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「海辺のストルーエンセ」考察と感想②

①から少し時間が経ってしまいましたが、前楽を最後に私の4回にわたる通院は終わってしまいました…(空虚)

それでもストルーエンセがくれたこの何とも形容しがたい気持ちはフォレルスケットそのもの。この一週間のほとんどを考察に使っては「はあ……」と余韻に浸る日々を続けていたので、横浜院が閉業した今、フラットな気持ちで(雪組愛がバレバレの)キャスト感想を書いていきたいと思います!

考察訂正

「海辺のストルーエンセを観て考えてみた」感想①|ぬぬ|note

と、一個その前に。
前回の考察でカロリーネとストルーエンセの好意が交差した瞬間はどこか!という話をしたんですけれども、訂正いたします。「キスした瞬間」だと考えなおしました。その根拠とは、カロリーネにキスした瞬間の朝美ストルーエンセの絶妙な表情!!(キャスト感想始まってる?)
あの自分が何をしでかしたのか理解していない表情が、更に木琴の音と重なって、そう感じさせてくれました。あの木琴の音、ストルーエンセの鼓動の音でしょうかね…あの時のゾワゾワ感、思い出しただけで鳥肌が立つ。

キャスト感想

気を取り直して、キャスト感想!
実は私、金銭面から遠征はまだ理性が保たれていることから縁が遠く、今回別箱公演に行くのが初めてだったんです。(大和路は公演中止で飛んでいき、ヴェネチア、ほんまほは素人すぎて取れなかったという苦い思い出…)
劇場について客席に座ると、
「なぜこんなに近い!?!?!?」
とキョロキョロ、オロオロしてしまいました笑

雪組の底力を見た!!!という気持ちにさせてくれる組子の皆さんに完全屈服でした。贔屓組ということもあるので組子が分かるということは見るところが多くなるということ。4回見た今でも目が足りない部分がたくさんです。

ヨハン・ストルーエンセ 朝美絢

あまりにも皆さんが使っている一言なので使うか迷いましたが、

「ついに朝美絢死す‼️
こんな朝美絢が見たかった‼️」

でした。

顔面の強さにはもちろんド肝を抜かれましたが、それよりもあの闇属性の高い役を「目、表情、立ち振る舞い、言い回し」すべてで表現しているスキルの高さに目を引かれまして。今回、二回目の東上公演でしかも私の大好きな指田先生が当て書きしてくださるという情報を聞きつけたときは、それはもう涙を流して喜びました。(この時点で闇朝美を確信しているあたり指田先生への信頼度が高すぎる)

多面性、いろんな役を演じるストルーエンセを繊細に描いていた朝美さん。当て書きってそのスターさんの魅力がセルフプロデュースでなおかつ最大値を引き出せてこそ映えるし、作品に深みが生まれると思います。逆に、主演の演技力や気迫がなければ指田先生が作品の中で伝えたかったことは空振りで終わってしまうという危険性もはらんでいます。(誰目線だよって感じですが)絶対に簡単なことではないのに、やりのけてしまうのですから朝美さんはとんでもない人です。瀬央さんも永久輝さんも然りです!

自分が犯してしまったことに気づいた後のひれ伏した身体、「あーー望海風斗だ…」と思わずにはいられなかったです。のぞさんのDNAを受け継いでるスターさんは彩海せらしかいないという自論を抱えていましたが、ちゃんと贔屓も受け継いでいるという事実に喜びと感動を感じました。
この三人の話もいつかします。
(なんてっこった…雪組は最高だよ…)

重力に逆らうことなく垂れる長い髪と鈍色の地面からかき分けるように出てくるのはこれ以上ないというような悲痛な表情。この姿があまりにも切なくて切なくて。

くりくりしていて大きい瞳が朝美さんの強み。その綺麗な瞳を150%使った目の演技には目を見張りました。一瞬にしてピュアで透き通ったと思えば、どこまでも深い闇のように黒く染まる瞳。この表現力があるから、一歩引いたような芝居でも観客の目を引き付けるような朝美さんしか作ることのできないオーラが出るんだと感服しました。

