お父さん、今ならその話、聴けそうです。
父が生きていたら、ききたいことがたくさんある。
『お父さん、おしえてランキング』を作ったら、トップになるのがこのこと。
子どものころ、親に連れていかれたお墓参り。
季節ごとに、節目ごとに。
お墓って何なのか、お花とかロウソクとか、お線香とか、何のために、何を想って手を合わせるのか、たぶん説明されたけどよくわからないままに。
父は、お墓参りに行くと必ず、火をつけたお線香の束から1本を取り出す。
それ以外は、お墓の前のお線香を置くところに並べられる。
取り出した1本は墓石のわきの、何もないところに置かれていた。
そして、そこにも手を合わせる。
父だけが、いつもそうしていた。
子ども心に、訊いてはいけない感じがしていた。
親戚の誰かが話していた。
父は、20代のころ、大恋愛をしたらしい。
理由はわからないが、二人は心中を図り、飛び降りた。
そして、父だけが生き残った。
そのひとのために、父はお線香をあげ、手を合わせ続けているようだった。
なぜそんなことをしてしまったのか、後悔があるのだろうか。
自分だけが生き残ったことへの懺悔だったのだろうか。
そのあと何度か、自殺未遂を繰り返した父。
それは、そのひとに会いたかったからなのだろうか。
おしえて欲しい。きかせて欲しい。
お父さん、そのひとは、どんなひとだったの?
きっと、楽しい想い出もあったでしょう?
いまの私なら、どんなことでもきけるのにね。
ありがとうございます。優しさに触れられて嬉しいです。頑張って生きていきます。