。2年目で少し知見も溜まってきたので、記事にしました。

オタクコンテンツは楽しいが時々疲れる

オタクコンテンツは自分でコントロールができない

アイドルマスターやラブライブだけでなく、多くのオタクコンテンツやアイドルは我々の人生に彩りを与えてくれます。そういった趣味はライフワークになり得るとはいえど究極的には趣味であり、本来は日々のリフレッシュとして存在するはずのものです。

しかし、実際はいかがでしょうか?
「推しは推せる時に推せ」「推しが生き長らえる原動力はお金」という言葉が金言として氾濫して久しく、我々の貴重な可処分所得と時間はこちらの事情なんか知らない第三者にいつの間にかコントロールされています。自分の望むものがお出しされるとも限りません。基本的にはそれでも楽しいですが、長くやってると疲れてきます。

そこで家庭菜園というサブの趣味を始めましょう。さあ、スイートバジルとミニトマトを育てましょう。ミニトマトを摘み、バジルをみじん切りにしながら、趣味とは本来何たるかを見つめ直すのです。

どんなことやってるの

植えているもの

今年の春に植え付けたのはジャガイモ、ミニトマト、スイートバジルです。

芽が出たジャガイモ
植えたばかりのスイートバジル

うち、ミニトマトとスイートバジルは先日収穫し、現在も育っています。
ジャガイモはハダニにやられて壊滅したので泣く泣く処分しました。

ハダニにやられたジャガイモ。ここまでいくと手遅れ。この後枯れた

※ハダニ: ナス科の植物によく発生するとされるダニの一種。葉緑体を吸うため植物の生長が阻害されて枯れる。繁殖力と感染力が高く、作物に寄生されて対処が遅れると近隣の作物も併せて全滅する

去年はミニトマト1株のみで始めてみて、ミニトマトの後作として小松菜を作りました。ミニトマトは収穫数としては7個、小松菜はすべて味噌汁にしました。

小松菜
小松菜
小松菜いえーい

収穫数としては少ないですが、1年目は流れを理解することと、知見を蓄積することを目的としていたため、収穫数を上げることは一切考えずに「とりあえずやってみる」精神でやってみました。

その経験を活かして、2年目の今は順調に育っています。先週収穫したバジルはジェノベーゼパスタにしました。ミニトマトは今年は20個以上は収穫できそうです。

サイゼのオリーブオイル大活躍

栽培環境について

家庭菜園……と聞くと、なんだか庭などを連想しがちですが、東京の一介のクソオタクプロレタリアートである我が家にはそんな金持ちのものはありません!狭いアパート、そのベランダでやっています。

ベランダなので、できることは限られています。プランターか、袋栽培の二択です。他には水耕栽培や屋内栽培などそういった選択肢も取れますが、これらはなんか難しそうなので狭いベランダでプランターと袋栽培でやりくりしています。

どこまで育てられるかという負荷テストも兼ねて今年はジャガイモを2株1袋で2袋(4株)、ミニトマト1株1袋、バジルを横長のプランターで1株、途中で1本枝を切って挿し木栽培で2株。さすがに4鉢は過密だったようでメンテナンスに手間取ったり、ハダニの被害を受けました。2鉢がいちばんよさそうです。

袋栽培というものは、園芸用品店やホームセンターに売られている、培養土の袋に直接苗を植え付けて袋をプランター代わりにする手法です。最近は自立できる形状の袋に入った、袋栽培前提の培養土などもあったりします。プランターなどを用意する必要がなくとにかく手軽。

袋栽培は培養土の入った袋に直接植え付ける

『専用培養土』もある

元肥も入っているので穴開けて苗を植えて支柱立てればOK

最近では、カゴメやカルビーのような食品メーカーでは、園芸用品の販売もしており、ミニトマトやジャガイモの栽培に特化したチューニングがされた培養土が売られています。それらは袋栽培できるように自立できる構造となっています。COVID-19によるかつての巣ごもり需要でこういうのは一気に増えたらしいですね。

私も、去年ミニトマトを育てたときにデルモンテのキッチンガーデンという培養土を使って育てました。今年は近所のホームセンターにカゴメの土があったのでそれでやっています。すこし値段は張ります……とはいっても後述しますが家庭菜園は全般的に低コストな趣味なので、余裕で手に届く価格です。

