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4.HSP子供のころの私

(私自身のHSPについての話です。みなさんに当てはまるお話ではないことをご了承ください。)

私がまわりとの違和感を感じた最初の記憶は確か小学一年生の時のものです。

クラスの担任は定年間近の女性の先生でした。

先生の決めたクラスの決まり事は、授業中や給食の時間は生徒は一切言葉を発してはいけないというものでした。

ある日、風がとても強くて、窓から入ってくる風で教室のカーテンが大きくうねっていました。私は窓際のロッカーの上に置いてある花瓶から目が離せませんでした。

カーテンがぶつかって花瓶が今にも倒れそうに揺れていたからです。

そしてひときわ大きな風が吹き、想像どおり花瓶は倒れ、床に落ち、粉々に砕けました。

その瞬間私は、「あっ!!!」と声をあげてしまいました。

先生は声を出した私を厳しく叱り、その日は給食を床に座って食べるようにいいました。
トレーを椅子の上に置いて、です。
悲しくて泣きながら食べたのを覚えています。

1970年代のことです。今なら問題になりそうなことでも、先生が決めたことなら逆らったりする人のなかった時代でした。

当時の私は、クラスのみんなも花瓶が倒れそうなのは分かっていたはずなのに…と考えていました。
カーテンがとても大きくはためいて視界に入ってきていて、花瓶に触れていたことは明白だったからです。
なのに誰も何も言わなかった。先生の言いつけを守って、声に出すのを我慢していたのでしょう。みんなは花瓶が割れたときも我慢がきちんとできていた。
なのに驚きのあまり我慢できずに声をあげた私は悪い子だ。
自分へ評価はそれ以後も浮上することなく低いままです。自分だけがダメな子だという気持ちとクラスメイトへの違和感はセットになり、その後もトラウマのように残りました。

それ以降、私は喋っていい時間にもあまり喋らないようになりました。人前で話すのも苦手な、静かなおとなしい子供となりました。

今、振り返ってみれば、クラスメイトはカーテンの揺れと花瓶とを結びつけていなかったのだろうと思いますし、緊急事態のときまで声を出してはいけないと叱った先生に問題があったことは、わかっています。

そして自身のHSPに照らし合わせてみると、花瓶が倒れるかなり前から、もうすぐ花瓶が倒れると予想していたことはHSP気質と結びついているように思います。あと、人よりびっくりしやすいことも関係しているでしょうか。
理不尽なことに敏感である、それも特徴の一つと読んだことがあります。
また、子供のころ一般的な子供より大人びている、それもHSPの特徴の一つのようです。

そう考えると、小学一年生でもHSPの特徴はもう備えていたのだろうと思います。

ただ、当時はもちろんそんな概念はなかったので、繊細、カンが強い、大人びていて変わった子、そんなふうに思われていたかもしれません。

HSPについての情報がこれほど豊富になった現在は、高校生くらいになれば、自分の性格や気質について、客観的に感じ取ってネットで調べてみたり、人から聞いた情報と符号させて、
あ、もしかしたら、私HSPかな?
そんなふうに思い当たることができるかもしれません。生きづらさを軽減するための情報もたくさんあります。

しかし、小学生、中学生の中にはHSPである可能性を知らないまま、幼い頃の私と同じように、自分は何かみんなと違う。私はみんなのように上手くできないダメな子だ、
そんなふうに思ってしまっている子もいるでしょう。
HSPという気質のために、毎日の生活に違和感を感じながら過ごしている子もいると思います。

お子さんのいる保護者のかた、教育現場の先生たちに、HSPの特徴について知っていただけたら嬉しく思います。気になる生徒さんがいたら、もしかしたら、という目で見ていただきたいのです。私の経験が少しでも理解の手助けになれば幸いです。

5人に1人いるというHSP気質の子どもたち(HSCといいます)は少数派ではありますが、その繊細な感受性を良い方向に導くことができれば、才能が発揮できます。

大勢が騒ぐ場が苦手だったり、威圧的な管理の下では萎縮してしまったり、歴史の授業で学んだ戦争のことが怖くていつまでも心に残ってしまったり、脳が人より活発に働くので疲れやすかったり…ほかにもいろいろと繊細さゆえの過ごしづらさがあると思いますが…

精神が弱いためにうまくいかないわけではないのです。生まれ持った気質なのです。

叱ったり、根性論で解決しようとせずに、寄り添ってあげて欲しいのです。

私も時々ふと思い出す子供時代の自分に言ってあげたいのです。

大丈夫だよ、小さい頃から悩んできたことは、大人になった今はもう悩みではなくなってるよ。HSPっていってね、細やかな心を持って生まれてきたってだけ、それは素敵なことなんだよ。

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