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「あれは、ダレ??」


(ナレーション)

 こんにちは、深川〇〇と言います。
これからお話するのは、去年の夏に僕が体験したことです。


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 その日は夏休み前の最後の講義が大学である日で、その日から1週間ハワイに旅行しに行く両親を見送ってから大学に向かおうとしていました。


ー玄関前ー


〇〇の父:じゃあ〇〇、お母さんと行ってくるからな。

〇〇:うん、気をつけてね。

麻衣:1週間いないけど、留守番宜しくね。

〇〇の父:あ、さくらちゃんとはうまく行っているのか?

麻衣:こら、人の恋路に口出さないの!

〇〇:ははっ、大丈夫だよ。二人とも、ハワイ楽しんできてね。


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 両親を見送り、身支度を整えた僕は家を出て、大学に向かいました。


(後ろから、背中を叩かれる音)

祐介:よ、〇〇!

〇〇:うわぁっ!?って、脅かすなよ…

祐介:え?そんな驚いた?ごめんごめん笑

 彼は、左 祐介。高校時代からの親友で、同じ大学に通っていました。

〇〇:祐介も、今日が最後の講義?

祐介:そうだよ。いや〜、今日頑張れば明日から天国だぞ〜!!

〇〇:そ〜だね。


祐介と話しながら歩いてしばらくすると、僕たちは大学の正門に着いていました。


?:おはよ〜

 この子は、遠藤さくら。大学でできた彼女で、親友の林瑠奈ちゃんとよく一緒に大学に来てました。

〇〇:おはよ〜

祐介:あれ、遠藤さん。今日、林さんは?

さくら:ああ、なんか忘れ物しちゃったみたいで、遅れて来るって言ってたよ。

祐介:そっか…じゃ、俺はこれで。仲良くな、お2人さん♪


祐介とは別の講義だったので、そこで別れました。

〇〇:ありがたいんだけど、一言余計なんだよ…

さくら:ふふ、一緒に行こ?

〇〇:あ、うん。

さくらとは同じ講義を取っていたので、2人でその講義がある教室に向かいました。


さくら:ねぇ、今度どこか旅行に行こうよ。

〇〇:あ〜良いね。けど、今週は父さんと母さんがハワイ行ってて、家の留守を任されているんだ。2人が帰ってきたら、行けるよ。

さくら:分かった。

〇〇:で、どこ行く?

さくら:え、京都とかどうかな?

2人でこれから旅行するところの話で盛り上がりながら、教室に辿り着きました。


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 そして、最後の講義を終え、バイトを終えて帰ってくると、さくらからLINEの通知が届いていました。


「お疲れ〜、今日バイト疲れたよ…マネージャーにすごく怒られたよ。」

「そっか、大変だったね。」

「うん、ありがとう。」


送られてきた文面を見たとき、いつものさくらと違う感じがしましたが、多分相当疲れたんだろうなと思い、その時は気にしてませんでした。


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 次の日も、バイトが終わって家に帰ると、さくらからLINEの通知がありました。

「今日もバイト疲れた〜。一緒に働いていた人が怖かったけど、なんとかなった。」

「え?一緒に働いていた人が怖いの、やだね…」

「うん、キツい。」


 少し心配になりましたが、変に気にし過ぎたら彼女に迷惑がかかるかと思い、その日もそれ以降メッセージのやり取りはしませんでした。


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 次の日、バイトから帰るとまたさくらからLINEの通知が届いてました。


「もう嫌…辛すぎる…」

「どうしたの!?」

「みんな、酷いよ…私ばっかり…〇にたい」


 僕は、すぐにさくらに電話をかけました。しかし、すぐ切れてしまったのです…

 何かとんでもないことが、さくらの身に起きている…

そう思った僕は、急いで家を出てさくらの家に向かいました。終電間近の時刻でしたが、さくらのことが心配し過ぎて、それどころではなかったです。


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 さくらの住むマンションに着くと、急いで階段を登り、3階のさくらの部屋に向かいました。部屋の前に着くと、

ガチャッ

玄関のドアが勢いよく開き、さくらが飛び出して泣きながら僕に抱きついてきました。



さくら:良かったぁ…うぅ…

〇〇:ど、どうしたの!?

さくら:どうしたの、って…あんなメッセージ見たら…

〇〇:え?

そして、さくらのスマホでLINEの僕とのトークを見せてもらうと、



「俺、しんどいよ。もう、俺はダメだ…」

「何があったの!?」

「誰も、俺なんか必要としていないんだ…」



〇〇:こ、こんなの送ってないよ!

さくら:嘘…そんなわけないよ!

〇〇:だって、ほら…

今度は、自分のスマホでLINEのさくらとのトークをさくらに見せました。


さくら:違う…こんなの送ってないよ!


 本来ならLINEの僕とさくらのトークに同じ文面が残るはずが、2人のスマホを並べると3日前までは同じ文面が表示されていたが、それから今日までのLINEには、アイコンだけは同じのまるで別人とやり取りしているかのような文面が映っていたのです…


〇〇:な、なんで…


 すると、突然メッセージがそれぞれのスマホのLINEに送られてきました。

それも、全く同じ内容が…


「ねぇ、なんで無視するの?」

「ねぇ?ねぇ?ねぇ?」

「答えろ!答えろ!答えろ!」


さくら:嫌ぁ!!!!

悲鳴をあげて、僕とさくらはスマホを落としてしまいました。


〇〇:(なんなんだよ、これ…)


そして、見上げた瞬間…









「キヅイタナ」



〇〇・さくら:うわぁああああああ!!!?


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 その後、二人で必死にそこから逃げて、駅近のネットカフェで寝泊まりしました。もちろん、スマホは置いてったままで…


 翌日、林瑠奈ちゃんの知り合いでお祓いをしてくれる方を紹介してもらい、その後、僕とさくらはそれぞれの両親に事情を話し、スマホの機種変更をしました。


 お祓いをしてくれた住職さんに聞かれ、僕とさくらが中古のスマホを購入していたことを話すと、おそらく前の持ち主がすでに亡くなっていて、その念がスマホに残ってしまったのではないかとのことでした…


瑠奈:住職さんが言ってたけど、あと少し遅かったら、2人とも大変な目に遭ったらしいよ。

さくら:うぅ…るるる、ありがとう。

〇〇:本当、林さんのお陰で助かったよ。ありがとう。

瑠奈:良いって、良いって。

 少し離れたところから祐介が林さんを呼んでいました。林さんと別れた後、僕はさくらと一緒に駅まで歩きました。



さくら:ふ〜、やっと安心できるね。

〇〇:うん。これで、気兼ねなく明日から京都に行けるね。




(寺に保管された〇〇のスマホの画面が急に起動し…)










「ツギノヒトサガサナイト」

fin.












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