『ありふれた教室』は『怪物』を思い起こすドイツのイヤミス映画!
アカデミー賞の国際映画賞(International Feature Film)は、各国からのエントリーを受けた後、最終選考を経て、ショートリストが発表されます。
前回(第96回)のショートリストに残った作品は以下のとおりでした。
このショートリストを経て、『ありふれた教室』が候補作に入ったのは結構以外でした。
というのも重要な前哨戦である英国アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、クリティックス・チョイスで候補を逃していたからです。
前哨戦の結果
この重要3賞ですべてノミネートされたのは、『落下の解剖学』『雪山の絆』『関心領域』の3作品。(受賞は英国アカデミー賞のみ『関心領域』)
但し、フランス代表は『ポトフ 美食家と料理人』であったため、『落下の解剖学』は候補入りの可能性がありませんでした。(同じ理由で、『パスト ライブス/再開』『ゴジラ -1.0』も候補資格なし。)
つまり、可能性があるのは『実録 マリウポリの20日間』『枯れ葉』『僕はキャプテン』『PERFECT DAYS』『ポトフ 美食家と料理人』の5作品と見られていました。
特に『枯れ葉』については、引退宣言をしていたアキ・カウリスマキ監督の最新作で、ゴールデングローブ賞の主演女優賞候補にもなっていましたので、かなり有力と考えられていました。
そんな予想を覆して候補になったのが、昨日公開となった『ありふれた教室』だったのです。
原題は"Das Lehrerzimmer"
原題は"Das Lehrerzimmer"で、直訳すると「先生の部屋」というタイトルです。英題はこれを踏襲して、"Teacher's Lounge"というタイトルでしたが、なぜか日本では『ありふれた教室』というタイトルに。
なぜこの原題なのかは実際に観ていただきたいのですが、「教室」ではなく「職員室」であることに意味があるので、この邦題はどうかと思いますね…。(なんか「良いタイトル思いついちゃった!」みたいな感じも鼻につく。)
本作品を見て思い浮かべたのは、是枝裕和監督の『怪物』でした。
「怪物だ〜れだ?」という問いかけも共通する部分があり、日本もドイツも学校教育について頭を抱えている点が少なくないのだろうなと想像できます。
あっ『怪物』も『ありふれた教室』も校長先生は女性でした。
アカデミー賞候補に入った理由は、作品としてのクオリティ
実際に作品を観ると、なぜ『ありふれた教室』がアカデミー賞の候補入りを果たしたのかということがよくわかりました。
ショートリストの作品をすべて鑑賞をしたわけではないのですが、他の作品と比べてみたときに、作品としてのクオリティがどれも高水準という印象を持ちました。
子役を含めた役者の演技がとても自然ですし、舞台の中心である学校は魅力的に撮られ(しかも撮影場所は学校のみ)、そして100分を切る時間にストーリーを入れ込んだというとてもスマートな構成になっています。
これに比べると作風とはいえ、候補から漏れた『枯れ葉』は手作り感があり、ノミネートされた『PERFECT DAYS』でさえ、こじんまりとした印象を受けます。
やはり映画賞の最高峰。映画の進化を感じさせるということも重要な点なのでしょう。
本日のドレス:イッサ・レイ
人気コメディドラマシリーズ『インセキュア』でお馴染み、イッサ・レイ。
日本ではシーズン1しか配信されませんでしたが、4シーズン製作された結構な人気作。イッサ・レイは、パイロット版の製作から携わり、脚本も手掛ける才女。
アフリカ系の方はおしゃれな上、あまり外さない印象がありますね。ブランドはアミ・パレス。(★★☆)
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