なぜ始めたのか

アイマスPの一部界隈におけるジャガイモ栽培ブーム

2019、2020年ごろに、シンデレラガール総選挙の時期に、突如北条加蓮Pたちがジャガイモ栽培を始めたことがありました。

これらの活動を見ていて、家庭菜園って意外と簡単に始められるんだなーと考えていて、去年(2023)あたりに突然ふとミニトマトの苗を買ってきたのが始まりです。

趣味としての『家庭菜園』が優れている点

参入障壁が異様に低い

何か新しい趣味を始める際、普通は色々な道具を買ったりだとかで1万円以上の出費を覚悟することになります。家庭菜園にはそれがありません。全てがとにかく安価に揃います。
私がミニトマト栽培をした時にかかったものは以下の通りです。

  • デルモンテ キッチンガーデン(培養土) 848円
    ※近所のホームセンターで購入

  • カゴメ ミニトマト苗(あまたん) うろ覚えだが400円以内
    ※ホームセンターで購入

  • 支柱 100円
    ※ダイソーで購入

  • ビニール紐 100円
    ※ダイソー

マジでこれだけです。とりあえずこれで始められます。
水やりは家にあった空いた2リットルペットボトルで、剪定は家にある文具用ハサミでやりました。ネットで調べたりYouTuberの発言とか見てみると「これ買え」「あれがいい」とか色々出てくるけどこまけぇこたぁいいんだよ!!!小学生の時そこまで考えなかっただろ!!!!

なお袋栽培なのでプランターも要りません、袋ごと廃棄できるのでオフシーズンに空いたプランターが場所を取ったりすることもありません。
なお、土は自治体や培養土の種類によりますがゴミとして出せないので処分する際はお買い上げのホームセンターに相談すると引き取ってくれることがあります。

以下は後で必要があって買ったものです。無くてもいいですがあった方がそのうち役立つでしょう。
なお、小松菜のプランター栽培用に培養土を買った際はホームセンターのプライベートブランドの一番安い培養土でやりました。つまり何でも安く揃います。

  • 液肥 ハイボネックス 500円しないぐらい
    ※肥料不足の傾向が見えてきた時に近所のスーパーで買った

  • ペットボトルにつけられるジョウロ 100円
    ※ペットボトルだと均等に水が行き渡らないし土も浮いたりする。ダイソー。

  • 剪定用ハサミ 1000円以内(うろ覚え)
    ※樹液でハサミが錆びたので

適当に始められるけど苗選びは少し慎重になった方が良い。心配なら2株で始めるのも良い
これでもなんと培養土としては高い部類に入る。土づくりの手間が省けて袋も自立することを考えるとお値打ち

入手難度が異様に低い

前述の必要なものはすべて入手難易度がとても低いです。近所の100均やホームセンターですぐに全てが揃います。
園芸は老若男女に親しまれ、昔からあるような趣味だからこそ、簡単に始めることができるというわけです。
専門的な店や高いものを買った記憶は今のところありません。更に言うと、高いものを買ったからといって良い結果が出るわけでも無いです。
家庭菜園は初期投資が少なく済み、必要なモノが近所ですぐに手に入ります。
Amazonは要りません。Amazonで買うより近所のホームセンターの方が安いし、店員のアドバイスを受けることができます。

目に見える結果が得られやすい

ミニトマトの花

家庭菜園は日々、数週間から数ヶ月をかけて、毎日少しずつ目に見える結果を目にすることができます。
陽の光を浴びて伸びていく植物を眺めるのはとても楽しいものです。そして着花し、実がついて収穫できた時の喜びは確かにライブでの高まりに比べたら小さいものですが、違った喜びがあります。
手をかけると成果に繋がりやすい点はとても精神衛生上健康的に感じます。

競わない

家庭菜園は競争相手が存在しません。これは「自分の生活を阻害しない範囲で楽しめる」点で非常に良い特徴です。
家庭菜園を始めることで、Twitterで突然「家庭菜園の世界レベルのプロフェッショナル」みたいな人とインプレッション数で差を見せつけられることはありませんし、ゲームのようなランキング報酬なんてものもありません。有り余る時間と資金力と土地にものを言わせる人たちも存在しません。もしかしたらいるかもしれませんが、もしいればそれはおそらくプロの農家です。比較のしようがありません。
自分がやりたいと思ったようにやることができ、止めることもできる、自分で目標を決めることができる点は強みです。

情報がカンタンに手に入る

家庭菜園は歴史の長い趣味です。すなわち、集合知が充実しています。必要な情報はホームセンターのウェブサイトなど多くの場所に転がっています。
YouTubeなども参考になりますが、読み返せるという点でテキストで書かれたウェブサイトが一番です。YouTubeの場合、人によって言っていることが異なっていたり、「これをやらないと失敗する」みたいな切り口の話が多い(実際はそうでもないし、失敗してもまたやり直せば良い)ので、かえってやりづらくなります。

