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回想 精神科救急病棟

回想 2022.2.1〜2022.3.9
精神科救急病棟(閉鎖)

今思い返すと、この時の入院のイメージは
窓際のカウンターの温かい陽光での微睡だった。
そして、車椅子。

私はその時、1ヶ月前の飛び降りで左脚の太腿の骨を真っ二つに折っていて
(そういう痛々しい話が苦手な方にはごめんなさい。)、
地域の総合病院でボルトを入れて固定してもらい、
まだ骨もくっついていなかったのですが、
松葉杖で移動ができるようになったらそこは退院、という約束だったので
そこからリハビリ病院が空くまでの間、いつも入院していた精神科に転院になった次第だった。
(そこの精神科には整形外科がなかったので、万一のことを考慮して松葉杖の許可は降りず、車椅子移動だった。)

私はそれまで、そこの精神科では思春期病棟にしか入院したことがなかったので、初めての成人病棟。
しかも、急性期救急病棟。その時の私にはぴったりだったのかもしれない。

ともかく、いろんな人がいた。私も類いに漏れずだが。
でも、やけに静かだったのも覚えている。

そこで看護師さんに車椅子を押してもらって、
雪化粧の富士山が見える窓に案内してもらった時に、
後にとても大切な友達と出逢った。
その友達に、塗り絵やら貼り絵をしている時に声を掛けていただいてから、窓際の微睡の中での日々が始まった。

そこからの日々は、食事の時以外はいつも一緒にいた気がする。
お互いの好きな音楽、絵、時には今では説明がつかないような思想の話もした。
そして各々微睡の中で寝たり起きたり好きなことをしていたり。
開くことのない窓の前で、ただ柔らかな陽光の中不思議な共同生活をしていた。

まさに微睡だ。

前にも後にもこんな生活はなかったし、ない。
貴重な時間を、ゆっくり、そして足早に駆け抜けたのだ。

その友達とは今もほぼ毎日連絡をとっていて、
電話をしていると、その日々が頭の中でリピートされる。
まるで好きな曲が頭の中を流れるかのように。

そんなことは多分ないけど、また一緒に入院できたら面白いねとその友達に昨日言われて、この文を書いてみた。
私は入院は懲り懲りだけど、確かにそれも面白いかもねと返した。

まだ若かったながらに、色んなことを感じた入院生活だった。

あの微睡は私を今でも包み込み、作り上げ続けている。

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