のびやかに動くダンス、芝居にすんなりと乗る歌唱力。どこを取ったってオールマイティー、オールラウンダーな朝美さん。

そして、元々芝居力には定評がありましたが、ストルーエンセを演じたことによってその評判は最高級になったとファンながら確信しております。

カロリーネ・マチルデ 音彩唯

新人公演で毎回パーフェクトすぎるものを披露してくれる105期首席のエースことはばまいちゃん。今回の東上公演は破線上ヒロインではなかったものの、今回も見せてくれました…

まず音彩ちゃんと朝美さんの並びの良さといったら!私はここ最近の並びで一番胸を打たれるものがありました。(さきあやも多分生で見たらキャイキャイしちゃうな)なんといってもお顔の小ささとお互いが映える綺麗な御顔立ち。

まさしくヒロインというような柔らかな声と滑舌の良さには舌を巻きました。ところどころ、下級生らしくドレスの捌き方に苦戦しているようにも見えましたが、わっかが初めてということでそれにしてはうますぎる!?と甘々オタク発令です。

実は神奈川公演で一番変化したのは彼女の演技なのではないかと思います。見れば見るほど、カロリーネの心情が痛いほど伝わってくるようになりました。吸収力の良さというのはこういうことかと、初心者ながらに大拍手を送ります…

これからの雪組、安泰だ!とあぐらをかいていますが、ボケーっとしていると組替えのお知らせが舞い込んできそうなのが怖いです。

クリスチャン7世 縣千

ほんとうの魔法使に続き二回目のあさあがコンビでしたが、比較できないほどあがちんは演技の幅が広がりました。完全に感情移入してしまって、クリスチャンがつらい思いをするたびに胸が苦しくなり、その感情を引き立たせてくれるのは間違いなくあがちんの演技力と表現力にありました。

あがちん、つい最近まで「縣千です!!」というような雰囲気がプンプン。それが役作りの上でいい風にも悪い風にもなるのですが、今回は「押し」と「引き」がすごくうまかった!

まだまだ歌を頑張ってほしいなという気持ちはありますが、内に秘めている繊細な心、もっともっと色んなあがちんが見てみたいなと思いました。次の東上は、主演来るかな…?

イーネヴォルト・フォン・ブラント 諏訪さき

冒頭、ストルーエンセを利用する側にいた二人のうちの一人。観るたびに心情の移り変わりが鮮やかになっていました。ブラントで印象に残っている場面は、愛人関係にあったホルスタイン伯爵夫人(妃華ゆきの)とのラストシーンに掛かる二人の掛け合い。
「買ったドレスは覚えているけれど領収書は忘れたわ」
「でも、初めて王宮に入った日のことは忘れられない」

人間、都合の悪いことは忘れてしまうけれど、印象に強く残ることは覚えている。という比喩表現が魅力的でした。

「そうだね、何者にもなれるね」

ブラントは、この作品の主軸や言いたいことを場面場面で口にしていたことで観客に印象付けてくれる大切な存在だなと思いましたし、そこにうまくブラントの感情を乗せて一人の人間として芽吹かせるのがとてもうまいなと思いました。まさに、雪組の頼りになる実力派です。

ランツァウ伯爵 真那春人

そして、ストルーエンセを利用したもう一人の人物。彼は、ブラントと反対の人生を進みます。本当にストルーエンセを駒としてしか考えてなかったんでしょうね。その考えや企みがひしひしと伝わってきます。

「この成り上がりが!」

元はデンマークの王室に仕えていた者。元の位置に戻ったことで、よそ者であるストルーエンセが政治を動かしている事実に耐えられなかったのでしょう。

出番は多いとは言えなかったものの、出てくると真那さんが雰囲気をガラッと変えてまた作品に深みを出してくれました。

フィナーレの真那さん、娘役さんを指でクイクイっと呼び寄せる瞬間を目撃してしまい、上級生男役に生かしてもらっているファンとしては倒れ込みそうになりました…

その他配役

気になったキャストといいますが、できることなら全員分一言書きたいという雪担のエゴです。

ベルンストッフ 奏乃はると

にわさん、期待を裏切らない重厚感。貴族側についている役ですがそこまで硬くならず、柔軟性のあるお役といえばベストでしょうか。どんな姿であろうと、にわさんがいるだけで舞台が引き締まります。

