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時間が飛び越せるなら

赤染さんの友達になりたい、と思った。実際には彼女はもうこの世界に生きていない。でも、彼女はとてもすてきだ。わたしとは反対で、かつ好きになれるところが多いから、きっと良い友達になれたと思う。これは永遠の片思いだけど。

彼女の物語にはよく病院が出てくる。体があまり強くなかったのだろうと話の節々からわかる。でも彼女の筆には豪胆さがある。筆先に生命力が集まっているみたい。明るい声が響いてくるような文章は、わたしよりずっと大人が書いているはずなのに、見えてくるのは少女の影。

彼女は京都に生まれて、北海道に移り住んだ。わたしと反対だ。北海道の梅雨が短すぎて、ホームシックになったという。わたしは京都の梅雨が長いと憂鬱になる。雨はきらいじゃないけど、傘を忘れないことと、傘を綺麗に畳むのが苦手だから。傘を畳む時、指先が濡れるのがいや。冷え性だから、手先が冷たくなるとずっと寒い。

札幌に住んで、赤染さんは京都の街が色鮮やかだったことに気がつく。わかる!と心の中で叫んだ。わたしも京都の夏の、目を見張るような色彩には何度も驚いた。輪郭がきゅっと濃い感じ。札幌はもっと、全体的に白っぽい。雪がなくてもね。同じ感覚を持っていたことがうれしい。

著者紹介を見て驚いた。昔の話が多いので、もっと年上と思っていたのだが、わたしの親よりも若かった。わたしの親の小さい頃は、そんなにも昭和だったのか。まぁ、たしかに昭和か。めまぐるしく変わる時代に、ちょっと取り残されるようなエッセイがいとしい。

決して巡り合わない時間軸に生きる彼女に、それでも会いたくなってしまった。

.....あ、こんな時間に起きてることをなんとかかんとか言わないでください。明日の発表資料、今まであまりできなかった罪悪感と自分の何かを過信していたので、0時から他の人のを手伝い始めたら、思ったより、いや、案の定か、頭が働かなかったのです。いまから寝たら、また寝坊しそうで怖い。起きてようか寝てしまうか、究極の選択を迫られています。たぶん寝ます。目覚ましを2つかけておきます。


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