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私が見つけた”小さな原石”-宙組・美星帆那さんとの出会い

宙組公演の「オーシャンズ11」何度通っただろうか。

当時のカレンダーのメモを見返し、計算した所でそっと画面を閉じた(笑)

105期生の初舞台公演は、松岡修造氏のご息女の初舞台ともあって「松岡修造の子供が入ったよね?」とよく聞かれた。うちの利用者さんだって知ってるし、立ち飲み屋のおっちゃんレベルでも知ってた。確かに彼女は目を惹く可憐な容姿、華があって素敵だなとは思った。

話題性の高い105期生の初舞台公演。

あの中から「小さな原石」を見出したのだった。

偶然にも、数回連続で下手側の端の席が当たる事があった。

ロケットの場面も、視線を持て余して何となく正面を見ていた。視線の先には、下手側の端で踊る初舞台生。名前は知らない。他の生徒さんに比べてひと際小柄だな。娘役さんなんだろうな~ぐらいにしか思わなかった。

そのうちに、ずっと目で追うようになっていた。上手側の席でも、2階席でも、ロケットの場面になると自然に下手側の一番端っこに視線が向いた。

「ロケットの下手側の一番端っこの生徒さん、芸名何て言うのかな?」

オーシャンズ11のルサンクに、初舞台生の立ち位置と芸名が紹介されていると教えてもらい、早速名前を確認した。芸名を知ってからは、より身近に感じるようになり、大劇場の千秋楽までずーっと彼女を見守り続けていた。

大劇場の初舞台が終わると、105期生はいよいよ各組に別れる。

あの子が宙組に来ないだろうか。来てくれたら嬉しいな。あの笑顔をずっと宙組で観られたら最高なのになと思った。まだまだ短い宝塚ファン人生の中で「初舞台生の組配属」を気にするなんて事があるんだなぁ。なんて思いながら、発表のその日を心待ちにした。

公式サイトに組配属のお知らせが公開され、光の速さで宙組の所をスクロールしその名前を確認した。スマホを片手に小躍りした。

「笑顔の素敵な彼女」の名前が宙組生の中にあった。

あの瞬間を私は忘れない。本当に嬉しかった。

宙組生となった彼女を、引き続き追いかけ続けた。一番後ろの端っこでも、笑顔を絶やさず小さな身体で精一杯踊る姿を探した。ロケットでも小さな身体を大きく動かして、舞台から一生懸命アピールしていた。

ただただ、その姿に元気を貰う。ひたむきに頑張るその姿が好きだ。

卓越した芸と個性で圧倒する上級生スターたちとは違い、まだ右も左も分からぬ若輩者と言った所。与えられた役をただひたすらに一生懸命演じるだけ。これから先、個性が発揮されたり、与えられた役に対しての責任感が出てくるだろうけど、今は笑顔が素敵。それだけでいいと思う。

アナスタシアでも、パリの橋の一番端っこで笑顔で踊っていた。パッと出てきたら笑顔が分かる。可愛いピンクのドレスに身を包み、同期さんだろうか?男役とのカップル・リフトがこれまた初々しい。呼吸するようにぴったり合う上級生のカップルとは違い、どことなくぎこちなさがある。そこがまた可愛くて癒される。

「私の小さな原石」は、美星帆那さんと言う。

舞台と言うゴージャスなルビーやサファイヤ・大きなダイヤモンドに囲まれ、今はまだ小さな小さな原石でしかない。少しずつ、丁寧に磨いていくような感覚で彼女の成長を見届けられたらと思っている。