ユリアーネ・マリーエ 愛すみれ

もう彼女は雪娘をまとめ上げる頼もしい存在です。あれほど絶妙なバランスで高貴な役を演じられる器用さは例を見ません。あいみちゃんがナウオンで言っていた、「理由なしに硬いのではなく、本当にデンマーク王室を思っているからこそすべての言動にその思いを出せればいいなと思います。」がコンプリートされております。

スサンナ 白峰ゆり

前作が娘役はぼ皆無の作品だったからか、うきちゃんの活躍ぶりはとても嬉しい悲鳴が(私を含む)あちこちから聞こえていました。役者の踊るシーンではうきちゃんのダンスに目がいくほどキレッキレ。クリスチャンを気に掛ける存在としてとても存在感が大きかったです。

グルベア 叶ゆうり

個人的に彼女が好きっていうのもありますが。どこにいたってわかってしまう個性の強さ!仮面舞踏会ではフレゼリクとノリノリで踊るところにいつも肩を震わせていました。

が、なんといってもフィナーレのかのゆりの色気といったら‼‼黒髪長髪、自分のパートが来るまで娘役さんを見ながら髪を撫でつける仕草、心臓にわるかった…

ホルク 日和春磨

ブラントの後任を務める侍従長。本公演ではこのような役を任されることがほとんどなかったので、素直に嬉しい!耳通りの良い滑舌の良さがとてもよかったです。
フィナーレでは幕開きにセンターを務めていましたね。下級生だとばかり思っていましたが、立派な中級生に成長していました。

ヘンリック/フリードリヒ2世 一禾あお

劇団長とクリスチャンのロールモデルという2役を演じていましたが、一禾パワー炸裂でした。パワフルな歌声と、102期生とは思えない団長としての貫録。これからがもっと楽しみな一人になりました。

イェルク 壮海はるま

雪組はもっと彼女に歌を歌わせた方がいいです。誰だこの歌うまは!?とオペラグラスを覗けばそこにはしゃんたんがいます。何をやらせてもよし、雪組では珍しいその長身が生かされる役が当てられるのを切に願っています。

ディドリック 霧乃あさと

雪担の中で度々話題になる彼女ですが、魅力はその演技の細かさ。自発的に動き続けるものと周りの環境に合わせて動く複雑な人間の心理を突くような演技に私もまた感動しました。

エリザベート・フォン・エイベン 華純沙那

まあ、可愛い。カロリーネをおもんばかり、密かにストルーエンセに思いを寄せる健気な姿が可愛いかった。芝居心がとてもあるので、これから重宝される子なのではないかなと思います…!

男爵 苑利香輝・召使い 白綺華

この二人の幸せそうな関係に毎回泣かされてしまいました。下級生組にしてメインキャストの対比となる重要な役を任されましたが、純粋にお互いを愛し合っている姿は本当にきれいに映りました。
そういえば、このえんりくんがはなちゃんに送っていた物は何か意味があるのだろうか…

カテコのにぎやかさ

朝美さんが毎公演で一言お話してくださる機会には、みんなにぎやかわちゃわちゃ。あーさワールドが繰り広げられようものなら、後ろにいる皆さんがちょっとちょっと!とツッコミを入れるような場面もあり、朝美さんは皆さんに愛されているなと思いました。
あがちんはあーさの肩を組むようなこともあり、だいぶ打ち解けているなとニコニコしてしまいました。6期上の上級生に肩を組むってなかなかできないですよね笑
ずっとこのままでいてほしいと幸せに涙があふれるのでした…

これぞ雪組

一日だけ、宝塚初観劇の子を連れて行ったとき、あと雪組40人いるよと伝えたところ、「なんて贅沢なミュージカルカンパニーなんだ…」と驚愕しておりました。

70人超えのカンパニーはほとんどないこと、才能ばかりが集まるこの歌劇団という存在に改めて素晴らしさを実感しました。

さあ、24日金曜日からは梅田院が開業します。また変化している部分が多くあると思います!私はまたもや遠征を諦めていますが、円盤も横浜院なので、更に進化した作品を観ることはもうできないのかと思うと無念でなりません。梅田公演を観た方の感想を楽しみに過ごしたいと思います。

長々と感想を書いてしまいましたが、これといった中身もないままここまで読んでくださった方、お付き合いありがとうございました。


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