ブックオフ回顧録#3 「面接」

面接の日も自転車で出かけたのだが、行きがけに高校時代に少し好意を寄せていた女の子が親が運転する車で目の前を横切り、お互いに手を振った。その子とはそれが最後の邂逅だった。偶然の巡り合いに少しドキドキしながらブックオフへ急ぐ。

面接官は30代くらいの女性だった。今まで経験したことのあるアルバイトは年末年始の郵便局の配達と、夏休みに働いた伊勢丹の倉庫。どちらも繁忙期の短期採用で、郵便局は集団面接で条件面だけ聞き取る感じだったし、伊勢丹は友人の伝手で働かせてもらったので面接はなかった。アルバイトの面接というのはほぼこれが初めてと言っていい。当然のことながら緊張した記憶がある。

内容を克明に覚えているわけではないが、今考えてみるとよく採用してもらえたなという気がする。接客業は土日が忙しいということすらよく理解していなかったはず。週4日くらいの勤務希望で土日は休みたいとか、そういうふざけたアルバイト希望者だった。そして翌年からは大学に行くつもりが一応あったので、10月からは受験勉強に集中したいので「9月まで働きます」という条件も伝えた。なんともかとも本当によく採用してもらえたなという感じだ。

面接全体の雰囲気は良くて、少し手応えがあった。質問に対してはきちんと答えることができていたと思う。結果は1週間以内に電話で伝えますとのことだった。

面接が終わり店内に戻ると、たまたま立ち読みしていた友人を見つけ、そのまま遊びに出掛けた。ひとしきり遊んで、夕方、自宅に戻ると、親から「ブックオフから電話があったよ」とのこと。まさかその日のうちに電話があるとは思ってもみず、遊びに出掛けてしまったことを少し後悔した。折り返し電話をすると「採用」とのこと。不在だった時に電話があったので、それが原因で不採用にされやしないかとヒヤヒヤしていたので、少しホッとしたのを覚えている。

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