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アンティークに魅せられて
日頃、知らず知らずのうちに目にするもので、感性は磨かれる。
「京都は、街中、至る所に重要有形文化財がある。古き良きものを大切にしようという意識が、知らず知らずの内に備わっているのでは。」
「常に新しいものを欲するスクラップ&ビルドでなく、いまあるものに目を向け、大切にしていく、少し壊れたら直すことができるのがアンティークの良さ。」
そう話すのは、目黒のジェオグラフィカの店主(?)。
買い付けに行っていた当時のことも話してくれてたので、これは店主さんだったろうと思っている。
こちらは、世間話を掻い摘んでもの。なんとも有意義な世間話だったと思い、最後に、「ブログに書いてもいいですか?」と、つい聞いてしまった。たまに、世間話がインタビューになりがちになってしまう。。。
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任天堂、元々は花札やトランプの会社。今でも製造販売されているが、1970年後期、ファミリーコンピューターの開発を契機に、今ではスーパーマリオが世界で有名だ。
また、ソニーのウォークマンを、イギリスに買い付けに行った時に持っていたら、「売ってほしい」と言われた。日本の製品の良さは世界中に認知されている。今でも、町工場の職人技術はとても高い。近年、職人の高齢化とともに技術継承問題が起こっているそう。
エリザベス女王時代、世界大戦後のイギリスでは、家具等、親から子、子から孫へと受け継いていくという考え方を広めていったこともあり、ものを大事にする意識が、市民の中に根付いている。国が職人達を守る手厚い補償もあるそうだ。日本も、重要文化財等に関わる職人には補償があるそうだが、その範囲は少ない。市民の生活を支える職人や修理人への補償や地位向上が、今後の要になってくるのかと感じた。
そう思うと、伊勢神宮の20年に一度の式年遷宮は、なによりも技術伝承の理にかなっていると言える。柱や構造はもちろんのこと、式年遷宮の際に用いられる小物等も、それを生み出す人々が末端までいる。全ての叡智が合わさって、初めて「いま」の技術を後世へ引き継いでいくことが守られる。
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写真の椅子は、ピアノ椅子。座面を回すと高さ調節できるようになっている。この背もたれのデザインは、日本の欄間を参考にしているとか。
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シルクロードを通り、日本の技術がヨーロッパに渡り、それを参考にした職人たちが取り入れたそうだ。日本の職人の技術が、海を越え大陸を渡り、そしていま、アンティーク家具として逆輸入することで、ふるさとに帰ってきている。なんともおもしろいなと、私は感じた。
この椅子のデザイン、もう一つすごいところがある。それは、違う色の木を間にいれている。色の違いがみて取れる。
こんな時、私は自分でできる?と問いかけ、職人の腕に惚れ惚れするのだ。
以前、ガラス作家さんのコップの展示があり、どのように制作されているか、紹介MOVIEを見たり作家さん本人の話を聞く中で、到底私ができることではないと思った。また、自分の生活の中に少しだけ伝統工芸品をと思い、大切に使っている。自分が買うことが、職人の生活に大きな変化をもたらすわけでもない。ただ、「手にできているこの時間がうれしくゆたか」な気持ちになれていることに価値があると、私は思っている。
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テーブルの天板の塗料は、ニス等でなく、子どもが舐めても大丈夫なコーティングのみ。すべての家具は何十年と使うことができるが、最後の最後は朽ちていくもの。だが、そこに合板や接着剤など使っていないため、土の中に埋めたら、いずれは土に還る。椅子も木組でできているそうで、修理可能。長く愛することのできる代物であると言える。
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【アンティーク】というと高いイメージがあるが、何十年経っているかということや、新品を買いその後代々受け継いでいくと考え、日割り計算すると、実はすごくエコでお得。
「お金で時間(時代)と技術を買っている」と言うお客様がいたそうだ。今ある家具を売って、もっと古い家具を買う。時代をお金で買えることが贅沢と。確かに100年前にタイムスリップすることは、ドラ◯もんやキ◯レツが身近にいない限り不可能。だが、その当時の職人さんの技術を体感したり、思いを馳せることは可能。この考え方、参考にしようと思った。
大正・昭和初期 「足るを知る」
日本も戦前は、ものを大切にすると言う文化や豊かな発想があった。戦後のアメリカナイズドな意識改革があったといえよう。
SNSで誰かが良いと言うものや、周りの流行り等により、他人や現代基準でものを購入する傾向があるのでは。
自分にとって心地のいい空間・心地いい物とは
それを知るためにも、いろんなものに触れることが大切。すると、自分の軸が定まってくる。いまの自分の身の丈に合ったところから、大切にしたいものを1つ1つ選んでいくことが良い。
アンティークは高いと思われがちだが、本当にそうだろうか。私はこの後、近くにあった、量販店へ行った。1つ言えることは、100円均一等のファスト店は、人口全体のものの豊かさの向上にはなったこと。
その量販店で椅子をみたとき、一脚が大概20,000円から50,000円だった。アンティークの椅子も同じくらいの金額のものもある。
どんなものが自分の好みかによるが、アンティークの1つの良さは、修理や張り替えができるなど、新たな材料を切らなくて良かったり、大量生産前の時代の、素材の良さ。
量販店で日頃買っている方でも、アンティーク家具を買えないわけではない。今すぐ手に入れるでなく、5年・10年貯金するなり、「これ!」という出会いを待つことで、手にすることはできる、と私は思っている。
タイミングはその時々、その人により違うと思うが、気に入ったテーブルセットや椅子があったら、一つ、手に入れていきたいと思っている。
(実際、今、アウトドアに持ち運べるテーブルを使用している。今はこれで満足しているし、適当に買いたくないという気持ちの方が強いからだ。あなただね!と、その時の出会いをたのしみにしている。)
「これでいいか」でなく、「これがいい」。
買い物は投票。
「これがいい」
この気持ちを大切にしていきたいと、再度思った出会いだった。
調べてみたら、近所でもアンティーク家具の店舗があった。一度、足を運んでみようと思う。
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