個人的経験で参考になるユーチューバーを強いて挙げるとすればDaisuke Miyazakiさんでしょうか。科学的根拠に基づいたわかりやすい解説が端的にまとまっているため、おすすめです。
一方この界隈では恐らくいちばん有名なカーメン君はよく園芸用品店でも顔が出ているため、よく見かける方は多いと思いますが、1本1本の動画が長すぎて個人的には合わなかったです。

余談ですが家庭菜園で何か未知の事象に遭遇したときはChatGPTが意外と役に立ちます。

自分の手でコントロールすることができる

アイドルやスマホゲーなどの趣味はどうしても「運営」のさじ加減や、その他のファンの言動に翻弄されることがあります。
運営側の心理として、利益の最大化とコンテンツの永続を目標として、「取れるところからはできる限り取る」方針で動いてしまうため、どうしても我々はそこに財布を握られてしまいます。
さらに言えば、同好の士である他のファンの行動にも我々はコントロールされます。
すなわち、シリアル目当てでCDを積み上げたり、ゲームのランキング競争に巻き込まれたり、ライブチケット目当てでアソビプレミアムなどの定額課金をせざるを得なくなったりといったものです。
もちろん我々はそこに額面以上の価値を感じているため、お金を払っているわけですし、それ以上の楽しみがあることはわかってはいますが、それでも適切な距離を取らないと、やはり運営に時間と財布を握られてしまいがちです。際限のない軍拡競争がそこにはあります。行き過ぎたその先は家計の消耗と疲弊です。
また、運営が常に自分の求めるものを出してくれるわけでもありません。場合によっては「運営と解釈違い」を起こすこともあります。
ならばと距離を取るにも勇気が要ります。SNSを見れば、自分が見送ったイベントを楽しんでいる人たちが流れてきて、「行けばよかった」と後悔することは多々あります。

家庭菜園は、どのように進めるか、何を育てるか、どこまでやるかなどを自分の時間的都合や金銭的都合を鑑みながら、自らの都合でコントロールすることができる余地が非常に多いです。コントロールできない要素は立地と天候ぐらいです。
無農薬栽培や有機栽培にこだわるもよし、逆に大人の知識をフル活用し、徹底的に計算しつくしたバランスで化学肥料を与えるもよし、それに対して批判をする人はいません。そういった自由度があります。
……ミニトマトは女性声優じゃないのが致命的な欠点ですけど……。

※感染力の強い病気や害虫は周辺に悪影響を与えないためにしっかり対応しましょう

『息抜き』としての家庭菜園を始めよう

植物は女性声優ではない。しかし……

渡部優衣

以上の通り、家庭菜園は「サブの趣味」としておすすめです。
家庭菜園は、決してメインの趣味とはなりえません。自分で育てたミニトマトやスイートバジルはスーパーで買ってくるものよりも素晴らしいですが、当然彼らは女性声優ではありません。エロ同人もありません。家庭菜園で高まったり涙することも、ライブの打ち上げをすることもないでしょう。
ライブ遠征のようなオタク同士の連帯感、高まり、全能感、癒やし、そういったものとは遥かに程遠いものです。地味です。
すなわち、ライブイベントなどの祭りのような「強い趣味」にはなりえません。どこまで突き詰めても地味な趣味です。

日常と祭りの間を埋める高まりすぎない趣味

しかし、仕事などの平日の嫌な『日常』と、『強い趣味』の間には大きな隔たりがあります。日常の鬱憤を晴らすために『強い趣味』を毎週末に入れるのは、確かに良いリフレッシュとはなりますが、その準備に必要な期間、コストを考えるとかなり高いものになるでしょう。何年も続けていくと疲弊していきます。

前に、私は
「平日の仕事がとても辛い、しかし、土日のイベント事はすごく楽しい。その落差で死にたくなることがある」と友人に漏らしたことがあります。
その時友人は、少し考えて、ふと一言言いました。
「甘いもの食べたら?」と。

そこで悟りました、自分に必要なものはより多くのアイドルコンテンツではありませんでした。
アイマスやラブライブのような強い趣味と辛い平日、その間を埋める「地味な楽しみ」でした。

"祭り"と"日常"の間を埋める趣味として、家庭菜園はすごくおすすめです。

そこには運営による搾取も、SNSでの露悪な言動が面白いと勘違いした口汚いオタクも、声優の不祥事の時だけ元気になるような声豚も存在しません。
あなたもぜひ、いかがでしょうか。

7月の今からでもまだ植え付けられるものはあるはずです。葉ネギ、小松菜、空芯菜、ニンジン……ベランダのプランターでも色々楽しめます!ぜひ!

感想お待ちしてます。

マシュマロ

Twitter:

https://twitter.com/ohtsuki_zunko


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