約束しよう
これまでたくさんの約束をしてきたはずなのに、思い出そうとしてもひとつも思い出せない。相手の方も忘れているのか、期限が切れているのか、意識しなくてもいいくらい自然に守っているのか、そうか、もしかすると知らないうちに約束を破っていて小さな罰を受け続けているのかもしれない、針を一本ずつ飲んでいくような苦しみを、じわりじわりと。針千本をいっぺんに飲ますなんて、確かに誰も言ってない。
いつからか「約束」という言葉を聞かなくなった。言われなくてもわかってるな、という顔をされてなんとなくそこにある規範にしたがっている。間違ったことをしても「約束したでしょう」とは言われないで、同意した覚えのないペナルティを受けるだけ。あの長ったらしい利用規約を読み飛ばしてほいほい同意したりなんかしていたからこんなことになってしまったんだな。
「約束だよ」ってもう一度言われてみたい。そして今度はその約束をちゃんと覚えていたい。
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