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フィルムはどれほど解像するのか―ざっくりとした事例紹介―

はじめに

 この話題は既に幾度もあらゆる場所で議論されていて、本稿でも何か特別な新しい主張がある訳ではありません。また、昨今のフィルムを取り巻く情勢を鑑みると、デジタルとフィルムが広く併用されていた時代なら未だしも、フィルムがどの程度解像するかといった話題自体が大きな意味を持たないと思われます。
 しかし、SNS上では度々フィルムは○○画素程度の解像性能しかないという言説を目にします。具体的に何画素程度かは人によってまちまちですが、これは流石に――というものも少なくありません。そこで筆者はこれに一石を投じようと考えました。本稿では多くの人に直感的に理解してもらえるように、視覚的に訴えるため、デジタル化したフィルムを例に挙げます。


撮影設定とデジタル化について

撮影時設定と使用したカメラとレンズとフィルムについて

  • シャッター速度:不明(確か1/1000秒だったような……)

  • 絞り値:不明(確かF5.6以上に絞っていたような……)

  • カメラ:Canon FX

  • レンズ:Canon FL50mm F1.8 Ⅰ

  • フィルム:KODAK PROFESSIONAL TRI-X400 (TX400)

 本稿のような記事を書く前提で撮っていなかったため、撮影時の設定が曖昧ですが、時々日が差す位の薄曇りだったため、絞りを絞って高速シャッターを使っていた記憶があります。

デジタル化環境とその設定等

  • スキャナー:Plustek OpticFilm 8200i Ai

  • 記録形式:DNG

  • 解像度:7200dpi

  • 現像ソフト:SILKYPIX Developer Studio 10

  • 現像処理:ネガフィルム反転ツールでネガ・ポジ反転

  • 書き出し形式:JPEG

 デジタル化においては、上記のスキャナーを用いてDNGファイルで記録し、同じく現像ソフトでネガ・ポジを反転するだけにしています。可能な限りフィルムの純粋な実力を測るために、その他のシャープネス等各種の調整は行っていません。

例示

 前述した諸条件の下で撮れた写真が以下になります。先ずはノートリミングの状態です。

元は10116ピクセル×6697ピクセルもありますがnoteでは圧縮されています。

 2機の航空機が小さく写っています。続いて大きくトリミングしたものが以下の通りです。

1392ピクセル×1392ピクセルでトリミングしたものです。

 ここまで大きくトリミングすれば機種も分かります。写っているのは2機のF-16であることが分かります。更に注目すべきは、2機とも翼下に2本の増槽を吊るしていることです。加えて、翼端のレールランチャーが4つともはっきり写っています。先頭の機体はエンジンと水平尾翼の隙間も明確に見てとれます。

まとめ

 このように、豆粒の大きさで写っている戦闘機であっても、フィルムはそのディティールを細部まで写すことが出来ているといえるでしょう。今回使用したTRI-X 400は所謂微粒子フィルムではない粒状性が高いフィルムですが、それでも高い解像性能を持っていることが窺えると思います。

おわりに

 はじめにも述べたように、フィルムがどれくらい解像するか、というのは今日ではあまり重要ではないと思われます。しかし、本稿で示したようにフィルムは写りの悪い低解像な記録媒体ではない、という理解が少しでも進めば筆者としても嬉しい限りです。

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