「あなたの人生を歩んで欲しい」と言える優しさ

宝塚歌劇団には、いつか「別れの時」がやってくる。

長く見ていると、その別れの時を予測せざるを得ない事が分かってくる。トップスターなら就任時期、トップ娘役はそろそろか?と思わせる作品や役だったり。カレンダーの掲載月の順番や、毎年4月に発行される「おとめ」の表紙を飾ったら…などなどの、様々なフラグがあり、ファンは一喜一憂している。


花組男役OGの天真みちるさんのコラムが面白い。

彼女は後にも先にもないぐらいの忘れられない個性派だった。長く宝塚に居て欲しかったけど、宝塚歌劇団で納めておくには勿体ない人とも思っていた。コラムの執筆はじめ、演出、様々な活躍の場を見ていると、やっぱり豊かな才能の人だったのだと実感する。

よく言われるのが「鐘が鳴った」

退団理由は人それぞれ、語られる場も限られているが、天真さんの退団への決断は階段を1つ1つ上るようなものだったのだ。その心境がとてもリアルに記されている。一気に「今や!!」と思う人もいるだろうし、天真さんのように徐々に鐘の音が大きくなる人もいる。

この中で、とても心に響く言葉があった。

中間管理職、と言う立場で、退団を躊躇しようとしていた天真さん。相談した相手が、現・月組組長の光月るうさんだった。面識の少ない他組の下級生から相談される事、迅速に悩み相談も乗ってくれる。とてもやさしいお人柄には、私も作中同様「惚れてまうやろーーー」と叫びたくなった笑 るうさんカッコいいかよ!!

これだけは、絶対に覚えていて欲しいんだけど、宝塚歌劇団というところは、たそが仮に辞めたとしても、絶対に次の作品の初日は来るし、続いていくんだよ。

だから、自分の人生をしっかり考えなさい。と言うアドバイス。

これを言ってる人が、OGさんではない。今の月組組長なのだ。バリバリの現役生で、来年で研20年を迎える大ベテラン。

贔屓が退団しても、組が無くなる事は無い。トップスターは次もいるし、絶対に次の作品が始まる。開いた穴なんてものはなく、今居るメンバーで新しい組として活動していくのだ。

宝塚歌劇団とは、そういうものなのだ。

そうと分かっているけどさぁ…って言うのが、ファンの気持ちなのだ。

決断した相手の人生とは言え、ファンのわがままとして「寂しい」と言っていいと思っている。寂しいし、悲しいけど。最後の時まで全力で応援し、送り出してあげる事。それもファンにしかできない事だと思う。