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「数値化できないシリーズ」  #3 どうもありがとう。

平川さんとお茶や食事に行くと
彼の言葉の選び方、使い方が
さりげなく丁寧なことに気づきます。

(Photo: Pixabay)

ウエイトレスさんに声をかけるとき、
平川さんは「お水を頂けますか」と言います
それは当たり前のようで実はそうでもないです。

「あ、お水ください」とか「お水ちょうだい」
または「お水もらえますか」と言う人は少なくありません。

ウエイトレスさんがお水をテーブルに
持ってきてくれると平川さんは「どうもありがとう」と言います。

彼はどんな時でも必ず「どうもありがとう」と言います。
彼が「ありがとう」とだけ言うのを聞いた事がありません。
なぜそんなに丁寧に言うのですかと聞くと
「僕は特別に丁寧に言っているとは思わないけど、
世の中に無礼な人が増えただけじゃないの?」と返ってきました。
なるほど。

英語に置き換えると、
Thank youがありがとうだとしたら
どうもありがとうは、Thank you very muchになります。

英語圏の国々で普段の会話の中で
Thank you very muchを聞くことは稀です。
でも、アンテナの感度の良い人ほど
この、Thank you very muchと言われた時の
表情の明るさが違います。

デニスさんというアメリカ人は
仕事の上でもプライベートでも
誰かにお礼を言う時は必ず
それがどんな些細なことであっても
Thank you very muchと言います。

それはデニスさんにとっては習慣となっていて
意識して丁寧な表現を使っているわけではないというのです。

「ありがとう」の前に「どうも」と付け加えるだけで
日本語はとっても丁寧に聞こえます。
平川さんはこれを「やわらかい」と表現します
「丁寧かどうかは知らないけれど
やわらかく伝わる言葉は受け手に心地良いと思うんだよ」。

心地よいというのも数値化できないものかも知れません
快適な温度や湿度というのも
人によって異なるでしょうし、味覚も同じです。
カレーの中辛とは誰がどうやって決めたのでしょうか?

大多数の人が心地よいと感じるものが
何かを知るというのは非常に重要です。
丁寧に心地よくということを心がける事には
意味があると思います。

「伝えたいことと、伝わることは2つの異なるものです」

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